街まで
「ムーッムーッ」
つんっつんっ
「ムー?ムム?」
何かに髪を引っ張られていることに気づく。
「うーん…」
あれ、さっきまで火事になったマンションにいたんだけど、ここは…
起きたばかりで、ピントが合っていない眼をこすりながら周りを見渡した。
草、土、木、池、ここから見えるものはそれぐらい。
池というより、小さな湖といったほうが合っているのかもしれない
起き上がろうとして手をついたところに、小さい丸い生き物がいた
今までに見たことがない、10センチほどで白い毛がはえ丸い眼と小さい口がついている。
「ムー?」
「あなたは何?」
「ムムッ」
「むむ?」
「ムッ!」
そういうと小さい生き物は満足そうに一度飛び跳ね私の肩に乗った。
それにしてもここは…
「どこだろう…」
少し歩いてみよう。
「ムー♪ムー♪ムムッムー」
肩で機嫌よさそうにしている生き物
「ムーって呼ぶね」
「ム!」
これでこの生き物の名前が決定した。
「道がある」
10分ほど歩いたところで、簡易的な道のようなところに出た。
「ムーッ」
ムーが道の片方の方向を小さい手で指している。
「こっちに行けばいい?」
「ム!」
そうだ!と言わんばかりに、ムーが鳴く。
「じゃあこっちに行ってみよう」
何があるのかな。
と思っていた時に後ろから何かが来ている音が聞こえた。
馬車のようなものが近づいてきていて、ちょうど私の横を通り過ぎたすぐのところで
止まった。
ムーは私の肩と髪の毛との間に隠れている。
馬車のようなものを引っ張っているのは馬ではない。
首から上はタカのような、体は馬のような、翼も生えている、そんな生き物が引っ張っていた。
そこから一人の人が降りてきた。
「やぁ、君は今なにしているのかな?街に行こうとしているの?」
40後半ぐらいであごにはひげを生やしているが、体つきは鍛えているのかしっかりしている。が声をかけてきた。
街がある…
「その街に行こうとしてる」
「そうか!なら乗っていくかい?ここから歩くと20分はかかってしまうよ」
そんなにかかるのなら乗せてもらおう
「乗せてください」
「わかった、じゃあ後ろ開けるからこっち来て、ここから乗りな」
私は後ろについていた窓もない四角い箱に乗った。