ここはどこ
季節は夏。
外は蒸し暑く太陽の照り返しが痛い。
周りはコンクリートの建物だらけで、そのどれもが背比べをしている。
「暑い…」
白い二人掛けのソファーにもたれ、だらけている私はため息をついた。
なんてつまらない世界
今いるこの場所はマンションの最上階にある部屋。
といっても私がお金持ちというわけではない。
私を拾った人が大手化粧品会社の社長らしい。
なんでそんな人に拾われたのか、それは私の容姿が良いからという理由、
自分の会社のモデルにしたいという理由からだ。
利益のため。それでも私は何も思わなかった。
住むところに困らず、食べ物もある。
世間一般的にはこれを冷めているというのかもしれない。
今日はモデルの仕事もなく休み
いつものようにソファーでだらける。するとふと思う、つまらない、と。
「この世界は退屈… 」
ゆっくりと意識が遠くに吸い込まれていくように瞼を閉じた。
ピー!ピー!ピー!ピー!
大きな音で目が覚め、何の音なのかだんだん理解する。
火災報知器だ。気が付くと煙が部屋に入ってきている。
「けほっ…」
つまらないと思った私を終わらそうとしてくれているのか、
世界とはいいものだ、
部屋に入ってきていた煙の量が多くなり、色も白から灰色になってきている。
私の意識ももうろうとしてきた。
その場に倒れこみ、スッと意識を手放した。