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メンヘラホームレス  作者: 鈴木タオル
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■第5話彼女と別れ何をする気も起きない■

彼女と別れ、仕事を辞め、何をする気も起きません。

ある日の目が覚めるとエアコンに監視カメラが仕掛けられていると思い始めます。根拠はないですが、なかば確信し、今の部屋を引っ越すことを考えます。

今回は引っ越しをする為に管理会社に行ったときのお話です。

第2話の冒頭に戻ります。 

ある晴れた昼過ぎ、仕事も辞め、2年付き合った彼女とも別れ、寝起きのまま布団の中にいた。

 もう10年も前のことである



監視カメラがエアコンに仕掛けられている。根拠など全くなかったが、自分の中に確信めいたものがあった。

 「すぐに引っ越さなければならない。」

と思った。自分の生活全てが見られていると思った。そういう不安もあった上に、都心からも離れているし、最寄り駅からも離れている位置にあった。それにしては家賃が少し高いなと思っていた。電車で新宿まで40分。最寄り駅から自転車で20分はかかった。それで家賃は62,000円だった、管理費は別に1,500円かかった。

アルバイトをやめて数ヶ月、やる気もなく、倦怠感ばかりで、引きこもり的な生活をしていた。家賃も数ヶ月間払ってなかった。こんな状況で借りているアパートの管理会社に引っ越しを相談しに行った、今思うとこれはすごいバカな事だったが、結果的にはOKをもらい引っ越してしまった。今更だがこの時点で生活保護を申請し、心療内科に行けば良かったのだ。しかし、この頃は生活保護なんて存在知らなかったし、うつ病なんて自分に関係のないものだと思っていた。パソコンで少し調べれば分かることだったのに。思い返せば悔やまれるが、これが現実である。生活保護の存在を知らなかったり、受給出来る状況なんて知らないという人は意外に多くいるらしい。




思い立った次の日くらいには管理会社に向かっていた。家賃を何ヶ月も払っていないのに、紳士的な態度で接してくれた。そればかりか、否定的な事一つ言わず、今より家賃の安い引っ越し先の部屋を提案してくれたのだ。その上さらに、我が社でアルバイトをしてみませんか?とまで言われた。部屋のクリーニングのバイトで誰にでも出来る軽作業だと言う。この時の僕は本当に(救いようのないほど)馬鹿だったが、これまで働いてきたコールセンターの仕事を探したいなぁと考えていて断ってしまった。僕は先ほど提案された部屋のうち1つを指さし、

 「ここを見てみたいです。」

 と言った。すぐに案内され車に乗せてもらい部屋を見に行った。

 そこは今までの部屋より新宿より離れているし、最寄り駅からも離れていて、前の部屋と同じように自転車で20分はかかりそうなところだったが、家賃が20,000円近く安かった。それがとても魅力的だった。この管理会社は部屋の作りがどれも似ていて、風呂トイレ別の物件が多い、というかほとんどだった。となりはクリーニング店で昼間は作業の音が聞こえるということだったが、その時はあんまりその事は深く考えなかった。

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