■第2話気付けば幸せだった■
長く住んだアパートを離れることになった。
理由はエアコンに仕込まれた「監視カメラ」
被害妄想である。しかし、当時の僕はそんなもの知らない。ただ恐怖に襲われ引越しを決意する。
引越しをする前に一人の女性と別れた。今回はその子との出会いについてです。
ある晴れた昼過ぎ、仕事も辞め、2年付き合った彼女とも別れ、寝起きのまま布団の中にいた。
もう10年も前のことである
付き合っていた彼女の名前はあいこ。僕は付き合うのも、手を繋ぐのも、セックスするのも、キス以外は全てが始めてだった。彼女は大学生で僕はミュージシャンを目指すフリーターをやっていた。出会いは彼女の大学の友達がやっていたカフェのような出店のようなお店であった。僕と一緒の田舎から上京してきた友達におもしろそうな店があると教えられ、その道を通った(とおった)らやっていたので寄ってみた。そのお店はたこ焼きのような粉モノが主力商品だった。店の前を通ると「いらっしゃいませー」と声を出していたので近寄って行ってみた。同じくらいの年齢の|(実際ほとんど同じではあった)男子と女子が気さくに声を掛けてくれたので話しながらそのたこ焼きのようなものを一パック注文した。はじめて行ったその日はそのまま持って帰って食べた。まずくはなかったがうまいと言えるものではなかった。
しかし、同年代の男女、とくに女の子と楽しくしゃべるのは楽しかったし、いつもの帰り道をほんの少しそれたところにあったのでまた行こうという気になった。たこ焼きもめちゃめちゃ安かった。確か150円くらい。200円だったかもしれない。大した金額ではなかったし、小腹も満たせる、その上女の子がいるので行かない選択肢はなかった。2,3回通ったときにその近い将来彼女になるあいこはいた。
あいこは店に出てたこ焼きを焼いたりはしていたが、どうも店の本格的なメンバーではないようだった。友達がいるし、暇だから来ているという感じだったんだと思う。第一印象は特別な感情は持たなかった。かわいいと思ったわけでもないし、ブサイクと思ったわけでもない。女の子目当てに行ったカフェにいた人の中の一人というだけだった。
いつごろだったか、幼い女の子が来た。保育園や幼稚園の年長さんか、小学生1,2年くらいの少女だ。彼女はもうみんなと顔見知りらしい。話題の中心が彼女だった。大学生のみんなは彼女を中心に色んな遊びをはじめた。いつの間にか自分も輪の中に入っていた。どんな遊びだったかは忘れたが、とにかくみんなで手をつないで円になってぐるぐるなにか言いながら(歌いながら?)回りだした。その時僕の隣にあいこはいた。もちろん手をつないで一緒にぐるぐる回った。