序ノ怪
わたしは光を求めていた。
内側からではない外側からの光を。
けれどここは常闇。光など存在しない。あっても鬼が食べてしまうと言っていた。
光って何だろう。
温かな言葉? 懐かしい思い出? 優しい心?
未だによく分からないけれど、青年がくれた旋律が、完全に闇に堕ちそうになったわたしを拾い上げてくれた。
懐かしい光と、優しさに満ちた日々を思い出させてくれて、そして自分を取り戻すチャンスを与えてくれたんだ。
……わたしはここに残らなければならない。
鬼と向き合って常闇に暮らす覚悟をしなければいけない。
悔しいけれど、あの花魁が言った通り、わたしは甘ったれていたんだろう。 頑なに闇を拒んで受け入れようとしなかった。闇に溶け込むのが怖かった。鬼や常闇に慣れてしまう自分が恐ろしかった。
でもここに残ると決めたのは自分だ。もう傷つくのが怖いと怯えていられない。
人間のままでいたいなら光を忘れずに。ここで暮らすと決めたのならこの世界を受け入れる努力を。そして受け入れられる努力を。
やっと闇の中で道標をみつけたよ。
おばあちゃんが言ったように、一休みしたらまた歩き出そう。
闇に浮かぶ光の道を――