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短編集  作者: 吹雪桜
9/21

短編9(双子・妹→兄)

シスコン、ブラコンな話ではありません。

どっちかっていうと近親相姦寄りです。ご注意ください。


許せない。

許したくなんて、ない。


愛する双子の兄。

生まれる前から一緒だった双子の兄。


いつだって一緒だった。

どこにいくのだって一緒だった。

何をするのだって。


でも、気づいてしまった。

私は私。あなたはあなた。決して同じじゃない。ひとつの命じゃない。


一緒に同じことをしていたのに、いつしか一緒に同じことができなくなった。

私にはできないのに、あなたにはできた。

あなたにはできないのに、私にはできた。


あなたは笑う。無邪気に凄いと笑う。

私は笑えない。無邪気に凄いなんて笑えない。


あなたが誰よりも大切で。

あなたを誰よりも愛していて。

あなたを誰よりも憎んだ。


世界に私とあなた、たった二人ならよかったのに。

世界に私とあなた、たった二人なら。


あなたは世界を広げる。

私の世界はあなただけ。


あなたはどんどん私から離れていく。

大切な妹だと笑うくせに。

大切な半身だと笑うくせに。


あなたは私を見なくなる。

あなたは私を想わなくなる。


許せない。

許したくなんて、ない。


あなたじゃない人の腕の中で笑う。

あなたじゃない人の口づけに酔う。

あなたじゃない人のぬくもりに溺れて。


そのたびにあなたは私を見る。


男を渡り歩く私に、自分を大切にしろと憤る。

憤って、哀しんで。けれど見える奥底の感情。


もっと、もっと憤ればいい。

もっと、もっと憤ればいい。


大切な双子の兄。

愛しい愛しい双子の兄。


世界を広げて、たくさんの人を心に住まわせて。

けれど、ねえ。ねえ、兄さん?

はやく、はやくはやく、






あなたの目に宿る憎悪の刃が、私を抱く男に突き刺さっていることに気づいてしまえばいいのに。



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