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それから里子は家事の他に、インターネットで怪しいサイトを調べていた。だが、なかなかそれが見つからない。もうダメなんじゃないかと思う時もある。だが、絶対にその原因を突き止めなければという思いが、後押ししていた。それによって、子供たちを守る事ができるなら、自分の命なんて惜しくないんだ。
「うーん・・・」
そこに、武がやって来た。武が心配してやって来たようだ。武は仕事の事ばかりで、なかなかインターネットをする暇がない。本当は自分も協力したいのに、それができない。子供を守りたいという気持ちは人一倍なのに。
「どうしたんだい、夜遅くも」
「このサイトよね」
里子はサイトを開いている。そこには、黒い背景の掲示板だ。そこには学校の悩みが書かれていて、それに管理人が答えている。
「これなのか・・・」
武もそのサイトを見た。だが、どう見ても普通の掲示板のようだ。本当にこの掲示板に原因があるんだろうか? 武は首をかしげた。だが、このサイトに事件の鍵を握る何かが隠されているのも事実だ。そう思うと、じっと見入ってしまう。
「でもわからないのよね」
「うーん・・・」
武は思った。これは自分1人で解決できないだろう。職場の仲間や生徒と解決しなければ。
「職場でも探ってほしいと声をかけておくからね」
「ありがとう」
武は時計を見た。そろそろ寝る時間だ。明日も仕事だ。早く寝ないと。
「今日はもう寝るぞ。おやすみ。寝坊するんじゃないぞ」
「おやすみ。ほどほどにするね」
武は寝室に向かった。それでも里子は調べていた。だが、徐々にあくびが出てくる。そろそろ寝ないと。明日も朝早くから家事をしなければならない。子供のためにも、家事は休めないんだ。
「うーん・・・、そろそろ寝るか」
里子はインターネットを閉じ、パソコンを消した。絶対にその原因を突き止めてやる! 絶対に子供を守るんだ!
翌日、武はいつものように目を覚ました。だが、気分が晴れない。あのサイトの事が気になって、あまり眠れない。そして、子供たちの事を考えたら、笑う事ができない。もう何日、こんな表情だろうか? 忘れてしまうほどだ。
「おはよう」
「おはよう。わかった?」
里子は首を横に振った。その表情を見て、武は下を向いた。まだわかっていないようだ。
「全くわからないわ。どうしよう」
「大丈夫大丈夫。俺も頑張るね」
武は肩を叩いた。やっぱり武は私の最高のパートナーなんだ。一緒になって、本当によかったな。これからも、いろんな困難を共に乗り越えていこう。
「ありがとう」
「いじめの事がかかれたら、突然黙る・・・。絶対そこに何かがあるとわかってるんだけど」
話は読めている。だが、その先が全くわからない。その原因となる書き込みを見つけたら、原因がわかるのに。それがなかなか見つからない。2人は焦っていた。
「私もそう思ってるわ。そこさえわかればなんとかなるのに」
「そうね」
里子は頭を抱えた。そこを何とかしないと。みんなの力があれば、何とかなるかもしれないけど。
「どうすればいいんだろう」
「書き込んだ人が言えばいいのに」
武は拳を握り締めた。書き込んだ人が、誰かにその事を言えばいいのに。それは絶対に秘密なんだろうか? 言う勇気がないんだろうか?
「確かに。だけど、言わないための何かがあるのかな?」
「そうかもしれない」
武はあっという間に朝食を食べ終えた。それでも気分が晴れない。
「ごちそうさま」
武はリビングに向かった。テレビでは、今日も行方不明事件の事が取り上げられている。最近はどのニュースやワイドショーもこの事件でいっぱいだ。早く解決しなければと思っても、手掛かりがなかなかつかめない。サイトの事も取り上げられている。その原因もやっている。だが、その先がわからない。
「テレビでもよく言ってるわね」
「ああ」
そこに、里子がやって来た。里子もそのニュースを食い入るように見ている。里子はため息をついた。
「早く手掛かりが見つかればいいのにね」
「うーん・・・。何とかできないものかね」
と、そこに怜太がやって来た。怜太もサイトの事を調べている。だが、怜太も見つける事ができない。怜太も表情が晴れない。サイトの事で頭がいっぱいだからだ。
「おはよう」
「おはよう。今日も行方不明事件の事、言ってるね」
怜太はそのテレビを食い入るように見ている。どうすれば原因がわかるんだろう。犯人は誰だろう。全く見当がつかない。
「怜太も気になるのね」
「ああ」
怜太は椅子に座り、朝食を食べ始めた。それでも、ニュースを見てしまう。とても気にしているようだ。怜太がこんなにニュースを気にしているのは初めてだ。それぐらいみんな注目しているんだな。
「早く何とかしないと」
「そうだね」
武は歯を磨いて、仕事に向かった。それを見て、里子は弁当を渡した。怜太はその様子をダイニングから見ている。父さん、早くその原因を突き止めてね。僕も頑張るから。
「行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
と、そこに怜太がやって来た。食べている途中なのに、どうしたんだろう。こんな事は一度もなかった。
「父さん・・・」
「どうした?」
「あの事件、なんとかしてね」
怜太は武の手を握った。武は戸惑っている。その表情を見て、武は決意した。怜太も頑張っているのだから、自分も頑張らないと。
「わかった。怜太もお願いね」
「うん」
武は家を出た。2人はその後姿を見ている。
「お互い大変だね。早く何とかしないと」
「そうだね」
2人はダイニングに向かった。今日こそは、その原因を突き止めてやると思いながら。




