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 その頃、カズら5人は敏別で大輔を探していた。大輔はここにいるかもしれない。そして、自分たちに見つからないようにどこかにかくまっているかもしれない。絶対に探し出してやる。そして、殺人容疑で逮捕せねば。


「すいません、この人、見かけませんでした?」


 沢は大輔の写真を見せた。男は顔が汚れている。作業したてで、お風呂に入っていないようだ。ここの労働者はみんなそんな感じだ。これだけ厳しい労働なんだな。


「うーん、時々見かけるなー。この男が怪しいとわかってるんだけど」


 男は大輔の事を知っていた。そして、みんな知っている。この男が最近、現実世界から子供たちを連れてきて、重労働をさせているんだと。何としてもこの男の悪だくみを阻止しなければ。その為には何をすればいいんだろう。全くわからない。


「そうなの?」

「うん。この男が現実世界から子供たちを連れ去って、死ぬまで労働させてるんだって」


 5人は驚いた。最近話題になっている行方不明事件の犯人が、大輔だとは。大輔があんなひどい事をしているとは。行方不明になった子供たちがここにいて、過酷な労働をさせられているとは。早く元の世界に戻さないと。


「大輔・・・」


 それを聞いて、カズは言葉を失った。大輔がこんな事をしていたとは。よほどいじめの過去が尾を引いているんだなと。あれで人々を憎むようになり、いじめっ子を捕まえて、ここで死ぬまで労働をさせていたんだな。そして、死んでいく子供たちを見て、喜んでいたんだろうか?


「あいつの事か?」

「はい・・・」


 カズは申し訳ない気持ちでいっぱいだ。大輔がこんなひどい事をして、連れ去った子供たちの家族に迷惑をかけている。その中には、死んだ子供もいるかもしれない。そう思うと、自然と涙が出てくる。


「勇人・・・、なんて事を・・・」


 沢は泣いているカズを見て、何とも言えない気持ちになった。大輔がどうしてそんな子供に育ってしまったのか。後悔だらけだ。もう帰ってこなくてもいい。刑務所で罪を償ってほしい。


「信じられないよな・・・」

「うん・・・。何とかしたい・・・」


 突然、男がカズの肩を叩いた。カズは頭を上げた。


「その気持ち、わかりますよ!」

「・・・、ありがとう・・・」


 と、住田はスマホを見ている。ここはスマホがつながらないはずなのに、どうしたんだろう。何か気になる事があったんだろうか?


「どうしたんですか?」

「佐藤さんとつながってる!」


 佐藤とは誰だろうか? 友人だろうか? 佐藤と聞いて、カズはハッとなった。先日訪ねてきたテレビ局の関係者だろうか? まさかここに来ているとは。佐藤もこの事件を追って、ここに来たんだろうか? 今どこにいるんだろうか? もし、会えたら早く会いたいな。


「誰?」

「職場の仲間ですよ」


 職場の仲間なのか。沢は驚いた。ここに来ている人がここにもいたとは。


「だったら、呼ぼうよ!」

「うん!」


 住田は考えた。佐藤に電話しよう。そして、敏別で再会しよう。




 その頃、佐藤ら6人は幾部にいた。結局、幾部に行ってもこれ以上手掛かりはなかった。ただ、勇人の過去がわかっただけだ。何の収穫もない。早く帰りたい。だけど、帰る手段はない。ここは現実世界ではないからだ。早く元の世界、現実世界に帰りたい。


 突然、誰かから電話がかかってきた。誰だろう。ここは現実世界じゃないのに、どうしてつながるんだろう。


「えっ、どうして電話が?」


 6人ともそれに反応した。ここで着信があるとは。まさか、現実世界から来ている人がまだいるのか? 佐藤は画面を見た。住田からの着信だ。まさか、住田もここに来たとは。ここに来たら、もう二度と帰れないのに。そして、帰ろうとしたら瀕死の犬にされるのに。佐藤は着信を取った。


「住田さん!」

「もしもし!」


 やはり住田の声だ。佐藤はほっとした。職場の仲間がここに来ているからだ。


「佐藤さん?」

「うん」


 やはり佐藤だ。でも、どこにいるんだろう。敏別だろうか? それとも、別の場所だろうか?


「今、幾部にいるけど」


 住田は驚いた。ここには幾部もあるのか。昔の敏別が再現されているのだから、あそこは昔の幾部が再現されているんだろうか?


「どうして?」

「ここで強制労働させられたので、逃げてきたんだよ」


 住田は驚いた。佐藤も強制労働をさせられているとは。ここに侵入して、事件の捜査をしていたから、ここで強制労働をさせられていたんだな。


「そうなんだ」


 ふと、佐藤は気になった。どうして住田もここに来たんだろうか? まさか、大輔を追って住田もここに来たんだろうか?


「でも、どうしてここに?」

「伊藤大輔を追ってトンネルに入ったら、こんな世界が広がってて」


 住田も大輔を追って、ここに来たようだ。だとすると、敏別に大輔が潜伏している可能性がある。また敏別に戻り、住田と再会して、一緒に大輔を探そう。


「伊藤大輔! やっぱりあいつが犯人だったんですよ! 行方不明事件の! 連れ去ってきたのはこいつなんですよ!」


 やはり大輔が行方不明事件の犯人だったのか。でも、どうして大輔がこんな事をしてしまったんだろうか? 疑問に思うばかりだ。勇人が子供たちを苦しめているのは、いじめの過去が原因らしいけど、大輔はどういう意図で子供たちを苦しめているのか。勇人と同じ理由だろうか?


「やっぱりそうだったのか! 今すぐこっちに行く!」

「わかった!」


 電話が切れた。これから佐藤もここに来るようだ。早くここに来てほしいな。そして、事件解決のために頑張ろう。


「やっぱり佐藤さんだったんですか?」

「はい」


 やはり佐藤だったのか。佐藤もこの事件を追って、ここにやって来たようだ。でも、どうやって脱出すればいいんだろう。全く思いつかない。出たら瀕死の犬にされてしまう。この状態で帰れるには、どうすればいいんだろう。そうしなければ、子供たちを救出できたと思えない。


「あの人もここに来てたんですね」

「早く何とかしないと」

「うん」


 男は拳を握り締めた。こんなひどい事を2人がしていたとは。もうここの事なんて、どうだっていい。2人を捕まえてやる。そして、地獄に送ってやる。


「勇人・・・、大輔・・・」

「早く何とかしましょう」


 住田は思った。何とかして子供たちを救い出さなければ。そして、大輔を見つけ出し、捕まえなければ。捕まえなければ、駆け込みサイトは続くだろうし、この後も犯罪が起こるだろう。

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