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その頃、大輔は敏別にいた。ここに逃げ込んで、別の入り口からどこかに逃げよう。すでにみんなが追ってきているだろう。雰囲気でそれがわかる。とりあえず、ハイエースは勇人の家の中に隠そう。そして、すきを狙ってまた逃走しよう。
「くそっ、ここまで来やがったか・・・」
大輔は焦っていた。ついに捜査の手がここまで伸びた。だが、通報する事はできないし、出ようものなら瀕死の犬にされてしまう。だから、ここにいれば安全だ。
大輔は決意した。また逃げよう。そして、次のターゲットが駆け込みサイトに記されるまで待とう。それしかない。
「早く逃げよう・・・」
大輔は勇人の家に入り、車庫にハイエースを隠した。あいつらの気配が消えるまで、ここにかくまっていよう。
「どうした?」
勇人は驚いた。大輔がここまで来るとは。あんまりないのに、何かあったに違いない。
「やばい、おばあちゃんがここまで来た! 早く捕まえて!」
「わかった!」
勇人は驚いた。まさか、ここまで来るとは。どうやってここに来たんだろうか? だけど安心だ。ここは現実の世界からは隔離されているし、ここから出ようものなら瀕死の犬にされるから、大丈夫だ。
「くそっ、カズがここまで来るとは・・・」
大輔は窓から辺りを見渡していた。もし、彼らに見つかったら、大変だ。しばらくここから出られないな。
「そんな・・・。まぁいい。呪いで外には戻れないだろう」
「そうだな・・・」
勇人は外に出た。今日もお参りに行かないと。勇人はいつも以上に辺りを見渡している。あいつらがやって来たからだ。見つかったら、どうしよう。特にカズは自分の事を知っている。もし会ったら、どうしよう。
勇人は山奥に入った。稲荷神社はその先だ。早く向かおう。そして、早くお参りを済ませよう。
勇人は稲荷神社にやって来た。あいつらには会わなかった。勇人はほっとした。勇人の目の前には、神様がいる。神様は思っていた。何とかしてこの敏別を復興できないだろうか? そのためには、彼らの力が必要だ。
「おはようございます。本日は1人を連れてまいりました」
「ご苦労。ここで捕まえて、死ぬまで労働させろ!」
神様は強い口調だ。この世界が再び炭鉱で反映するためには、彼らの力が必要だ。その為に、駆け込みサイトを通じて、悪い少年をここに送り、死ぬまで労働させるのだ。この世界をいい子ばかりにすれば、もっといい世界が作れるだろう。
「はい!」
だが、勇人の様子がおかしい。何かを考えているようだ。神様はその表情が気になった。
「どうした?」
「先日捕まえた4人の人間がどこかに行ったんです」
先日、勝手にここに侵入した人間がいる。彼らは労働者がかくまっていたが、稲荷神社の秘密を探りに来た男が捕まえられ、昇天したのと時を同じくして、ここにかくまっていたことがわかり、彼らを死ぬまで労働させていた。だが、ある日どこにもいなくなった。どこに行ったんだろう。いくら捜索しても、どこにもいない。
「そんな・・・。早く捕まえろ!」
「はい・・・」
だが、勇人はもう1つ考えいてる事がある。大輔を誰かが追っている事だ。その中にはカズもいる。どうしてここがわかったんだろう。
「うーん・・・」
「どうした?」
神様はその表情が気になった。まだ悩んでいる事があるんだろうか?
「いや、何でもないです・・・」
「そうか・・・」
そろそろ朝礼の時間だ。炭鉱に戻らないと。
「では、これで私は戻ります・・・」
勇人は稲荷神社を去っていった。神様はその後姿を見ている。
その頃、5人は敏別を歩いていた。これはまさに昔の敏別の風景だ。どうしてここに再現されているんだろうか? まさか、何らかの力でここに再現されているんだろうか?
「どうしてこんな場所に・・・」
「わからない。幻でも見てるんじゃないかな?」
警察は呆然としていた。どうしてここに敏別はあるんだろうか? もうここは湖の底なのに。まるで夢を見ているかのようだ。それとも、タイムスリップをしたんだろうか?
「そうかもしれない」
ふと、住田は思った。ここは死者の集まる町だろうか? 自分たちは、地獄に来たのでは? 空が赤くて、どこか不気味だ。
「ここって、死人ばかりが集まってるのかな?」
「わからない。でも、そうっぽいな。怖いな」
と、彼らは歩いている子を見つけた。その男の子は、元気がなさそうだ。そして、普通の男の子のようだ。それに、服が現代的だ。まさか、ここに連れ去られた男の子だろうか?
「あれっ、あの子・・・」
「どうしたんですか?」
沢もその男の子が気になった。かなり過酷な労働をさせられているようだ。何とかして助けたいな。でも、その前にここの謎を解かなければ。
「あの子、どこか怪しいね。生きた人間みたい」
「本当?」
「うん」
沢はその男の子に話しかけようとした。どうしてここに来たのか? もしそうなら、誰に連れてこられたのか?
「君、どこから来たの?」
「東京。誰かに連れてこられたの」
やはりそうなのか。だとすると、あの駆け込みサイトが原因だろうか? こんなひどい事をしたのは、誰だろう。
「それは誰?」
「わからないの・・・」
男の子は、そのショックから、誰が連れ去ったのか覚えていないようだ。もし知ってたら、行方不明事件の捜査が大きく進展したのにな。
「覚えてないみたいだな。じゃあ、この人、知ってるかな?」
沢は大輔の写真を見せた。それを見て、男の子は思い出した。この男がここに連れてきたんだ。
「・・・、この人!」
「どうしたの?」
沢の表情が変わった。大輔を知っているのか? もしかして、大輔がここに連れ去ったのか?
「この人に連れてこられたの!」
「えっ、大輔が・・・・」
住田は呆然となった。行方不明になり、捜査していた大輔が、まさか犯人だったとは。そして住田は思った。今、大輔はどこにいるんだろう。早く捕まえないと。
「大輔がそんな事をしていたとは」
沢は信じられなかった。あんなに優しかった大輔が、こんな事をするなんて。
「大輔・・・。なんてひどい事を・・・」
カズも信じられなかった。大輔がこんな事をやってしまうなんて。とても信じられない。




