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 その夜、佐藤は大輔の事を調べていた。大輔はどこに行ったのか、ここに来ていたというのは事実だ。早く探さないと、カズが心配している。


「すいません、伊藤大輔って人、見ませんでしたか?」


 その名前を聞いて、男は何かを思い出した。大輔という名前に見覚えがあるようだ。


「ん? 大輔って人は知ってるんだけど。こんな人ですけど!」


 男は佐藤に大輔と言われている男の写真を見せた。怪しい服を着ていると思い、隠し撮りしたのだ。それを見て、佐藤は驚いた。それは伊藤大輔じゃないか。どうしてここにいるのか?


「この男だ!」

「こいつ、伊藤大輔っていうのか」


 男は拳を握り締めている。男は大輔が気に入らないようだ。でも、どこが気に入らないんだろう。


「はい。この人、行方不明になっていて、その行方を追ってるんです。調べていて、ここに来てるみたいなんですけど、まさかここだとは」


 佐藤は思った。どうしてここに来ているんだろう。大輔がいなくなった事に何か関連があるのでは?


「あいつ、どうしてここに来てるんだ。俺たちにもわからないよ」


 男はやらしい表情だ。大輔がとても許せないようだ。ひょっとして、あの子供たちは、大輔が連れてきたんじゃないかなと思っている。


「そうなんだ。で、ここはどこなの?」

「敏別だよ。見ればわかるだろ? もう湖の底だけど、幻の状態でここに存在してるんだ」


 やはりここは敏別のようだ。すでに湖底に沈んでいるのに、どうしてここにあるんだろう。やっぱりここは幻のようだ。ここは湖底に沈まずに、今でも存在しているようだ。


「そうなんだ。こんな形で残ってるとは」


 佐藤は敏別を見渡した。昔もこんな感じだったんだろうか? ここで多くの人々が働き、そしてにぎわったんだな。だけど、エネルギー革命で閉山して、炭鉱の跡は湖の底に沈んでしまった。


「で、ここを支配してるのは、誰なの?」

「30年ぐらい前は山本って人が支配してたんだけど、今は違う人に変わりまして。突然の事でして」


 30年ぐらい前なのか。どうして変わったんだろう。ここの人は死なないらしいのに。何かあったんだろうか?


「なるほど、突然ここを支配するようになったんだ」

「うん。どうしてだろう」


 男も疑問に思っている。ひょっとして、何かあるんじゃないだろうかと。山本はいい経営者だったのに、ある日突然、別の人になってしまった。変わってしばらくは安定していたのに、ここ最近は若い子が連れられてきた。その子供たちは死んでいく。普通ではありえない。どうしてだろう。


「それがわからないんだ」

「それに、あの勇人って、誰なんだろう。俺にもわからないんだ」


 現在は勇人という男がここを支配しているのか。勇人って、どんな人だろう。ここに子供たちを連れてきて、死ぬまで労働させている。明らかに何かありそうだ。


「そうなの?」

「30年前に現れて、急にここを支配するようになったんだ」

「そうなんだ・・・」


 と、佐藤はある事件を思い出した。30年前に自殺した山中勇人だ。葬儀は行われたものの、遺体が見つからなかったという。どうして遺体が見つかっていないのか? まさか、ここを支配しているのが勇人なんだろうか?


「どうしたんですか?」

「いや、勇人って聞いて、山中勇人っていう人を聞きましてね」

「山中勇人?」


 男は首をかしげた。そんな男、初めて聞いたな。でも、勇人と聞いて、何かあるんじゃないだろうか?


「30年前に敏別湖に投身自殺したんですけど、遺体が見つからなかったんです」


 敏別湖と聞いて、男は反応した。山中勇人って、どんな人だろう。まさか、ここを支配している勇人だろうか?


「えっ!? どんな人ですか?」

「こんな人です」


 佐藤は山中勇人の写真を見せた。そこには、30代の男の写真がある。それを見て、男は驚いた。それは勇人じゃないか? まさか、勇人がこうしてここにやって来たとは。


「こ、これは! この人です!」

「そんな・・・。どうしてあいつが・・・」


 その時、佐藤はここを支配している勇人がどんな奴なのかわかった。ここを支配しているのは、30年前に自殺した勇人だと。あの時死んだと思われていたが、まさかここで炭鉱を支配しているとは。


「わからない。でも、遺体が見つかってないから、ここで生きてんじゃないかなと」


 佐藤は思った。どうしてそんな事になったんだろう。全くわからないな。それに、ここ最近どうして子供たちを連れ去るようになったのか。


「どうしてそんな事になった?」

「私にもわかりません」

「そんな・・・」


 それよりも、佐藤には気になっていることがある。大輔の事だ。大輔と勇人は、何か関係があるのでは? まさか、大輔が子供たちを連れ去ったのでは? それとも、子供たちを連れ去ったのは勇人じゃないだろうか?


「何はともあれ、あいつは誰なのか、調べよう」

「ああ」


 男は険しい表情になった。子供たちを連れ去って、死ぬまで重労働させている勇人が許せなかった。あの子たちにはもっと明るい未来があるはずなのに、どうしてこんな事にするのか?


「勇人め・・・。お前は何をやってるんだ・・・。もう許さない。絶対に懲らしめてやる!」

「そうだそうだ!」


 佐藤は考えた。その他に、勇人に関して何か不審な事はないか? もしあったら、調べたいな。きっとそれが事件の河相結につながるかもしれないから。


「何か不審な事、やってないか?」

「毎朝、山に行くんだ」


 やっぱり山に行くのか。その山に何かあるんだろうか?


「やっぱりそうか」


 2人は思った。勇人には何か秘密があるようだ。絶対にそれを突き止めないと。

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