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 光は辺りを見渡していた。弘人と勝が気になるのだ。まだ見つからない。早く会いたいな。でも、どこにいるかわからない。ここにいるのかどうかもわからない。だけど探し出さなければ。自分が地獄に追いやったんだから、自分で連れ戻さなければ。


「どこにいるんだろう」

「どうしたの?」


 武はその表情が気になった。まだ2人の事を考えているようだ。そんなに気になるんだな。その情熱に応えなければ。武は絶対に彼らを救い出すと考えた。


「弘人くんと勝くん」


 光は泣きそうになった。どうしたらいいかわからない。ただ、ここで見つからないまま、ここから抜け出せないままなのか。それは嫌だ。


「心配だよね。早く見つけような。みんなも救わないといけないんだけど」

「ああ」


 と、歩いていた老人が弘人と勝の写真を見て、反応した。2人を知っているようだ。だが、彼らは全く気付いていない。


「この子・・・」


 その声を聞いて、彼らは反応した。誰か、知っている人がいるんだろうか?


「えっ、どうしたんですか?」

「この子、見ました!」


 それを聞いて、光は驚いた。まさか、弘人と勝を見つけたとは。その子は、どこにいるんだろう。早く教えてくれ。


「えっ!? この子、現代から連れ去られたんですけど」

「やっぱりそうだったのか! おかしいと思った!」


 やはり現実世界から連れられてきた子供だったのか。道理でおかしいと思った。ここは生きている人々が来る場所ではないのに。どうしてあの子たちが来るんだろう。男は気になっていた。


「どこですか?」

「今日は第5抗に入ったな」


 男は知っていた。あの2人は今日は第5坑から入った。そろそろ第5抗から従業員が出てくる所だ。早く行った方がいい。その中にいるかもしれない。


「そっか・・・。早く追わないと」


 光は思っていた。坑道の中に入ってまでも、2人を見つけ出す。そして、自分が地獄送りにしたのを謝るんだ。どんな事を言われるかわからない。だけど、謝らなければ。


 だが、男の表情が変わった。光が坑道の中に行こうとしているのを知っているかのようだ。


「中は迷路みたいだぞ! どこに行ったか知らないぞ!」


 それを聞いて、光は呆然となった。そんなに迷路なのか。崩落したらどうしよう。自分も、弘人と勝も助からないかもしれない。


「うーん・・・。どうしよう・・・」


 と、武は思った。入口で待とう。そうすれば、きっとやって来るだろう。どれだけかかるかわからないけれど、早く行こう。


「帰ってくるのを待とうかな?」

「そうだね」


 彼らは決意した。坑道の前で弘人と勝を待とう。そうすれば、安全に会えるだろう。


 と、男は考えた。どうして生きている人々がここに連れてこられるんだろう。何か理由でもあるんだろうか? 悪い事をしたんだろうか?


「それにしても、どうして現代の人を連れ去ってきたんだろう」

「掲示板で、いじめた子をここに連れてきたんだって。それで、死ぬまで労働させるって」


 現代でそんな事が起こっているとは。それだけでここに連れてこられて、死ぬまで労働をさせるなんて。子供たちが悲惨な目に遭って死んでいくのは見たくない。こんな苦しい環境の中で育ってほしくない。もっと明るい環境で伸び伸びと育ってほしいのに。


「そんな事を・・・」

「びっくりした?」

「うん」


 男は拳を握り締めた。こんなひどい事をする人がいるなんて。とても許せない。誰がそんな事をさせているんだろうか?


「こんなひどい事をする人がいるなんて、信じられない」

「そうだろう。現代にはこんな事をする奴もいるんだよ」


 武は思った。誰がこんな事をするんだろう。彼らの予想では、伊藤大輔が怪しい。ここに出入りしているって事は、何かをしているようでしょうがない。


 その隣にいる老人は、拳を握り締めている。男には怪しいと思っている事がある。この炭鉱を収めている勇人という奴だ。あいつは何かを企んでいるようでしょうがない。陰で何をやっているんだろう。突き止めなければ。


「あの勇人って奴か」

「ああ」


 老人は勇人が許せなかった。生産力を高めるために、現実世界から子供たちを連れ去って来るなんて、とてもひどい事だ。子供たちにはもっと夢を持って生活してほしいのに、こんな事をさせているなんて。とても許せないな。


「あいつ、こんな事をして生産力を高めようとしているなんて。そんなの許せない」

「だろう。それに、連れてこられた奴らがかわいそうで。早く現代に帰さないと」


 男は老人の肩を叩いた。なんとしても彼らは元の世界に戻さなければ。もっと伸び伸びと生活してほしいから。


「その気持ち、わかるよ」

「ありがとう」


 と、第5坑の出口から、労働者が出てきた。みんな泥まみれで、汗をかいている。とても重労働のようだ。


「あっ、出てきた」


 それを聞いて、光は彼らを見つめた。だが、弘人と勝は見つからない。どこに行ったんだろう。まさか、別の出口から出てきたんだろうか? いや、入った坑口から出てくるはずだ。


「いるかな?」


 と、2人の青年が出てきた。それを見て、光は目を大きく開いた。弘人と勝だ。彼らはボロボロで、疲れ切っている。どこか死んだような目をしている。


「あっ、あの子だ!」


 光は弘人と勝に駆け寄った。だが、2人はそれに反応しない。疲れ切って、全く気力が出ないようだ。


「弘人くん、勝くん!」


 その声に、2人は反応した。光なのか。まさかここまで来るとは。ここに来たらもう二度と帰れないのに、どうして来るんだろう。まさか、光も地獄流しにあったんだろうか?


「あれっ、光・・・」

「無事だったんだね!」


 それを見て、武はほっとした。2人とも、助かったようだ。これで一安心だが、まだ安心できない。みんな現実世界に戻ってからが安心する時だ。


「よかったよかった、橋本も阿部も無事だった」

「知らない人に連れ去られて」


 2人は連れ去られた当時の事を思い出した。知らない男に連れ去られて、手足を縛られ、目隠しをされた。やっと解放されると、そこは炭鉱だった。そしてここで死ぬまで労働しろと言われた。どうしてかというと、お前が悪い事をしたから、地獄流しにしたんだと言われた。


「ごめん、僕が掲示板に書き込んでしまったせいで」


 あの掲示板とは、駆け込みサイトの事だろうか? 2人はその掲示板の事を知っていた。まさか、あの掲示板でこんな事が起こるなんて。


「いいんだよ。ここでお仕置きを受ける事で、悪い事をしてしまったんだと痛感したんだよ」


 彼らは焦っていた。とにかく、ここから人間の姿で戻る方法を見つけないと。このまま帰ろうとすると、瀕死の犬にされてしまう。


「とにかく、ここから逃げる方法を見つけないと。ここから出たら犬にされてしまうらしいから」

「そうだね」


 それを聞いて、佐藤は思った。きっと、勇人がどこかで生きているんだ。そして、彼らを連れ去ったんだと。


「勇人に何かがあるに違いない。その真相を調べないと」


 佐藤は決意した。勇人の居場所を何としても見つけ出さなければ。

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