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 4人は集落の中にやって来た。そのほとんどは平屋の木造で、古そうな外観だ。だが、そんな中に、2階建てのアパートや比較的新しいマンションもある。資料館にはこんな写真がなかったが、昔の敏別もこんな感じだったんだろうか? どんな生活を送っていたんだろうか?


 彼らの様子を見て、光はかわいそうに思えてきた。多くの人々の服がボロボロだ。こんなボロボロな服を着ていたら、新しく買いなさいと言われるだろう。だが、彼らにはそんなお金もないのだろう。


「みんな服がボロボロだ」

「かわいそうだね」


 上田も彼らがかわいそうだと思えてきた。彼らに新しい服を与えたいのに、自分にはできない。


 と、光は思った。ひょっとして、弘人と勝もこんな感じの服を着て労働させられているんだろうか?


「まさか弘人と勝もこんな感じなのかな?」

「わからないけど、そうだったらひどいな」


 武は焦っている。なんとしても弘人と勝を見つけないと。ここにいるかわからないけれど、探さないと。


「とにかく、見つけよう。みんなに聞こうよ」

「ああ」


 と、そこにボロボロの服を着た中年の男を見つけた。その男は、まるで幽霊のように肌が白い。いや、本物の幽霊ではないだろうか?


「すいません、こんな子、見かけませんでした?」

「いやー、見かけないなー」


 だが、中年の男は首をかしげた。この2人を見た事がないようだ。


「そうですか・・・」


 中年の男は何か気になる事があるようだ。もしあれば、話してほしいな。


「ここ最近、若い子がやってきて、何だろう」


 ここには死んだ人々がやって来るのに、肌のいい若い子がやって来るのだ。ここは死人しか来ないのに、どうしてだろう。まさか、生きている人々がここに連れ去られたんではないだろうか?


「気になるんですか?」


 中年の男は、何かに起こっているようだ。何か不満でもあるんだろうか?


「ここ経営してる人、とってもひどいよ。俺たちは絶対に死なないからという事で、ひどい労働をさせるんだ。それに、それを楽しんでるみたいなんだ」


 そんなひどい奴が経営しているのか。一体それは誰なんだろう。今すぐ会って、注意したいな。でも、経営者って、誰なんだろう。とても気になるな。


「そうなの?」

「それに、最近新しい子を連れてきて、そいつらを死ぬまで労働させるんだ」


 新しい子と聞いて、光は反応した。まさか、その新しい子の中に弘人と勝がいるのでは?


「そ、その子、どこから連れてくるんですか?」

「わからん。じゃが、やけに都会っぽい子だな」


 中年の男は思っている。彼らはどこか、都会からやって来たような雰囲気だ。どうしてこの子たちはここに来たんだろう。とても怪しいな。


「そんな・・・。じゃあ、行方不明になった子かな?」

「行方不明?」


 行方不明と聞いて、中年の男は首をかしげた。行方不明事件が起こっているとは。だとすると、最近連れられてきた子は、行方不明になった子供たちでは? ならば、早く元の世界の返してやらないと。


 と、佐藤は真剣な表情になった。今、何が起きているのか話さないと。


「ここ最近、子供たちが行方不明になってるんですよ。で、その子かなと思って」


 そんな事が起こっているとは。これはほっとけないな。だが、そっちからではどうしようもない。


「うーん、否定できないな」


 それに、中年の男は気になっている事がある。それは、連れられてきた子供についてだ。明らかに普通の子のようだ。どうしてこんな子がここに来たんだろう。


「ここの連中、死なないはずなのに、この子は死ぬんですよ。おかしいでしょ?」


 それを聞いて、武は思った。やはりあの子は現実の世界から連れ去られた子供たちでは? ひょっとして、駆け込みサイトで書き込まれて、連れ去られたのでは?


「それ、本物の人間じゃないですか?」

「そんな・・・」


 中年の男は呆然となった。まさか、この世界に生きた子がやって来るとは。ここに来てはならないのに。帰ってきたら犬にされてしまうのに。


「だったら、どうして死ぬんですか?」


 中年の男は泣きそうになった。彼らが死んでいくのがかわいそうでしょうがない。ここではみんな死なないのに、どうして彼らが死ぬのか。やっぱり彼らは本物の生きた子ではないか?


「確かにそうですね。本物の人間かもしれん」

「やっぱり行方不明になった子じゃないかな?」


 光も思った。きっと彼らは、駆け込みサイトで書き込まれ、連れ去られた子供たちだ。


「きっとそうに違いない!」

「そんな事があるんですか?」


 中年の男は驚いた。こんな事が現代で起こっているんだ。自分の知らないうちに、とんでもない事が起こったな。何とかしないと、彼らは死んでしまうぞ。


「はい。かなり問題になってるんですよ」

「そんな・・・。そんなの許せないよ」


 中年の男は思った。それは許せない。何が何でも助けないと。そのためには、何をすればいいんだろう。全くわからない。


 と、光は下を向いた。自分が行方不明にしたのを言っていいんだろうか? そう悩んでいると、武が肩を叩いた。勇気を出して、言ってもいいんだよ。


「僕、その子たちを行方不明にしてしまったんです・・・」

「そうなのか?」


 だが、中年の男は普通の表情だ。何も言われない。この人は優しいな。


「はい。とある掲示板に書き込んで、いじめだったらどこかに連れ去られるっていうんです。その子たちが、ここに連れられているのではと思って」

「うーん・・・、そうだなぁ・・・」


 中年の男性は思った。だったら、ここに連れられた子供たちは、それで書き込まれた子供たちかな?


「とにかく、もっと探そう! それしかない!」

「そうだね」


 武は思った。もっと情報を集めたら、きっとわかってくるだろう。早くその真相をつかまないと。


「頑張ろう!」

「ああ」


 4人は再び歩き出した。歩いて行って、誰かに事情を聴いていれば、きっといい情報を得られるかもしれない。頑張っていこう。

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