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 4人は敏別トンネルの中を歩いていた。だが、なかなか閉塞地点が見えない。資料によると、どこかで行き止まりになっているはずだ。だが、どれだけ歩いても見当たらないのだ。このトンネルは300mぐらいだ。そんなに長くないはずだ。なのに、どうして行き止まりが見えないんだろうか? 明らかにおかしい。


「これが敏別トンネルなのか」

「途中で行き止まりのはずなんだけど」


 武も疑問に思えてきた。いったい何だろう。まさか、謎の力が働いているのでは? 行方不明事件も、大輔がいなくなったのも、これが影響しているのでは?


「あれっ、行き止まりがない・・・」


 光と上田もおかしいと感じてきた。2人も感じていた。不思議な力でこうなっているんだと。


「おかしいな・・・」


 しばらく歩くと、光が見えてきた。戻ってきたのかな? いや、その先には明らかに雪原ではない光景が広がっている。どうしてそんな所に来てしまったんだろう。4人は出口に向かって走り出した。その先にはどんな光景が広がっているんだろう。全く想像がつかない。


 トンネルを抜けた4人は、辺りを見渡した。そこには、集落が広がっている。武は足元を見て、違和感を感じた。なんと、レールが敷いてあるのだ。もう撤去されたはずなのに、どうしてだろう。


「ここは?」


 光は首をかしげた。とても現代の日本とは思えない光景だ。まるで終戦直後の日本のようだ。いったいここはどこなんだろう。


 と、武は資料館の光景を思い出した。敏別の光景にそっくりだ。まさか、ここは昔の敏別なのか? もしかして、自分たちは昔の敏別に来てしまったのでは?


「これは、炭鉱?」

「ひょっとして、敏別?」


 上田もそう感じていた。だが、明らかに変だ。どうして自分たちは、過去の敏別に来てしまったんだろう。その原因が全くわからない。


「本当だ! でもどうして?」

「わからない。もう湖の底なのに、どうして?」


 佐藤は首をかしげた。すでに敏別はダム湖の下だ。でも、どうしてここに残っているのか? まさか、俺たちは幻を見ているのでは?


「バーチャル空間だろうか?」


 光はバーチャル空間を思い浮かべた。ここだけ昔の敏別を残しているんだと思っている。


「そうかもしれない」


 佐藤は辺りを見渡した。多くの人が行きかっている。彼らは顔も服も汚れている。彼らは炭鉱で作業をする人々と思われる。


「多くの人が行きかってるね」

「ああ」


 光は拳を握り締め、彼らを見ていた。光は考えていた。ひょっとして、この中に弘人と勝はいるのでは?


「ここに弘人と勝がいるのかな?」

「だったらいいけど、心配なの?」


 武は光の事を考えた。弘人も勝も、光が地獄に送り込んでしまった。その責任を痛感している。光のためにも、何とかしないと。


「もちろんだよ! 僕が地獄送りにしたんだから」


 やはりそのようだ。だからこそ、なんとしても弘人と勝を助けたいんだな。助け出して、仲直りしたいな。


「・・・、その気持ち、わかるよ・・・」

「ありがとう・・・」


 佐藤は決意した。彼らのためにも、捜索しないと。ここにいるかどうかはわからない。だけど、やってみないとわからないだろう。


「とにかく、探索するぞ!」

「はい!」


 と、そこに労働者らしき人がやって来た。その男は、まるで幽霊のように肌が白い。どうしてだろう。


「ここは?」

「敏別じゃ。だが、ここは時が止まった空間。もう現実にはないんじゃ」


 現実にはない場所だと? なら、この敏別はどこなんだろう。まさか、幻の世界だろうか?


「そうなんだ・・・」

「うーん・・・」


 彼は何か、考え事をしている。何か、気になる事でもあるんだろうか? あれば、俺たちに話してほしいな。


「どうしたんですか?」

「ここ最近、若い子がやってくるんだ。どうしたんだろう」


 若い子? どうして若い子がやって来るんだろうか? まさか、若くして命を落とした人々だろうか?


「えっ!?」

「よくわからん」


 彼は首をかしげている。どうしてやって来るのかわからない。


 と、光はある事を思い出した。弘人と勝の事だ。まさか、彼らも若い子の中に含まれていないだろうか?


「弘人、勝・・・」

「どうしたの?」


 武は光の表情が気になった。まさか、弘人と勝の事を思い出したんだろうか? このに来ているかもしれないと思っているんだろうか?


「いや、あいつらかなと思って」


 上田は真剣になった。それは否定できない。とにかく調べよう。それからだ。


「否定できない。探そう」

「ああ」


 4人はその先の集落に向かって歩き出した。その先の集落には、もっと多くの人が歩いている。そこに行けば、もっと詳しい情報がわかるだろう。


「まさか、その若い子ってのが、行方不明になった子供たちかな?」


 佐藤もそう思い始めた。もしそうなら、これは大問題だぞ。早くその理由を調べないと。


「そうかもしれない。とにかくもっと調べるぞ!」

「うん」


 だが、光は思っていた。どうしてこんなサイトができて、書き込まれた人がここに連れ去られたんだろう。


「うーん・・・」

「どうしたの?」


 武は光を心配した。まだ悩んでいることがあるんだろうか? もしあったら、僕に話してほしいな。


「どうしてこうなったんだろう」

「わからないよ」


 武も疑問に思っていた。どうしてあんなサイトができて、子供たちがいなくなったんだろう。何か、子供に恨みがあるんだろうか?


「そうだね。だけど、ここにいる子供たちが誰なのかを調べよう!」

「うん!」


 と、佐藤は再び辺りを見渡した。これが昔の敏別なのか。資料館で見た風景と一緒だ。まさか、それを生で見られるとは。奇跡に近いな。


「これが昔の敏別なのか・・・」


 と、横にいた武が突っ込んだ。武はもっと真剣に彼らを探そうと思っていた。


「感心してる場合じゃないでしょ!」

「はい・・・」


 4人は敏別の中心に向かって歩き出した。その先に行方不明になった彼らがいると信じて。

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