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 それから30年後の話だ。何事もなかったかのように時が流れた。その間に東京は様変わりした。近代的になり、スカイツリーができた。2020年に開催される東京五輪のために国立競技場が新しくなった。だが、その年に起こった新型コロナウィルスがそんな近代化を停滞させた。様々なイベントが中止や延期になった。東京五輪が1年後に延期になった。翌年の2021年に開催されたものの、無観客や隔離などで、楽しみに欠ける大会だった。周囲では反対意見は多かったものの、大成功を収めたと言われている。


 ある日の東京の中学校での出来事だ。教員の鈴木武すずきたけしはいつものように中学校にやって来た。武はこの中学校にやってきて2年目だ。年齢は40歳。何度も転勤を繰り返しているが、慣れてきてあんまり気にしなくなっている。公立中学校での転勤はしょっちゅうの出来事だ。多くの別れがあるけど、その間にも新しい出会いが待っていて、いろんな子供たちと触れ合える。それが教員の醍醐味だと思っている。


「うーん・・・」


 武がよく見ると、同じく教員の塩田しおだが頭を抱えている。何か、問題が起こっているんだろうか? 武は気になった。


「どうしたの?」


 すると塩田はある新聞の記事の切り抜きを見つけた。そこには連続行方不明事件の記事がある。武はその記事を食い入るように見ている。武も知っているようだ。


「また神隠しなのか」

「またですか?」


 ここ最近、小学生から社会人が次々と謎の失踪をしているという。人々は『神隠し』と言って、気にしている。それは一体、何が原因だろうか? どうして彼らは誘拐されるんだろうか? 謎だらけで、頭が痛くなる。


「ああ。ニュースで話題になってるんだけどね」

「ふーん・・・」


 塩田はとても気にしていた。教員として、これは放っておけない問題だ。いち早くその原因を突き止めないと、生徒たちが心配だ。生徒たちが死なないか不安になってくる。この中学校ではまだ起こっていないけれど、いつ起きてもおかしくない。


 だが、武はあまり興味のない様子で聞いている。そんなうわさ、すぐに消えるさ。そして、いつもの日々がまた始まるに違いない。


「興味ないんですか? ニュースでやってますよ! 小中学生がいなくなってるんですよ!」

「うーん・・・」


 それを聞いて、武は頭を抱えた。生徒は大切にしないと。早く戻ってきてほしいのに。


「だろう。教員として気にしろよ!」

「はい・・・」


 武は頭を抱えた。どうしてこんな事が起こるんだろう。事件には、何らかの理由があるに違いない。その原因がまだ見つからない。早く見つけないと、さらに被害が出てしまう。


「それにしても、どうしてこんな事が起こるんだろう」

「気になりますね。それによって消えた子供たちが気がかりだ」


 2人はそれによって消えた子供たちを気にしていた。いったい彼らは、どこに行ったんだろう。全く手掛かりがつかめない。何か、言えない理由があるんだろうか? 何か、失踪につながる手掛かりがあるんだろうか?


「そうだな」


 と、チャイムが鳴った。そろそろ授業に行く時間だ。生徒が待っている。早く行かないと。


「さて、行ってくるか」


 武と塩田は教室に向かった。教室は2階にある。2人は担任をしているクラスが隣同士で、とても仲が良い。


 教室に武がやって来た。子供たちは緊張している。武は怖い表情だ。何か悪い事でもあったんだろうか?


「起立、礼!」

「おはようございます」


 起立とともに立った生徒は、席に座った。武はその様子をじっと見ている。


「えーっと、最近、神隠しが多発してるの、知ってるか?」

「わからないです」


 生徒の1人、山崎に聞いたが、全くわからないような表情をしている。本当にこの子は知らないようだ。だが、武は怪しく思っている。山崎は何かを隠しているのでは?


「そっか。まだ原因がわかっていないが、怪しい物には手を出さないように。そして、何かがあったら、先生に言う事!」

「はい!」


 生徒は周りの様子を見た。誰かがその原因を知っているんじゃないかと思っている。だが、誰も知らないような表情をしている。




 休み時間、職員室で教員は話をしていた。話題はもちろん、あの神隠しの事だ。いったい、何が原因でやっているんだろう。そして、消えた人々はどこに行ったんだろう。全く想像がつかない。


「原因がわからないってのが、気になるよね」

「うん」


 武は頭を抱えた。考えれば考えるほど頭が痛くなってくる。どんなに忘れよう、落ち着こうと思っても、また考えてしまう。


「どうしたらいいんだろう」

「気になるよね」


 武は横を向いた。そこには岡田という教員がいる。


「ああ。早く原因が見つかるといいね。俺も調べとくから」


 岡田は調査を手伝うと言ってくれた。でも、どうやって調べるんだろう。全く手掛かりはないのに。


「わかった」


 武は時計を見た。そろそろ部活を見てくる時間だ。早くグラウンドに行かないと。


「さて、部活を見に行ってくるか」

「行ってらっしゃい」


 武は部活に向かった。岡田はその後姿を見ている。岡田はどの部活も持っていない。そろそろ帰ろう。


「さて、今日は帰るか」


 岡田は帰っていった。なんとしても、神隠しの原因を突き止めてやる! 俺は大切な生徒を守るんだ!




 夜、武はいつものように家に帰ってきた。武は妻の里子さとこ息子の怜太れいたの3人家族だ。怜太は中学校2年生で、武とは別の中学校の生徒だ。成績は優秀で、部活ではレギュラー格だ。


「うーん・・・」


 門から玄関までの道を、武は考えながら歩いていた。どうして行方不明事件が起こっているんだろう。全く見当がつかない。だけど、絶対に真相を突き止めてやる! 子どもたちを守らなければ! その思いが、武を突き動かしていた。


「ただいまー」


 武は玄関を開けた。武はほっとした。家に入ると、なぜかほっとする。どうしてだろう。これが家族愛だろうか?


「おかえりー。どうしたの?」


 里子は気になった。武は何を考えているんだろう。全く見当がつかない。


「いや、あの神隠しが気になって」


 それを聞いて、里子も反応した。里子も神隠しの事を知っているようだ。近所との井戸端会議でよく耳にする。この辺りでは被害が出ていないものの、この辺りのどの人々も気にしていた。


「あー、あれね。私も調べてるんだけど、全くわからないのよ」

「そうなんだ」


 里子も調べていたとは。こんなに大事件と思われているんだな。これは何とかしないと。

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