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私のおほ声を聞け!  作者: 冷泉秋花
風紀委員会編
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後日談(恵先輩と同好会)

部屋に入ってきたのは天宮と綾乃先輩、千春の3人だった。御園先輩は今日は用事でいないらしい。

『私は淫乱です』プレートを首から下げて恵先輩が部屋の隅に座っている。ちなみに俺は顔に『ど畜生』と書かれた。今の俺の怪我では自分一人で消すことができない。俺の周りで消してくれそうなのは律花ぐらいだろうか。勉強でしばらく次に来るのは1週間後と言っていた。1週間このままか……

「全く隙あらばこれなんですから。本当に変態ですね」

「いや元はといえばお前の案だろ! 別に俺が変態というわけじゃ」

「そもそも成人向けのASMRを聴き込んでいる時点で変態でしょう」

「お前、それ自分に返ってるだろ」

「何を言っているんですか? 私は変態じゃないですか」

そうだった。今更天宮に変態なんて言っても仕方ない。

「せっかくみんなで考えた調教メニューを一人で勝手にやるなんて論外です」

「いや俺はお前らの下賎な欲望から恵先輩を守ろうと思ってだな」

「そうには見えなかったけど」

先輩が目をうるうるさせて言う。

「まあいいや。それで今日はどうしたんだ?」

「いや全然よくないですけど。千春さんもなんとか言ってくださいよ。危うく病室で律さんと恵先輩が連結しちゃうところだったんですよ?」

「えっ、ああそうやね」

千春はどことなく気まずそうだ。天宮が少し困ったように俺の目を見る。さっきのやりとりは天宮なりに千春と恵先輩の距離を縮めるためのものだったらしい。それにしては俺へのダメージが多かったように感じるが。

「律さん、メニュー表どこです?」

「ああ、あそこの棚の上だ」

それを聞くと天宮が例のノートを手に取りパラパラと捲る。というか恵先輩にやらせたいことノートをメニュー表って言ったなこいつ。

「同好会メンバーで一回ずつ恵先輩に命令できるっていうのはどうですか?」

「えっ!?」

恵先輩が驚いて体を震わせる。

「いいですよね先輩? 私たちいっぱい迷惑かけられちゃいましたし、怪我人も出てますからこれぐらいは聞いてもらわないと」

「ま、まあ僕たちは負けたわけだし無理のない範囲でなら……」

さっき見たノートの中身を思い出して先輩が震えている。

「それって別にノートに書いてあることじゃなくてもいいんだよな?」

「律さんはもう使ったのでダメです」

「そんなバカな!?」

くそっ納得いかない。それならもっと考えたのに。でもまあよく考えたら恵先輩は俺の雌奴隷なのだから慌てることもないか。

「じゃあ、私はこれに……いやでもこっちもいいですね。千春さんはどうします?」

「えっ私は……」

千春が黙り込む。しかし、意を決したように先輩に近づいていく。

「謝ってください。私とみんなとそして律に。うやむやな形じゃなくてちゃんと。恵先輩は色々と苦しんでいたのかもしれませんけど、やっぱり私は同好会を巻き込んでほしくなかった」

千春が真剣な表情で言う。病室がしんと寝り返った、俺がこう言う空気が好きじゃなくて、うやむやにしようとしていた部分もあるので少し胸が痛い。きっと恵先輩が同好会に入る上で避けるべきではないと千春なりに考えたのだろう。

「そうだね。千春ちゃんの言うとおりだ」

先輩がプレートを床に置き、立ち上がる。そして深々と頭を下げた。

「今回は¥の件、無関係の君たちを巻き込んでごめんなさい。怪我をした律くん、綾乃ちゃんだけじゃなく危ない目に合わせた千春ちゃんと天宮ちゃんも。そして今はここにいない御園ちゃんも。ASMR同好会の活動を邪魔してしまったこと、僕個人としても風紀委員会としても本当に申し訳なかった」

「……」

みんなが黙り込む。天宮と綾乃先輩はフォローを入れるかどうか悩むようにキョロキョロしている。その中。で千春だけが真っ直ぐに恵先輩を見ている。

「はあ、もういいです。そもそも律が勝手なこと言ったせいでもありますし。私としては本当はライバルが増えるから入れたくないんですけどね」

「ライバルってどういうー

ペッ

「うわっ汚っ!」

ライバルって何のことかと聞こうとしたら天宮に唾をかけられた。顔を肩に近づけて頑張って拭いた。

「本当にごめん、これはもっと早く言われる前にやるべきことだったんだ。だからこれは命令に含まなくてもいいよ」

先輩が恥ずかしそうに優しく微笑む。

「ならそこに仰向けに寝てください」

「えっ。うんわかった」

先輩が床に仰向けに寝転がる。

「それで手を犬みたいにして、股を開いてください」

「えっでもそれは流石に……みんなも見てるし」

「反省してるんですよね?」

千春の顔が今までに見たことがないぐらい怖い。と言うかサドみを帯びている。恵先輩は言われるまま顔を真っ赤にして犬のようにお腹を空へ向けている。

「律は見ちゃいかんけん」

「えっでも俺も見たー

そこで言うのをやめた。これ以上、千春嬢の機嫌を損ねるわけにはいかない。こっちまで飛び火してくるかもしれない。先輩が助けを求めるような瞳で俺の方を見ている。

「じゃあ俺は寝ておくから終わったら起こしてくれ」

「律くん!!」

そう言って俺は近くにいた綾乃先輩の力を借りて布団を被った。

「ちょっと!? 何しようとして んっ♡ だめっ〜〜〜〜〜♡」

恵先輩の嬌声に近い悲鳴が聞こえる。一体何をしているのだろうか。いやこれは知らない方がいいのかもしれない。

「もうよかよ」

数分後、千春に呼ばれて体を起こす。床には顔を上気させてすっかり出来上がっている恵先輩がいる。千春も妙に顔が赤く息を切らしている。

「天宮、何があったんだ」

「いやまあ、知らなくていいんじゃないですか?」

天宮も気まずそうに目を逸らしている。綾乃先輩も苦笑いを浮かべていた。

「天宮と綾乃先輩は何か命令しなくてもいいんですか?」

「いや、今日はもう可哀想ですし私は今度で」

「私もだ。特にして欲しいことも浮かばない」

「それだと私だけやったみたいになるやん!?」

まあでもめちゃくちゃノリノリだったしな。そう思ったところで病室のドアが開く。

「病院で何をやっているんですか? あまり盛っているようだと去勢しますよ」

「田中さんは外科医じゃないでしょ?(笑)」

「お前、殺すぞ」

「すみません」

恵先輩の悲鳴が外まで聞こえていたらしく田中さんが注意しにきた。今の殺すぞはおそらく冗談ではないのでどうか天宮たちには帰らないでほしい。

「すみません! 私たち帰りますね。恵先輩も早く起きてください!」

「えっ、今度は何!?」

ふにゃふにゃになった恵先輩を連れて天宮たちが逃げるように病室を後にした。

「命だけは勘弁してください」

「チッこの猿どもが」

某呪術師みたいなことを口にしながら田中さんも部屋を出て行った。

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