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私のおほ声を聞け!  作者: 冷泉秋花
恋の柳川紀行編
195/254

あれから

さて、生徒会との諍いから1週間が経った。

色々と気になることもあるだろうが、ひとまずは全てが丸く収まったようだ。

俺が生徒会に入る必要もなく、その他諸々の恐れは雲散霧消、あの出来事が全て全くの夢であったと言われても辻褄が合うほどだ。

「律〜〜、今日も引き継ぎが大変でな〜、よしよししてくれないか〜〜」

猫撫で声で俺の股間に顔を埋める変態会長、ではなく生徒会長を除いて。

今日はまだ誰も部室に来おらず、なぜか会長と二人きりになっていた。

「あの、どうして会長が部室にいるんですか?」

「私がいてはいけない理由がどこにある?」

「いや、とりあえずどうでもいいので俺の股間から頭を離してください」

「いや、そうか、意外とここに理由があるかもしれんぞ。このチャックを開けた先が怪しいな。調べてみよう、灯台下暗しともいうからな! ほら、ちょうど灯台もここに!」

「いやちょっと! やめてください! 警察呼びますよ!」

会長の頭を掴み無理やり引き剥がそうとするが、会長は俺の腰にがっちりと腕を回して離れない。

暴れたせいで会長の顔が俺の股間に激しくぶつかり、かえって良くないことになっている。

こんな状況、誰かに見られでもしたら

ガチャ

入ってきた天宮と目があう。

「……イラマ○オ?」

「違う!!」

酷い誤解だ。というか、そう見えたとしても言わないだろ、普通。

「じゃあ、何してるんですか。それがイラマ○オじゃない方が逆に変です、変態です。もしかして新しい体位を発明しようと」

「だから違うって! 会長も離れてください!」

「うむ、確かに。人前ですることではなかったな」

「そうですけど、語弊があるのでわざわざ口に出して言わないでください!」

「むっ、口に出すな? わかった、つまり中に──

「よしっ、もう何も喋らないでください」

この人と会話することは不可能だ。もしかすると九重さんの役職は会長補佐ではなく、会長の翻訳者だったのかもしれない。

「まったく、何やってるんだか。千春さんも気の毒ですね」

「なんで千春になるんだよ」

「いやだって、こんな汚物を故郷に連れて行くだなんてどんな罰ですか。敗戦国の王女だってこんな目に遭いませんよ」

「おい、お前の敗戦国の王女のイメージはどうなってるんだ」

「そりゃ、ゴブリンに

「いや、もう言わなくていい」

こいつの倫理観がエロコンテンツに破壊し尽くされていることをすっかり忘れていた。

いや、こいつの王女のイメージがそれなら俺は

「さしずめ、内股の落書き、淫紋、堕ちてだらしなくなった肉体」

「言い過ぎだ!」

「部室で淫行に及ぶ人が悪いんですよ、淫行犯逮捕です」

「いやそれを言うなら現行犯逮捕だろ」

いや、大して何も変わらないのでは。

「そういえば、さっき言ってた千春の故郷ってなんの話だ?」

「あれ? 昨日のメッセージ見てないんですか?」

「ん? ああ、ごめん。見てないな」

「今週って、三連休じゃないですか? それで千春さんが故郷の柳川にあるおばあちゃんの家に行くらしくて一緒に来ないかと」

「へえ、なるほど。千春がいいならぜひ行きたいな」

「私も行きたいです。じゃあ、とりあえず行けるのは私と律さんですかね」

「他のみんなは?」

「綾乃先輩は原稿の締め切り、恵先輩は風紀委員会の方々と予定があるそうで。潮水さん、御園先輩も用事があるらしいです。みんな、忙しいんですね」

「そうか、なら仕方ないな」

「むっ、私が誘われてないが?」

「どうして、あなたを誘うんですか?」

「そりゃ、私もASMR部の一員だからな」

「「は?」」

「ふふっ、とっくになっているに決まっているだろう。自分で書類を出して自分でサインするだけの楽な仕事だ」

「この人……」

「まあ、行けるかどうかは千春さん次第ですね。もうすぐ来ますから、一緒に行きたいならその体勢だけはやめた方がいいですよ」

天宮に言われ、会長が俺の股間から頭を離す。

その時、会長の口元と俺の股間に液状の橋ができているのを俺は見逃さなかった。

「おおっと、すまない。はしたなかったな」

会長がハンカチで自身の口元を拭う。

会長が離れた後の俺のズボンを見ると、想像以上によだれでびちょびちょになっている。うわあ、ばっちい。

「お仕置きか?」

「いや、しないが」

俺、この人のこと苦手かもしれない。

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