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私のおほ声を聞け!  作者: 冷泉秋花
生徒会編
184/255

服部綾乃&高梨恵VS四宮のこ&六星レビ

 真夜中の学校に激しいチェーンソーの音が響き渡る。

「おい! 危ないぞ、君! 人に当たったらどうするつもりだ!」

「これも仕事ですので! それにあなた、絶対に当たらないじゃないですか!」

「おい、のこ! 加減しろ! 廊下がズタボロじゃないか! あと、さっきから俺にも当たりそうだぞ!」

「レビさんは頑張って避けてください! 私だって服部綾乃相手にギリギリ何ですから!」

「こっちだって──うおッ!?」

「流石にチェーンソーで細切れは後味悪いから、頑張ってね」

「高梨恵ッ!」

 六星レビが高梨恵の神速の太刀をギリギリで回避しつつ、四宮のこのチェーンソーを紙一重で避ける。

 同時に、同じ場所にいながらバラバラに戦っていた二人が合流する。

「綾乃ちゃん! 律くんたちとの通信が」

「わかっている! だが、まずは彼らを何とかしなければ! あの男の身のこなしも中々だが、やはりあのチェーンソーが厄介だ。こっちが避けると確信して、全力で振ってくる」

「僕もあの間合いで戦うのは怖いね。いつもの火薬とかで吹っ飛ばすのは?」

「チェーンソーがどこに飛ぶかわからないから、それは怖いな。下手すると彼女が死ぬぞ。ワイヤーで絡み取りたいが、さっきから切断され続けている」

「……完全に時間稼ぎだよね」

「だろうな。君だけでも向かわせたいが……」

「大丈夫、二人で早くと倒して向かおう。僕一人で行っても、多分、何か対策されている気がするし。鋼鉄の扉とか」

「そうだな。ならここは速攻で行こう。私が合わせる」

 二人が話し合いをするのを六星レビと四宮のこはじっと待っていた。

「話し合いは済んだみたいだな。まあ、諦めろ。うちの九重はこういう悪巧みに関しては他の追随を許さない。ここまで策がはまったら、もう勝負は決まったも同然だ」

「そう? 僕はそうはならないと思うな。律くんは思ったより手強いし、天宮ちゃんもいるからね。あの二人は、君たちが思っているよりもずっと面倒臭いよ?」

「体験者は語るってやつか? 安心しな、あんたの二の舞にはならない。それも対策済みだ」

「あっそ」

 瞬間、高梨恵の太刀が六星レビを襲う。

「は──?」

 六星レビが廊下のはるか後方に吹き飛ぶ。高梨恵の全力の抜刀。目にも止まらない速さで間合いを詰めて刀を抜く。一ノ瀬律は、その時に発生する独特の呼吸音を聞き取り、攻撃のタイミングを読んで防御したが、それは彼の聴力あっての話。この技は本来、予備動作なしの一撃必殺である。

「ちょっと、レビさん!!? くそっ、これでもくらえ!」

「君は暴れすぎだ」

 突然、目の前に現れた高梨恵にチェーンソーを振る四宮のこに大量のクナイが飛来する。それをチェーンソーで防御するが

「ちょっと無防備すぎるんじゃない?」

「ヒッ、やめ──」

 抜いた刀で彼女の手元を打ち、チェーンソーを彼女の手から弾き飛ばす。そして、六星レビと同様に、その体を暗い廊下の向こうへと吹き飛ばした。

 空中に飛んだチェーンソーは瞬く間に、服部綾乃によって絡み取られ、廊下に虚しく吊り下げられている。

「即興だったが、意外とうまく行ったな」

「だね。じゃあ、さっさと律くんたちのところに……?」

 生徒会室に向かおうとする二人が、廊下の奥の妙な気配に気づき足を止める。

「討ち損ねたか?」

「いやそんな感じはなかったけど」

 しかし、ゆらゆらと暗闇から人影が這い出てくる。それはつい先ほど、倒したはずの六星レビだ。

「……何か様子がおかしい。高梨君、気をつけ──

 服部綾乃の言葉に返事をしようとした時にはすでに、彼女の姿はなく、代わりに六星レビがいる。

「っ!!?」

 そして、彼の姿を視認したと同時に高梨恵にも魔刃が襲う。

 父親との稽古で早い太刀筋に慣れているため、寸前で防御が間に合ったがそれでも軽い体が激しく壁に叩きつけられる。

「かはっ 急になに……!?」

(綾乃ちゃんも吹き飛ばされて戻ってこない! 心配だけど、今は……)

 自身の一撃で倒れなかった高梨恵をじっと見つめる男の目は、白目をむいている。意識がない。

「へえ、ここからが本番ってわけだ」

「……」

 高梨恵は痛む体を起こし、刀を握り直した。

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