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2 (王妃視点)

きっかけは5年前のお茶会。歌声が魅力的な娼婦がいるとレベッカが話していた、女。


その娼婦がアンヌだった。




「皆さんご存知かしら?酒場で歌を歌っていて、その歌声は少しかすれていてとても色っぽく味がある女性のこと」



ミランダ夫人が今話題の女の話を始めた。



「地下酒場のラ・ポーズではなくて?」



レベッカが答える。




「あら、ハラリー夫人はご存知ですの?」


「ええ、噂程度にですが。きっとラ・ポーズのアンヌですわ」


「アンヌ…。そう、アンヌ!歌を歌うだけでなくて気に入った殿方と上の宿で楽しんでいる、自由奔放な娼婦と聞きましたの」


「自由な女とはこれからの時代の最先端よね」




彼女らとのお茶会がお開きになり、私も部屋へと戻ろうと席を離れたときに王宮の廊下でハラリー夫人に呼び止められた。



「王妃様」


「あら、レベッカ。どうしたの?2人のときはティアって呼んでと言っているわ」



ハラリー夫人とは幼い頃からの仲で2人のときはレベッカと呼んでいる。でも、私が王妃になってからは遠慮するときもあり、仕方のないことだと思っても、距離ができてしまったと寂しく感じる。



「…わかったわ。ティア」


「私の部屋に行きましょう」



私はレベッカを連れて自室に戻り、侍女にお茶を淹れるてもらったあと、2人だけになれるよう下げた。

長椅子に向かい合わせに腰を掛けレベッカが話し始める。



「それで、ラ・ポーズのアンヌさんの話なんだけどね、夫が通っていたの。知ったときは、噂では娼婦で凄く綺麗って聞いていたから、殺意を抱いたわ」



ラ・ポーズのアンヌ。

私も聞いたことがあり、密かに調べ始めていたところで、レベッカの夫、ハラリー宰相がバトリーと名乗って通っているのも知っていた。



「でもね、夫がアンヌさんに私との関係を話したみたいなの。リオンを産んでから、その…してなかったから…。夫婦の時間もろくにとれていなかったわ。会話も…言い合いになってしまって」



レベッカの息子リオンは4歳。レベッカは、ティーカップを持ちお茶を一口飲み話を続けた。



「夫から「君宛に書簡を預かっている」と、手紙を渡されたの。手紙には、



敬愛なるハラリー夫人


男は褒めて気分良くしてあげるの

男には主導権はあなたよと思わせて

でも本当の主導権は女よ  

 

ご主人と体の関係はないのでご安心を

今度店にいらして



と書かれていたの。夫にもね、「君もアンヌを気に入るだろう、歌声は素晴らしいからね」って。体の関係があったらそんなこと言わないわね」



それから、レベッカとハラリー宰相の関係は良好だという。ハラリー宰相は、妻子持ちが家を空けて飲みに行けるのも奥さんがいてからこそ。それをわかってない男なんてつまらないわね、と言われたようだ。

そして、夜についても書かれていたようだが、レベッカは恥ずかしそうに「それは秘密」と教えてはもらえなかった。


礼を伝えたいのもあるが、アンヌの歌声を聞きたいので一緒にお忍びでどうかと誘われたので、レベッカと私の専属騎士のカリンとアンヌに会いに行くことになった。


私もアンヌに会ってみたい。

バトリーがハラリー宰相と知っていたアンヌはどんな女なのか…








そう、あのときは彼女に会えるのが楽しみだった。


自由に生きる彼女が羨ましかった。


もうアンヌの歌を聞くことができないなんて…


私は間違えたのだろうか……

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