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破天荒ギャルの異世界紀行  作者: 甘藤すらいむ
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§02. 魔力測定

ミア達の自己紹介が終わると、一呼吸置いてレイヴン皇帝は話を続けた。


「英雄ミア、英雄ロバート、英雄レオ、英雄ソフィア。早速だがお前たちの力を見せてもらいたい。神官長、アレを。」

「はっ」


そう言うとフリンが何か球体のようなものを持って現れた。その球体の中にさらにもう一つ小さな球体が浮いている不思議な構造をしている。


「これは魔力の量や性質を測ることのできる特別な道具だ。これに触れることでお前たちの魔力に反応し、中の球体の大きさや形・色が変化する。それにより魔力を扱う上での各々の適性を見極めることができる。」


球体の説明を聞いたレオは目を輝かせて興奮していた。


「あの!これ、ボクからやらせてもらっていいですか?」

「よかろう。では手を触れて意識を集中させてみよ。」


そう言われるとレオは測定器に手をかざし、集中し始めた。するとすぐに変化が現れた。


「わわわ…」


中の球体が大きく膨張し始め、外側の球体の大きさに迫ろうかと言うほど膨れ上がった。さらにその色は赤・黄・緑・青と様々な色合いを醸し出していた。


「これは…なんと素晴らしい魔力量だ。これほどのものは見たことがない。さらに4つの属性への適性まで…」

「こ、これがボクの魔力…!?」


「なにこれーすごっ。めちゃキレイくなーい?撮っとこ〜っと」パシャ


ロバートとソフィアも変化した測定器を見て驚いている。


「形状には変化が見られませんので、レオ様は純粋な魔導士の素質が強いと言うことになります。色が4色に変化していますが、これは炎・雷・風・水の4つの属性の魔法を扱えるということです。」


フリンから自身の適性についての説明を受けるとレオは飛び上がるほどの喜びを見せていた。測定器はレオが手を離すとすっかり元の状態に戻っていた。


「やっっったーー!ボクが魔法が使えるなんて!すごい…すごい!早く使ってみたい!」


「ふーん、じゃ次あーしにやらせてー」


レオの様子を見て興味が湧いてきたのかミアが軽く手を上げてズイッと前に出た。


「ではミア様、手を触れてみてください」

「どーすんの?なんか念じればいいんだっけ?」

「………」


測定器に触れて、んーと唸りながら魔力を送り込もうとするも一向に変化が現れない。


「ミア様、集中して自分の内にある力を掌に集めるようなイメージをしてください。」

「えー、あーし集中するのとか苦手ー」


少し意識を向けるだけでいいはずなのだが、早くも躓くミアにフリンは困ったような顔をしていたが、ふと一つ質問を投げかけた。


「ミア様、何か好きなことはありますか?」

「好きなこと?メイクとかー?んー、可愛くするのが好きかなー」

「なるほど…ではこの測定器をあなたなりに飾り付けるイメージでやってみてください」

「ええ…これを?」


こんな無機質なものを可愛くするって無茶な、と思いつつもミアはなんとなくイメージを測定器に向けていた。すると


「うわ、できたっぽい!?」


測定器はミアの魔力に反応し、大きく変化し始めた。フリンは先ほどの短い会話でミアにとっての集中できるポイントを見出し、うまく引き出したと言うことだ。


「何これー?なんかトゲトゲしてるー」


レオの時とは違って中の球体はウニのような棘状に変形しており、黄色く光っていた。棘を含めた大きさはレオとそう変わらない程度となっている。


「これは珍しい…!変性魔法の素質の持ち主ですか!」

「へんせい…??なんかすごいの?それ」

「ええ、変性魔法の適性を持つ者はこの広い帝国内でも十数人しかおりません。魔力をあらゆるものに作り変える、非常に貴重な才能なのですよ」

「なんかよくわかんないけどぉ、あーしすごいんだー。やったー、アハハ♪」


褒められるのがよほど嬉しかったのか、ぴょんぴょん跳ねて喜びを表現している。


「あと色は少し薄めですが、雷属性の魔法にも適性がおありですね。変性魔法のことについてはまた後ほど詳しくご説明いたしましょう。では、次はロバート様」


指名されたロバートが測定器に触れ魔力を込めるよう意識を集中させると、すぐに変化が現れた。中の小球がモヤッとした実体のない形状になり白く光っている。


「ロバート様は神聖魔法、中でも治癒魔法への適性があるようですね。魔力量も先のお二方と遜色ない。素晴らしいです、魔力量に優れた治癒術師は貴重でしてぜひ我らが教会にお招きしたい逸材で…」

「フリン」


少しばかり私情を挟み込んで話し始めたフリンを皇帝が一声で諌めた。


「コホン、申し訳ございません。では次はソフィア様、どうぞ」

「あ、は、はい…!」


呼ばれるとソフィアは緊張した面持ちで恐る恐る測定器に触れた。


「危険はございませんので、落ち着いて呼吸を整えて触れている手に集中していただければ大丈夫ですよ」


ソフィアの顔が強張っているのをみてフリンは優しく諭した。声をかけられたソフィアは少し落ち着いたのか、ふぅと息を吐き測定器に触れた手に集中し始めた。

中の小球が変化し始め、大きく膨張していく。その形状はゴツゴツとした岩肌のようでほのかに赤く変色していた。


「なるほど、ソフィア様は強化魔法に優れた才をお持ちのようですね。主に身体強化による前衛戦闘に向いた素質です。火の魔法も少し扱えるようです。」

「せ、戦闘…」


フリンの説明を聞いたソフィアは複雑そうな表情を浮かべていた。しかし、そうして会話している間も測定器の小球は尚も膨張を続けており、外側の球体に迫るほどに大きくなっていた。


「む…?これは…」


フリンがその様子に気づくと同時に膨張は限界に達し、その側の球体がミシミシと音をたてヒビが入り始めていた。


「まずい!」


そう言うとフリンは測定器をソフィアから引き離した。


「ふぅ…まさかこの測定器で計測できないほどの魔力量とは。このようなことは初めてです。まさに規格外…」


どうやら不測の事態だったようで、ここまである程度落ち着いた態度で応対していたフリンもかなり焦りの顔を見せていた。

この測定により4人ともこの世界における最上位の魔道士をも凌ぐほどの魔力量を持っていることが示されたのだが、ソフィアの魔力量は4人の中でもズバ抜けていた。

作品は基本毎週火曜日・金曜日に投稿予定。

次回の投稿は4/14(金)です。忌憚のないご感想をお待ちしています。

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