蘇る記憶
とりあえず記憶を整理しよう。私はこの推しにそっくりなリリアーナという公爵令嬢のメイドのミーナ。そして幼馴染だ。私は元々公爵令嬢だったが公爵家が没落し、リリアーナの元でメイドとして働くことになったのだ。私と仲が良かったリリアーナが離れたくないと泣きじゃくったらしい。こうして私はメイドという身分ではあるが、リリアーナのお気に入りとして養子同然の扱いを受けているのだ。そして、リリアーナとの関係は.......。
私はこの身体に眠っていたであろう記憶を思い出して頬を赤らめる。まさか目の前にいる推しにそっくりな女の子とあんなことをしているなんて........。
「何この状況!?ヤバくない!?推しと、え!?そんなことある!?」
私は思わず叫んだ。
「ミーナ、大丈夫?そんな大声出して。まだ意識が戻ったばかりなのだから、安静にしないとダメよ。それとヤバく......?って何かしら?」
リリアーナが軽く私をたしなめる。
「んんっ、そ、そうよね!少し記憶が混乱していたわ、ごめんなさい。まだ何が起こったか分かっていないの。」
私は混乱とときめきと羞恥が混じった頭で、必死に言い訳をした。ここはとりあえず話に合わせた方が無難だ。
「そうよね。あなた、うちの中庭で倒れていたのを他の召使いが見つけたのよ。医者を呼んだけれど、原因は不明。3日も眠っていたからどうなることかと思ったわ。」
平然とした態度で言うリリアーナ。けれどよく見るとその端正な顔が少し赤みがかかっており、目も腫れている気がする。
「ずっと心配してくれていたのね。ありがとう。強がりなんだから。」
私がそう言うと。
「強がってないわよ!.................もう心配させないで下さいまし?」
顔を赤らめながらつんとした鼻を横に向けていた。
ここにいる女の子は、まいちゃんではない。まいちゃんは元気いっぱいの明るい女の子だけれど、この子は、強がりで。どんな時も気丈に振る舞っていて。それでいて本当は泣き虫で。そして私を溺愛してくれる、そんな、不器用な女の子なのだ。
「ごめんね、気をつける。ありがとう。.......大好きだよ。」
私はこの推しにそっくりな、けれど全く違う不器用な女の子を大切にしようと心に誓った。