始まり
「はーあ。今日も動画を見て寝て食べてまた寝て1日が終わっちゃったなぁ。」
天井を見上げながら私は呟く。20歳、実家暮らし無職。アルバイトは続かない。親に早く働けと急かされながらも毎日だらだらと過ごしている。楽しみは推しのアイドルのライブに行くことだけ。
「でも明日は推しのライブ!楽しみ〜〜〜!早く会いたいなぁ...。」
そう思いながらいつの間にか眠りについていた。
翌朝。
「よし!メイクも上手くいったし!ペンライトとうちわも持った!ライブに行くぞ〜!!!」
メイクはバッチリ。可愛い服を見に纏った私は浮かれながら家を出た。
横断歩道を渡ろうとした瞬間、すぐ隣に車がいた。何も理解出来ないまま、私の意識は暗闇に溶け込んでいった。
............
目を覚ました私は。異様な光景を見て二度寝をした。そして次に目を覚ました時。
「は?」
そこには漫画で見るような、それこそ、そう、異世界だとしか言いようがない光景があったのだ。
「なんでコスプレしてるの....?」
私はあたりを見回す。分厚い本がびっしりと並んだ壁。豪華なベッド。そしてメイド服の私。訳がわからない。
「寝れば治るか。おやすみなさい。」
そう現実逃避をし、無理やりにでも寝ようとした瞬間。扉が開いた。
「あっ!ミーナ!気がついたのね!」
..............
一目惚れだった。そこには推しがいた。
「えっ?まいちゃん?」
「なに言ってるのよ、私よ私。リリアーナよ。忘れたの?」
そこにいる女の子は推しのまいちゃんではないらしい。まいちゃんはこんな話し方じゃない。こんな声でもない。この推しにそっくりな女の子はリリアーナというそうだ。少しずつ記憶が頭に流れ込んでくる。
そうか、私はリリアーナのメイドなんだ。そして私はリリアーナのお気に入り。特別な関係なんだ。
こうして私の人生は大きく変わった。