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誕生! 破格の冒険者

この話で出てくる女の子フィードくんイメージ画像。

挿絵(By みてみん)

(出典:https://picrew.me/image_maker/16952)

「着いた~!」


 馬車が王都の城門をくぐると、ルゥ達が声を上げた。

 おそらくはさっきモモと別れたオレに気を遣って明るく振る舞ってるのだろうと思う。


「早く行くわよ! ご飯~! お洋服~!」


 いや、セレアナだけは絶対に気なんか遣ってない(確信)。

 今は人型の姿を取っているセイレーンは目を爛々と輝かせてキョロキョロ町を見渡している。


「いや、オレたちが今から行くのは冒険者ギルドだ」

「え~!」

「ギルドで登録が終わったらご飯食べてみんなで町を回ろう。な?」

「う~、わかったわよ~。早く済ませてよねその登録とかいうの」


 ぶーたれるセレアナをなだめつつ、オレたちは冒険者ギルドへとやってきた。


 久しぶりだな、ここに来るのも。

 おっと、中に入る前に姿を変えてっと……。


 オレは【変身】スキルを使って以前ドッペルゲンガーが変身していた美少女へと姿を変える。

 オレがアベルだと気づかれないように。


「あらぁ、随分可愛らしい姿になったじゃないのぉ」

「うん、ずっとそのままでいいかもフィード」

「はぅ~、フィードさんとっても可愛いです」


 女性陣から好評をいただくオレ。

 たしかこの姿は小顔で黒髪ロング。身長は元のオレと同じくらいだったはずだ。

 これなら万が一知り合いに会ってもオレだとはバレないだろう。


「よし、行くぞ」


 冒険者ギルドの中へ入るオレたち。

 女4人、しかもかなりのうるわしさということで中にいた全員の注目を集める。


「あの、冒険者の登録を行いたいんですが」

「はい、4名様とも登録されますか?」


 顔見知りの受付嬢が笑顔で対応する。

 よし、オレだとはバレてないみたいだな。


「いえ、今日登録したいのはこの2人です」 


 そう言ってルゥとリサに手のひらを向ける。


「わかりました、ではこちらへ」


 そうやって連れてこられたのは《水見の間》。

 広い部屋中にたくさんの水の貯められた桶があり、その中には葉っぱが一枚浮いている。

 そこに手をかざすと本人の性質に反応して葉っぱが動き、次にかざすべき桶の方へといざなうというわけだ。


「この方法によって導き出される最適職は全部で39に及ぶんですよ」


 以前聞いたものと全く同じ説明を職員が行う。


「では、どちらから行いますか?」

「はいはい、私から! 私からやるわ!」


 リサが名乗りを上げる。


「この高貴な私にふさわしい職が示されるのが楽しみだわ!」


 高貴はさておき、オレもリサの職業が何になるのか気になる。


「さぁ、指し示しなさい! 私の高貴なる職を!」


 リサがカッコつけて手を桶にかざす。


 いやかざすのはいいんだけど、なんかノリノリすぎて見てるこっちが気恥ずかしくなっちゃうんだよね。


 受付嬢をチラ見すると、彼女も微妙に苦笑いしてた。

 そらそうだよね、うちの高貴な元吸血鬼がノリノリすぎてなんかすみません。


 そんなことを思っている間に、リサはどんどん桶の間を進んでいき、あっという間に適職の桶までたどり着いてしまった。


「これは珍しい!」


 受付嬢が驚嘆きょうたんの声を上げる。


「なになに!? なんなの!? 早く教えなさいよ!」

「あなたの適正職業は……竜騎士です!」

「ん……? 竜騎士って?」

「はい、竜に騎乗して空中戦を行う職業です」

「竜に騎乗……? それってワイバーンとか?」


 あれ……なんか嫌な予感がするな……。


「その通りです! 北の辺境国では竜騎士隊が存続してますので、その気があればすぐに入隊できますよ! それくらい竜騎士は貴重で数少ないんです! 私も長らくこのギルドで働いてますが初めて見ました!」

「へぇ~」


 リサがニヤニヤしながらオレを見つめる。


 いや、オレはたしかにワイバーンに変身出来るけど、リサにこき使われるのはイヤだなぁ。

 そもそもオレの復讐が終わって、リサを吸血鬼に戻したら別れるつもりだし。

 そういう意味でもあんまり依存されたくないなぁ。


「とにかく高貴たる私にふさわしい職業ということね!」

「よかったですね、リサさん!」


 ルゥがリサに声をかける。


(うずうずうず……)


 あ、セレアナがうずうずしてる。

 たぶん「私もこれやりたいですわぁ!」とか言い出すぞ。


「私もこれやりたいですわぁ!」


 ね、やっぱり。


「セレアナ、ちょっとこっち来て」


 ルゥに水見の儀式をしておくように言ってからセレアナを連れて部屋の外に出る。


「あのなぁ、魔物は職業を得られないって言ってるだろ」

「なんで得られないんですの!? なにか証拠があるんですの!?」

「だからそれはそう伝えられてて……」

「でも馬車の中で会ったアークデーモンは職を持っていたのでしょう?」


 ──!

 そういえばそうだ。

 あれは明らかにおかしい。

 オレの鑑定にも種族がアークデーモンで、職業が黒騎士と表示されていた。

 本来なら絶対にありえないことだ。

 なら、もしかすると……。


「ええええええええええ!!!!」


 部屋の中から叫び声が聞こえてきた。


「どうした!?」


 急いで中に入ると、腰を抜かした受付嬢が振り向いてこう言った。


「は、はへ……こ、この方……聖女ですぅ……」

次話【賊】

8月4日(明日)18:30頃更新予定


『30日後にマモノに食べられるオレ(略』は毎日更新中!

もし少しでも「ルゥちゃん聖女認定キター!」「もうセレアナも職業判定やっちゃおう!」と思った方は↓の★★★★★をスワイプorクリックしていただけると嬉しいです。

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