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強行突破

「フィード・オファリング! フィード・オファリング! そいつが魔族29人殺しの大罪人だ! 殺せ! 殺せ!」


 ハーピーがそう叫び、オレたちを取り囲んだゴブリン達もさきほどの【罵声】の効果で正気を取り戻していく。


「あれ……? オレたち何してたんだ?」

「大罪人って?」

「っていうかこいつら人間だよな?」

「殺していいのか?」

「殺していいらしいぞ!!」

「うおおお殺せ殺せ!!!!!」


 あっ、これ今から魅了かけても無理だわ。

 どうせまたハーピーに解除されるし。

 え、オレもしかして死ぬ?

 こんなとこで?

 せっかくあの地獄から抜け出してきたのに?


 目の前にゴブリンが迫ってくる。


 あ、もうダメだ。

 

 そう思って目を閉じた瞬間。


「あきらめないでくださいフィードさん!」


 ルゥがオレに襲いかかろうとしてたゴブリンに体当りして吹き飛ばす。


「そうよ! 私にスキルを返すまで死ぬなんて許さないんだからね!」


 リサが素手でゴブリン達をぶっ飛ばしてる。


「ちょちょちょっと! 私はあなたたちの仲間ですのよ! ほら、魔物! 見た目魔物でしょう!? ってイヤぁ! 攻撃しないでぇ!」


 可哀想にセレアナはゴブリンたちから敵とみなされて攻撃されて、仕方なく毒触手で反撃してる。


「おい! あいつら人間のくせにクソ強いぞ!」


 ゴブリン達も警戒し始める。


「そうだな、ようやくここまでたどり着いたんだ。最後まで足掻いてみせるさ」


 合理的に考えろオレ。

 目的から逆算すればするべきことは限られてる。

 状態変化が破られるなら、まずその原因を取り除けばいい。


──吸収ッ!


 まずはハーピーの【罵声】スキルを吸収する。

 よし、これで状態変化が解除されることはなくなった。

 

──咆哮っ!


 続けて【咆哮】を繰り出し、ゴブリン達を威圧する。

 思い出してきたね、あの教室での戦いを。


──範囲魅了!


 ルゥとリサ、そしてセレアナが先ほどと同じように絡みついてくる。

 ゴブリンたちも戦意の代わりに熱意をこちらに向けてくる。


──変身!


 オレは水馬すいばケルピーに姿を変えると3人を背中に乗せ、駆け出した。

 オレに魅了されてるゴブリン達は自らすすんで道をひらいてくれる。


「××……! ×……!?」


 スキル【罵声】を奪われ混乱しながらも、ハーピーは宙からオレに不潔な爪を食い込ませようと滑空してくる。

 オレはそのハーピーに【改変】した特大のスキルをぶちこむ。


──特大魅了。


「オレを追うな。いいな?」


 目がハートになったハーピーは「うんうん」と頷くと、快くオレたちを見送った。

 ゴブリンたちもオレたちを見送って手を振っている。


「ハハッ、これはこれでいい別れになったな」

「フィードさん、馬の姿でも素敵です!」

「馬鹿! 馬鹿フィード! もう離さないんだから!」

「ちょっと! 私が水辺の魔物だからって水馬すいばになったのかしら!? 考えがよこしまですわ! まぁ、嫌いじゃないんですけど……(小声)」


 3人ともそれぞれ好き勝手なことを言いながらオレにしがみついている。

 水馬とはいえケルピーの走る速度は速い。

 あっという間に門に近づき、その半開きの門の間をくぐり抜けた。


 そしてオレたちは、ようやく魔界から脱出することに成功した。


 ちなみに「この時残してきたハーピーとゴブリン達が魔界でオレを称える小国を興していた」という事実をオレたちが知ったのは、これよりかなーーーーーり後になってからのことだった。

次話【尻に刺さった矢を抜くのはあなた】

7月28日(明日)18:30頃更新予定


『30日後にマモノに食べられるオレ(略』は毎日更新中!

もし少しでも「ようやく人間界編!」「残された魅了ハーピー達がちょっと気になる」と思った方は↓の★★★★★をスワイプorクリックしていただけると嬉しいです。

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