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レベルアップ

「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああ!」


 オレの叫び声にびっくりするリサとルゥ。


「なになに!? どうしたのよ!?」

「フィードさん、大丈夫ですか……?」


 オレは口をヒクつかせながら2人に告げた。


「ま……魔力が50万8161になってる……」


 間。


『ええぇ~~~~~!?』


 リサがたまげた感じで言う。


「ご、50万って……。あの魔王ですら100万って言われてるのにその半分ってどういうことよ……。これじゃ魔王軍近衛騎士団長クラス、いやそれ以上じゃないの……」


 ルゥは放心した様子で言う。


「はぁ~、50万……。全く想像つきません……。ちなみに私達の魔力ってどれくらいなんでしょうかね……」

「ちょっと待って、今見てみる」


──鑑定眼。


 ゴンゴル

 人間 

 レベル 8 

 体力 208

 魔力 8484


 あれ、なんか前よりも色々見えるようになってる。


「ルゥは魔力8484だな。前見た時より10くらい上がってる」

「8484ですか……。多いのか少ないのかわかりませんけど……」

「多いよ。人間の熟練冒険者でも20程度なんだから」

「そうなんですか……」


 リサが威勢よく急かす。


「ねぇ。私見てよ早く早く!」

「あぁ、え~っと……」


 ラ・リサリサ・ホーホウ・バルトハルト・ヴィ・ルージュリア・レッドグラム・ローデンベルグ  

 人間

 レベル 12

 体力 3019

 魔力 12966


「12966、だな」

「それって多い!? 少ない!?」

「あぁ、かなり多いほうだと思うよ。あのクラスの中だと一番多かったんじゃないかな」

「そうなんだ!? やったー!」


 無邪気に喜ぶリサ。


「あとリサは体力がめちゃくちゃ高い。3019だって。ルゥは208」

「え、ルゥの15倍!? すごくない!? さっすが私ね!」

「はう~……私少ないですね……」

「いや少ないかどうかよくわかんないんだよね。オレも今、急に体力とか見えるようになったから」

「ん? 前までは見えなかったの?」

「うん、見えなかった」

「あれ? それってもしかしてあれじゃないの? ほら、要するに」


 3人が声を合わせる。


『スキルが成長した!?』


 顔を見合わせるオレたち。


「えーーー! やだ、ちょっとそれすごくなーい!? スキルって本当に成長するのね!」

「すごいです、フィードさん!」

「いやぁ……オレも『もしスキルが成長したら』なんて言ってたけど、この感じだとほんとに色々できるようになるかも……」


 興奮したリサが目を輝かせて聞いてくる。


「他には!? 他には何が見えるようになったの!?」

「そうだな……他には名前とレベルが見えるようになったかな。あ、ちなみに2人とも種族は人間になってるぞ」

 

 リサがキョトン顔で尋ねる。


「レベル?」

「強さの目安みたいなものかな? 人間界だと一流の鑑定士のみ鑑定出来るみたい。ちなみに鑑定料がめちゃくちゃ高いから、ほとんどの人は一生自分のレベルを知らずに死んでいくらしい」

「へー、じゃあフィードはもう一流の鑑定士ってわけね」

「ちなみにルゥのレベルは8でリサは12だよ」

「あの……フィードさんのレベルはいくつなんですか?」


 ん? そういや見てなかったな。

 ちょっと見てみるか。


 フィード・オファリング

 人間

 鑑定士

 レベル 508(限界突破1stクリア)

 体力 14702

 魔力 508161

 スキル 【剛力】【火炎】【毒液】【石化】【死の予告】

     【死の悲鳴】【斧旋風】【邪眼】【腐食】【暗殺】

     【毒触手】【投触手】【透明】【石肌】【咆哮】

     【魅了】【植物知識】【偏食】【潜水】【軌道予測】

     【美声】【狡猾】【変身】【吸血】【邪悪】

     【擬態】【不眠】【高速飛行】【博識】

     【鑑定眼レベル7】【吸収眼レベル3】

 職業特性 レベルアップ《激遅》、レベルアップ《倍算》


 あれ、なんかさらに増えてる。


「どうどう? どうだった?」

「あー、え~っとレベルが508……」

「508!?」

「体力14702……」

「は!? 私の5倍!?」

「えっと、なんか限界突破したらしい」

「なに!? 限界突破って!」

「で、あと職業『鑑定士』で『職業特性』ってのが見えるようになってる」

「職業特性? 私たちは職業についてないから見えなかったのかしら? で、なんて書いてあったの?」


 オレは書いてあったことを説明する。

 するとみんなで話し合って「鑑定士はレベルが上がりにくい代わりに上がると爆発的に能力上昇するんじゃないか」っていう結論に落ち着いた。

 あと、一晩寝たからレベルアップが反映されたんじゃないかとも。


「あ、そういえば【吸収眼】も進化して【複製】と【改変】ってのが使えるようになったんだよな。あとスキルツリーが見えるようになってて次に【付与】が覚えられるんだって」

「……は?」

「……ん?」


 真顔のリサの表情が、みるみるうちに怒りの形相へと変化していく。


「あんた……あんたね……! そういうことは……一番最初に言いなさいよーーーーー!」


 リサが体力3019のパワーでポコポコ殴ってくる。

 オレは体力14702のパワーでグッとそれに耐える。


 体力 14702

  ↓

 体力 14419

  ↓

 体力 13984


「おい! リサ! 減ってる! オレの体力どんどん減っていってるからやめてって!」


 リサは殴りながら涙を流しはじめる。


「私……私もう二度と吸血鬼に戻れないかと思っでだぁ~! 本当に【付与】が覚えられるなんて信じられなくてずっと不安を押し隠してついてきてたのにぃ~~~!」


 そうだよな、あんなに強がってたけど内心は不安だったはずだもんな。


「ぞれをあっざり【付与】覚えられることが判明するとがぁ~! 嬉じいけど、嬉じいけどざぁ! なんか……こう……私の覚悟みだいなもんがざぁ……!」


 まぁ気持ちの持っていき方がわからんのだろうね。

 そしてオレもこんな時にどういう対応を取ればいいのかわからない。 


 ガサッ。


 ほら穴の中からよろめきながらセイレーンのセレアナが出てきた。


「うぞ……今の話……私の声、戻っでぐるの……?」


 オレは超カッコつけて言う。


「ああ、戻ってくるぞ」

「よが……よがっだ……」


 泣き崩れるセレアナ。

 オレはさらにカッコつけて言う。


「だからオレたちと一緒に来い。オレの復讐の旅が終わる頃にはきっとお前にスキルも返せることだろう」

「え、いや」

「へ?」


 セレアナは超あっさり切り替える。


「スキルは返してもらうけどアンタと一緒には行かない。ただ、後はつけていく。んで、途中で面倒くさくなったらサクッと殺して帰るかも。そもそもスキル返されても友達殺された恨みは晴れるわけねーだろボケが」


 あ、うん。


「なぁ~にが『だからオレたちと一緒に来い』だよ。こないだまでイジメられてただけの餌がちょっと強くなったらすぐこれだよ。きっしょ」


 え、ちょっといくらなんでも言いすぎでは?

 あと、悪口になったらめちゃくちゃ滑舌良くなってるような気がするんですが?


「セレアナさん! フィードさんのことを悪く言うのはやめてください!」


 ルゥ~! オレのことをかばってくれるのはお前だけだよ~!


「ハッ! いじめられっ子同士が傷の舐め合い? お似合いなことで! 大体どうしてあんたらも生きてるんだよ」

「え、『お似合い』だなんてそんな……。えぇ~? お、お似合いですかねぇ? すみません、今のもう一回言ってもらっていいですか? 『お……』なんでしたっけ? 『おに……』なんでした? 早く言ってください、さんハイッ!」


 ルゥ~! せっかくかばってくれたと思ったらお前もなんかズレてるよ~! 話が明後日の方に飛びまくっちゃってるよ~!


「と、とにかくあんたらは私の監視下に置くから。一刻も早くスキルを戻せるようにしなさい」

「ねぇねぇセレアナさん。『おにあ……』なんでしたっけ? もう一回言ってください、早く!」

「あ~、もうあんたたち一回落ち着きなさいよ! 会話が成立してないのよ会話が!」


 なんか……もうさっさと出発したほうがよさそうだな……。


 ってことで、オレは今ワイバーンに変身してリサとルゥを乗せて飛びながら、後ろに離れてついてきてるセレアナをチラチラ気にしながら、色んな魔物からの襲撃をかわしながら、人間界の方に飛んでいくという非常に疲れる空の旅を行っていた。


 途中、言葉から何までガビガビになるガビガビ砂漠や行動を2回繰り返さないと入口に戻されるリターン森、乙女の機嫌を取るように渡らないと即溺れてしまう乙女リバーなんかを超えて、ようやくオレたちはそこにたどり着いた。


「見えてきたわ! 人間界との境にある地獄の長城よ!」

次話【なりきり作戦】

7月26日(明日)18:30頃更新予定


『30日後にマモノに食べられるオレ(略』は毎日更新中!

もし少しでも「ハイパーインフレーションきたー!」「セイレーンちゃんボロボロでかわいそ……」と思った方は↓の★★★★★をスワイプorクリックしていただけると嬉しいです。

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