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ごはんは、おいし  作者: 淺葱 ちま
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ぼやっとする、あたま

 お風呂から上がったあと、下着のままリビングに向かう。独り暮らしの女ではしちゃいけないと習ったが、暑くて仕方ない。暫くそのままの格好で過ごすことにした。

 切る暇もなくて腰まで伸びた髪から滴る水が煩わしくて濡れたタオルから新しいものに切り替えて贅沢に使う。枝毛も酷くクシを通す度に引っかかる。


「あー…連絡だけ、しなくちゃ、」


 このまま逃げ出してしまいたいと思いながら携帯を取った。本当なら会社に出社してる時間だからか、真っ暗な画面に携帯の通知ライトがうるさく光っている。

 折り返しの電話をして、出た先輩に連絡が遅くなったこと、体調が悪くて今、目が覚めたこと、今日は休ませてほしいことを伝えた。「はい、はい」と相槌の返事だけが聞こえてくる。


「申し訳ないけど人も居ないから、もし可能なら、昼からでも出て欲しい。もしも大丈夫なら連絡してください。」

「…わかりました。可能なら、連絡します」


 プチッと切れたあと携帯の電源を落とした。可能なんてやってこないのだから必要ない。


「何着よう」


 ワイシャツがいつでも着られるようにストックしてあるが、私服なんていつ以来だろうと頭をめぐらせたが半月以上は来ていないと思った。


「…ァ、」


 洋服はかけて収納してあるが、視界に入った自分じゃ買わないワンピースを見て、思わず声が漏れた。すぐに目線からずらして、大学時代に買っていた花柄のフレアスカートと白の無地のトップスをとって合わせる。マネキン買いしたからコレの組み合わせしか知らないが、間違いはないはずだ。


 服を布団の上に放り投げて、冷蔵庫を開ける。10チャージのゼリーやエナジードリンクと調味料だけ。ゼリーをチャージして吸いながら髪の毛を乾かしに脱衣所に戻る。

 長い髪を乾かすのは時間がかかる。ゼリーを吸いながら、早く乾けとボーッと鏡に映る自分を見つめた。血色の良くない顔で、よくもまぁ、今日も今日とて生きてたなと改めて思う。


 髪が乾く前に何味かしらないゼリーを食べ終わる。ゴミ箱に捨てて、ボォっとまた髪を乾かす。段々と面倒になってきて、ある程度乾いたところで、三つ編みにしてお団子にして、全部なかったことにしてやった。


 仕事ではしない髪型だ。休日?と言えるか解らないが、気分が変わって丁度いい。

出しておいた服を着て、さぁどうしようと思い至る。


 何かがしたいかもわからない。だけど、このまま一人で、今日一日が終わることは、許されないし、許したくない。

 前まで連絡を取っていた彼に連絡をしようかと携帯を取って電源を切ったことを思い出して、驚いた。

 何をしてるんだ一体、未練がましいと、自分に言い聞かせた。一応、身分証明のために財布と携帯を小さな肩掛けのハンドバッグにいれて、また、ボォっとする。


 休日とは、一体何をする日なのかわからないからだ。わざわざ携帯の電源を入れて検索してみる。『休日 休み方 外』調べた時に、あ、確かにと思うものを見つけた。


「ばぁばとじぃじに会いに行こ」


 いるのかどうかわからない。だけど、親しい人と会うと書いてあるのだから、休日に、会いに行こう。そうしてまた携帯の電源を切った。


私の、意思を持った休日なのだから。


 玄関においた鍵を持って、久々に少し背のあるヒールも履いて、玄関を出る。フレアのスカートが久々すぎて玄関に挟んでしまった。恥ずかしい。

 鍵を閉めて、また空を見る。快晴な空は、やはり休んでよかったと思わせる空だった。

頭働いてないときって、むしろよく分からない勢いついたりしますよね

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