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「恋はアップテンポで」

 ~~~高城恋たかぎれん~~~




(んーっ、良かったなあー、会長さんの制服姿っ)


「ねえ神様……」


(しかも夏の学ランっ。白シャツのボタンを最後まで止めてるところとか本気で尊みが深すぎるうぅっ)


「ちょっと神様……」


(若いのにしっかり面影あったなあーっ。そうなんだよねえー、この頃から目つきは悪いんだけど、まだまだマイルドなんだよねえーっ)


「神様ってばっ!」


(ひゃいぃぃぃいっ!?)


 れたわたしが大きな声を上げると、神様は驚いたように叫んだ。


(ごめんねっ!? 何か言ってた!? わたし今、ちょっとおかしかったかな!?)


「全然ちょっとじゃないよー」


 わたしはむうと唇を尖らせた。


「というかなんだか……むしろ神様のほうが盛り上がってるみたいな……。わたしの一世一代の告白だったのにぃ……」


(え、えぇー……と? そ、そんな風に聞こえたかなー? おっかしいなー……)


 わたしのツッコミに、神様はしどろもどろだ。


(……き、きっとあれだよ。恋ちゃんに過剰に感情移入しちゃったんだよ)


「感情移入ぅぅぅー……?」


(だって恋ちゃんはさ、わたしにとって仲間みたいなもんじゃない。同じ体にいてさ、寝起きを共にしてさ、かなり近しい感情を抱いちゃってるわけですよ、わたしとしては。その人がこう、上手くいきかけてるんだったら応援にも力が入っちゃうじゃない?)


「うーん……同じ体にいるというか……そもそも神様は勝手に居候してるだけなんだけど……」


 でもまあ……。


「応援してくれてるなら、いいのかな……?」


(そうそう、そうでしょ?)


 ぱちん、というのは手を叩いた音だろうか。

 わたしの中で神様はどんな状態になっているのか、疑問は尽きない。




「ちなみにさ、今の感じでホントに良かったの? なんというか、わたし的にはキャラじゃないというか……」


 さっきの自分を思い出すと、自然と顔が熱くなる。


「あんな……小悪魔風みたいな……」


(いいのよ。あれがいいの)


 神様は自信満々だ。

 

(会長さんは、ぐいぐい押して来るコに弱いのよっ)


「そ、そうなの……?」


(そうなのよ。あの人基本朴念仁なんだけど、意識しちゃうと弱いの。ソアラちゃんの怒涛の寄せにはいつもタジタジだったんだから……ってごほんえほんっ)


「……ソアラちゃん?」


(な、なんでもないの今のはっ。喉がつっかえちゃったみたいな……ごほんえほんおっほーんっ)


 激しく咳き込むと、神様は強引に話題を変えてきた。

 

(ともかく今の感じでいきましょう。明日からは練習も始まるから、ますます距離は縮まるしね。そうしたら接触する機会も増えるし)


「せ……せっしょく……っ?」


(さあーっ、頑張ろうっ。えいえいおーっ)


 どぎまぎしているわたしをよそに、神様はやたらと気合を入れている。


「ほ……ホントに大丈夫かなあー……?」


 正直なところ、わたしの頭にあるのは会長さんとつき合うことへの不安だけではない。


「そもそもこんなわたしが、アイドル活動なんて……」


 地味で普通な自分にそんなきらびやかなことが出来るのか。

 人前に立って歌ったり踊ったりなんて出来るのか。

 すぐに会長さんに呆れられ、嫌われてしまうのではないだろうか。


 様々なマイナスイメージが積乱雲のように膨れ上がっていたのだ。



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