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傷跡童話《スカーテイル》  作者: 小鳥遊 和輝
1章 スタートライン
6/19

4話

教室の前。

柴柳先生に待機命令をされたから慣れない腕輪をイジっている。


『すげー緊張してるな』


うー……まあね、「お前が入るために空気を温めておく」って張り切っていたから。


『確かに、何を言っているのかが分からないがかなり教室が盛り上がってる感じはするな。8人のクラスとは思えないくらいに。』


はぁ……なるようになってよ………。


「それじゃあ入ってきてくれーー」


うし、入りますか。


『行ってこい、朝陽』


「遂に降臨した新しいカウンセラー!優しい笑顔の艶やか黒髪美少女大和撫子!日向丘ぁーーあーさひーー!!」


『「………………………」』


『あんなテンションなんだな柴柳って。ホラ行ってこいよ大和撫子』


後で味覚を共有してチョコレート責めするから、カートンで。


『恥ずかしさをアタシに八つ当たりするなよ、優しい笑顔に怒りが篭ってるぞ。美少女大和撫子』


「おーい、日向丘?お前の降臨祭をクラスメイトが待ってるぞ」


呼び出しても入ってこない私を心配してか、ドアから顔を出してきた。

キョトンした疑問顔を見るに素で入ってこない理由が分からないのだろう。

言葉は少し汚いがぶん殴ってやりたい。


「……期待値を上げていただいてありがとうございます、少々緊張してしまいました」


「おお、盛り上げ過ぎたか。だが安心しろ、俺がついてる。胸張って来い!」


「励ましのお言葉ありがとうございます。この(おん)は忘れませんいつか返します」


はぁっと様々な感情が混ざるため息をつき、観念して教室に踏み入れた。


思わず『うっ』と言いたくなるほどの期待と興味、その裏にある不安が一緒くたに混ざった視線の槍。

観星との会話で誤魔化していた視線への緊張感と恐怖が振り返して来る、しかし表情と歩みの姿勢だけは崩せない。


あくまでも笑顔で、転校生らしい緊張した足取りで、そして教壇の中央に着いたら一呼吸して。


「それじゃ、自己しょーあ」

「ひゃじめましてひなーあ」


先生の言葉にかぶせるように、噛んで恥ずかしがる。


「す、すみません……」


「はははは、問題ない緊張すんなよ」


そう言って先生は背中を数回叩いた。

空気は緩み、品定めするような視線は減り必要だった視線が送られる。

少なくとも、カウンセラーとしての私へ向けられていた不安の視線は払拭され、ごく普通の緊張している転校生へ向けられる同い年への視線に変わったと思う。


「じゃあ改めて、自己紹介を頼む」

「はい先生」


もう一度深呼吸をし、前を、具体的には全生徒が見えるくらいの教師が生徒を見る首の角度ではっきりと喋る。


「はじめまして、カウンセラー兼生徒としてて転校しました。日向丘朝陽です。前の学校では日向丘さんとよく呼ばれていたのですが、気づいたら『お母さん』と呼ばれてしまっていました。ひな『おかさん』だからだと思いますが残念ながら女子力は微々たるものです。

特に料理スキルは皆無なので学食があるのはとても楽しみです。

それに皆んなでご飯を食べるのは好きなのでさらに楽しみです、私と友達になってください!」


ガバッと効果音がつきそうな勢いで、けれども全生徒が見える角度は保てるように頭を下げる


…………パチパチ


最初に拍手をくれたのは、空席……おそらく私の席であろう場所の隣の車椅子の女生徒だった。

もし義務や空気ではなく友好的な性格からの拍手ならば彼女が隣なのは運が良いと言える。


そらからは波のように拍手が増え思い思いの表情で迎え入れてくれた。


「おー……今までのカウンセラーの自己紹介の中じゃ1番反応がいいな。よしじゃあ質問タイム!1限の時間を多少くっても構わないぜ!最低1人1問でまずは」


「あ、先生。質問タイムなんですが、少し時間をかけてしたいので放課後などに空き教室などを使って一人一人としたいです。一応、カウンセラーでもあるのでこちらからも質問したいですし」


「そか、なら今日をまるまる使ってもいいぜ

、授業よりそっちの方が重要だろ。お前らもいいだろ?」


いきなり2人きりは不安に思われるかと考えもしたが、先生が生徒に確認を取ると嫌がる生徒はいなかった。


むしろ『退屈な座学が潰れるぜ』とか『お兄、質問考えよ質問』とか『おー、しーわくわくするっぞー』とか楽しみにしてくれている。


「ありがとうございます、順番はお任せしますので今からお願いします」

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