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《体感型ゲームに詐欺られる?》


「もう、何度説明すればいいんですか!?」


と、目の前で半ギレな状態なのは小さな女の子。この世界でいう、チュートリアルを教えてくれる人?らしい。


「何度も説明させたくなるに決まってるでしょ!?急にお前はもう死んでいるーなんて言われたら!!」


私ゲームしてただけだよ?ていうか未だにゲームだと思ってるよ!?


「だからっ、そのゲームが故障して意識と身体が分離されたまま昏睡状態でなんか死んじゃったんですって言ってるじゃないですか!」


「なんか死んじゃったで説明した気にならないでもらえる!?なんかって何よ!そんなので納得できるわけないでしょー!」


え、嘘でしょ?ゲームよね、これ?


「ゲームの設定なんでしょ?」


「違います!あーもう、天使ちゃんが何の説明もしないから」


天使ちゃん?って、あのオープニング的なところで設定決めるときにいたあの人のこと?


「まぁ混乱されて設定終わらなかったら困るもんね…」


「何ぶつぶつ言ってるの。とにかく、ゲームをやめる方法教えてよ。一旦休憩したいし…」


この後のドラマ撮影の台本、全然練習してないから休憩に読まないとなんだよ。ね?


「…はぁ。何度も言ってますけど、ここは死後の世界。いいえ、異世界と言った方がいいでしょうか。前世でやり残したことが多すぎる、哀れな人のみが来ることを許される世界」


は?


「まあ要約しちゃえばあの設定通りに暮らせるってことですよ。地味〜で目立たない、平々凡々な女の子として、この世界で」


「え…」


確かに。ていうか、もうゲームでも本当に異世界だったとしてもどっちでもよくない?


だってこの世界に私の大っ嫌いなお父さんもお母さんも、マネージャーもプロデューサーも監督も、誰1人としていないんだから。

それだけでかなり幸せだよね。


「…」


「ようやくご理解いただけましたか?」


「理解はしてないけど。でも、まあこうしてたってしょーがないし。ここがゲームの世界だろうが本物の異世界だろうが、もうどっちでもいいかなって思っちゃってさ」


へらりと笑うと、呆れた顔をされた。こんな年下の子供に。ちょっとむかつくけど、この子に従う他私に生きる術はない。


「で、私これからどうすればいいの?どうなるの?」


「はーーー…やぁっとその説明ができますね」


すみませんね物分かりが悪くて。でも「あなたは死んだんですよ〜」って言われて「はいそうですか」なんて言える程私は落ち着きのある子じゃない。


むしろ普通の反応なのでは??


「ここでは自由に暮らしていただいて結構です。死ぬまでどうぞ」


死んだらそこで終わり?


「死んだらゲームオーバーって訳じゃないですよ。やり残したことがないように死んでください。そうじゃないとまたこの世界に来てしまいますから」


ゲームオーバーって言い方されると、やっぱりゲームなんじゃと思ってしまうんですけど。


…やり残したことがないように死んでくださいってすごいこと言われてない?もしかして。


「あなたの設定は自分で決めた通り。平々凡々な女の子。優しい両親もいますよ。そういう設定ですので」


「でもさ、その人たちって赤の他人な訳でしょ?そんなのといきなり家族です!って言われても…」


困る。し、対応できる気がしない。


「大丈夫ですよ。赤の他人じゃありませんから」


え?どういう…。


「あなたの両親です、前世の。ここはパラレルワールドでもあります。前世に限りなく似た人もいるわけで。ご両親は顔はそっくりなので今までと変わらず生活できますよ」


????

何を言ってるのこの子は??


「つ、つまり、ここは多くの人が来る世界だけど、1人ひとり専用の世界があるってこと?」


「ま、ざっくり言えば」


最初からざっくり言ってほしいんですけど。


「じゃあやりたい放題?」


「いえ、犯罪を犯せば捕まりますし、こいつ気に食わねえから世界から消して、とか今これが欲しい!手元に!なんてことはできません」


えーーー。もうどうせならそういう世界にすりゃいいのに。


「でも魔法はありますよ」


!!?


「魔法もモンスターもいます。一応。関わらなくても生きていけますが」


魔法、って、炎とか?毒とか?


「王様が治める国なので。ゲームのように勇者という職業ももちろんあります。まあ平凡に生きることが目標のあなたには関係のない話ですけど」


そう、だけど。


「でも魔法は使ってみたい…空飛びたいし」


「空飛ぶなんて高等な魔法、そうやすやすと使えませんからね?」


えーー。つまんないの。


私専用なら私のやりたいようにやらせてくれよ神様!!


「説明は以上です。また何かありましたらルーン!と叫んでください。いつでも来るのでっ!」


そう言い終わると、私の返事なんて聞きもせずにぴゅーんと走り去ってしまった。


「どうせなら妖精設定にすればいいのに…」


あっまあどうでもいいことか。


……っていうか、私あっさり過ぎる程呆気なく死んだんだけど。ま、まだ認めた訳じゃない、けど!

前世の世界?ってどうなってるんだろう。もし本当に死んでたなら、お葬式とかどんなんなのか見せてもらえないのかな?


「ふう」


早速呼ぶか。…うん、別に信じてる訳じゃないんですよ。本当にゲームだとまだ思ってますから、ええ。

で、でも家の場所とか知らないし、こんな森に置き去りにされても困りますし!!


って誰に言い訳してるんだ私。


「ルーーンー!!!!」


「…早すぎやしませんか」


「まだそこにいたの」


木の陰にいました。大声張り上げたのばかみたいじゃん。恥ずかしいわ…。

詐欺られるっていうか…ゲームだと詐欺られてほんとに死んじゃいましたっていう、ゲーム制作陣には落ち度のない詐欺(故障してる時点で割と問題はあると思いますけど)

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