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論者と術者とチカラのアリか!?  作者: rise(らいず)
4/4

第4話:お楽しみ?尋問タイム!


どうしてこうなった・・・。


今、俺達はわざわざ用意してくれやがった、

国で一番足の速い馬、のような生き物が引く荷車に乗り、

一番近くの魔族との混戦地へと移動中だ。

ちなみに先程の謁見からまだ1時間も経っていない。

迅速すぎる。そのほんの少し前までコタツでゆっくりしてたとは思えない。

格差すごいです。


「本当に一体どうすれば・・・。」

そう嘆くのは騎士団長様ことメアリさんだ。

可哀そうにうつむいて震え上がっている。

ちなみにこのまま嘆いていたら間違いなく死ぬと危機感を覚えた俺は、

先程から何か打開策はないかと、この異世界の世界観的な物を聞き出していた。

だってそうだろう?異世界と言っても色々ある。

もしかすればこちらの世界では常識になっているような戦術、知識で

指揮を執るだけで夢想できるような世界かもしれない。

夢にまで見た無双ライフの始まりだぜ!


・・・と思っていた時期が俺にもありました。

結論から言います。無理です・・・。

まずこの世界、普通にほぼ全員が魔法を使えるらしい。

感覚的には、普通に歩ける、走れるとかと同じレベルでだ。

そして一部のすごい人たちは、とんでもない威力の攻撃魔法が使えたり、

身体強化的な方向にチカラを回したりする事も出来るらしい。

こっちで言う何かのプロみたいなものに近い感覚のようで、

才能も、努力も必要だが誰でも鍛えれば

それなりの強さになるようだ。

そして相手取っているのは、そんな人たちが苦戦するほどの

力を持った魔族たちである。

一方どうやらお約束どおり、情報伝達的な分野はこちらの世界より劣っているようで、

俺がこれまでに見知ってきた知識やらが、

もしかしたら役に立つ事もあるかもしれない。

というか間違いなく役に立つ。

先程そこらの兵士に作戦はどうなっているのか聞いたら、

敵のところに行って戦う以外に何があるんだと素で言われた。

どうやら戦術レベルはかなり低いようだ・・・。

まあ火力のぶつけ合いで終わる事が多そうな世界だし、

発展しなくても仕方が無いのかもしれない。

だから本当はぜひとも指揮を執りたい。

少なくとも、正面からぶつかるだけです!よりはマシにできると言いたい。



でもね?こんな言葉を知っているかい?

何を言うか、ではなく誰が言うかの方が重要なんだ。(byどこかの偉い人)

普通に考えて、どこぞの馬の骨が、こういう戦略で行きましょう!

などといきなり言い出して誰が聞くというのか。


(せめて、何かハッタリでも良いからチカラを誇示できれば・・・。)


今の俺達の扱いは、最前線に放り投げる為の戦力、もとい駒だといえる。

国一番の戦力らしいメアリさんと、

とんでもなチカラがあるらしいドロシーはともかく、

このまま行けば俺は即死確定・・・なので、

本来であれば一番震え上がらなければならないのは俺、のはずなのだが・・・。


現実にはあまりに動揺しているメアリさんがいるおかげで

妙に落ち着いている状況だ。

そして今現在何を話しているかと言えば

「えと・・・、メアリさん。何度もお伺いして申し訳ないですが、

ここはもう話してもらうしかないですよ。

誰にも言ったりしませんから。」

「ですから!固有能力の秘密は例え家族であっても簡単に話したりしない

とても特別な物なのです!秘密が知れることでチカラを発揮し辛くなる

物も多いんです!私はまさにそれで」

「ですが、命あってのものだねと言いますし・・・」

「くっ・・・!」


そう、この世界には普通に使える魔法などの他に

固有の、不思議な超能力みたいなものを授かる人が居るらしいのだ。

さらに、これは神からの贈り物として扱われ、

基本的には使わずに生涯を終える人が多いらしい。

使っても、人にばれない様にするものなのだそうだ。

チカラを得たのになぜ使わないのか・・・?と問うてみれば

この固有能力は非常に強力なものが多く、場合によっては

危険因子として・・・という事もあるらしい。

その為、どんなチカラなのかは基本他人に伝えたりしないのだそうだ。

国がお互いに戦力を持ち合って抑止力にするが、

実際には使わない・・・みたいな物だろうか。

そしてそれをより強固にするためなのだろう。


「私が・・・こんな、辱めを・・・!」

うん。文化というか、常識としてこの固有能力を人に話すと言うのは

非常に恥ずかしい事である。という感覚が根付いているらしい。

正直俺からしてみれば、これから命がけで戦いに行くにあたって

味方の能力はそりゃあ知りたい、程度のものなのだが・・・。

「うぅ・・・くぅ・・・!」

目の前の騎士様は涙目である。俗に言うくっ殺状態である。

さっきから自分の両手で自分を抱きしめたままだから、

胸が強調されていて、厭らしさ2倍ズドンである。

でも誓って言うけどそういうつもりじゃないから。

戦力の確認したいだけだから!


・・・文化や常識って怖いよな。そう教えられて、周りも普通にそうしていれば、

それがその人にとって普通になっちゃうんだから。


「わかりました・・・私も覚悟を決めます・・・!」

説得の末なんとか話してもらえそうだ。

なんかすごい顔真っ赤で涙目で、俺が最低ゲス野郎のような構図だが、

断じてそんな事はないんだ。

確かに恥ずかしい思いをさせてしまってるのかもしれないが、違うんだ・・・。

「私のチカラの正体は・・・」


その後、俺は世界統合の手引きをした大罪人、という肩書きに加え、

エロ魔人やらなにやらと呼ばれるようになったのとかならなかったとか。


なんでや・・・


ちなみにこのやり取りをしている間、

ドロシーはコタツで丸くなって、幸せそうに眠っていた。


なんでや・・・

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