第2話:とにかく現状を把握だ!
皆様またお会いできて光栄です。
さて、俺なのですが・・・
「ああああああなんなの出してよもおおおおおお!」
後ろで騒いでる美少女と共に・・・牢屋に居ります。
―話は少しばかり遡る。
「ひひはにああにするのああはーーーーー!」
「えと・・・なんて?」
これは難聴ではない。普通に呂律が回っおらず意味がわからないだけだ。
「なにするんだって言ってるのよもおおおおおお!」
うんなんとなくそうだろうとは思ってた。
「申し訳ない・・・まさか部屋の外に人がいるとは」
「・・・というかあなただあれ?」
俺の胸元位までしか身長のない美少女がかわいらしく小首を傾げている。
先程はまさかの異世界”が”召喚に困惑していたが
うん、なんだなんだ割とわかってるじゃないかー。
まあちょっと子供過ぎて、いわゆるヒロインとしてみる事はできないが・・・
かわいいものはかわいい。かわいいは正義
と、しまった。とりあえず返事をしないと・・・
「ええと俺は・・・」
「動くな!!」
「!?」
少女に答えようとした時突如部屋に兵士のような・・・
というか兵士が流れ込んできた。
待て待て待て、もう常識通じない状況なのはわかるが
ここ、俺の部屋
「ええと俺に」
「口を閉じろ!」
「」
どういった用件か聞こうと思ったら話すことすら許されなかった。
一体俺が何をした。
身に覚えがなくてもこういうのって心臓に悪いんだよ・・・。
「そこの二人!とんでもない事をしてくれたな!」
なんて事とのほほんと思っていられたのは
「世界転覆を企てた罪でお前達を拘束する!!」
この瞬間までだった・・・。
さて、そうしてあれよあれよと言う間に連れられて
俺とこの少女はここ(牢屋)にいるわけだが
「ああああんせっはうああしあああ!」
うん、この子テンション上がると呂律回らないみたいだね。
見てる分にはかわいいけど・・・とりあえず
「えっと・・・ごめん少し良いかな」
するとくるっと振り返り、少女がこちらにやってくる。
「ねえ!あなたも世界の救世主に対してこれっておかしいと思わない?」
「救世主・・・?」
「そうよ!せっかくこの私が世界をくっつけてあげたのにいいいい。」
そう叫びながら少女は両足でジャンプしては足を地面に打ちつけている。
両足地団駄だ。器用だな・・・。
そしてそれはいいが冷静な説明を得られそうに無い。
どうしたもんか・・・。
「私からご説明しましょう。」
ふと、牢屋の外から声がかかった。
甲冑に身を包んだ女兵士さんだ。
「そこの魔女・・・名をドロシーは、世界を別次元と繋いだ張本人!」
は?
「世界の在り様を根本から変えてしまった大罪人です!」
はは?
「そしてお前は、それを手引きした異界の人間!万死に値する・・・。」
はははー・・・いや待て待て待て
追いつかない。理解も突っ込みも追いつかない。
そもそもこういう異世界召喚とかって普通神とかそういう立場の存在がさ・・・ね?
それをこんな少女がやったって・・・。
しかも手引きしたのが俺ってなに!?
「なによお!何が悪いの!?」
「何がではありません!いつもいつもトラブルを
起こして常識が無いとは思ってましたが・・・ここまでとは思っていませんでした!」
「だって皆言ってた!このままじゃあアタシたちは終わりだって!
それなのにモタモタしてるから、アタシがやってあげたのに!」
「そもそもなんで出来ちゃうんですか!?
国の高位魔術師達が必死に研究し、やっと術式が組みあがったところなんですよ?」
「術式があるんだからあとは起動するだけじゃない!」
「それがおかしいんです!普通出来ないんですよ・・・。」
あ、看守の兵士さんがさめざめと泣き始めた・・・。
苦労・・・してるみたいですね・・・。
そして俺、未だおいてけぼりなのですが?
・・・。
その後、色々と話を聞いた。まとめるとこうだ。
この二人の世界は危機に瀕していた。
それこそ自分達の世界だけではどうにも出来ないくらいにだ。
そこで禁忌とされていた、異世界に干渉する術を研究し始めた。
やっとこさ目処がつき始め、異世界から資源やら、人材やらといった
必要な物を捻出できるかもしれないと希望を抱き始めていたらしい。
しかし、その異世界にも文化はある。干渉には慎重をきたす必要がある。
という所で調整を進めていたらしいのだが
「だって術式完成したって聞いたんだもん!普通発動するじゃない!」
この少女があろう事か単独先行した・・・という具合だそうだ。
「だから普通出来ないんです・・・ああ、主よ。なぜこの子にこんなチカラを・・・。」
「ええと・・・そちらの基準はよくわからないですが、そんなにですか?」
「そうですよ・・・千や万の兵士なら軽くいなせる高位魔術師が数十人掛かりでの発動を
想定していた術式だったんですよ・・・?それをそれを一人で息でもするかのようにぃぃぃ。」
oh・・・そいつはすげえや。さらに異世界干渉のはずが召喚しちゃってるしな。
ちなみにそのすごい少女は今、頬を膨らませながら逆立ちし、
さらにジャンプしている。
逆立ち両手地団駄だ。落ち着きが無い・・・というか身体能力もすごいな。
おへそも大変良い・・・。
じゃないよ!?
この子かわいい顔してこええええええええええ!?
そしてまだわからない事が残っている。
「ここまでの話はわかりましたけど、俺は何の関係が?」
そう、俺、関係なくね?
「術式の構造上、相手の異世界側からの手引きが必要だったのよ!」
いつの間にかドロシーが近くに戻ってきていた。
「んで、探ってたらOK出してる所があるじゃない?もうやるしかないよね!」
まてまて、話の流れからするにそのOK出してたのが俺って事か?
「そ、そんな手引きするような事をした覚えは無いんですけど・・・。」
「えー言ってたよー?なんかここですよーとかなんとか・・・?」
うん。首を傾げるの癖なのかな?かわいい・・・じゃない。
思い出して、そんな事してた・・・?
―「もしもーし、異世界の女神さーん。ここですよーいつでもOKですよー?」―
してたあああああああいやでも待て待て待てあっれ唯の独り言おおおお!?
「とにかく、あなた達の処遇は今検討中です。しばらくはここにいていただきますからね!」
「えええええだからなんでなのもおおおお!」
「本当なんでええええええええ!?」
異世界?生活初日・・・牢屋なう。進捗・・・無し!