第1話:ハーフリニューアル!
「ごめんなさいねえ。ほら、私これでも頑張ってるから~。」
「はい。いつも頑張って下さってるのはとてもありがたく思っています。
しかしですね・・・」
皆さんご機嫌いかがだろうか。お初にお目にかかる。
俺?俺はこの寂れた店で、店長なんてやってるもんだ。
そして一言言いたい。
こんな現実クソ喰らえ!
「いつも大変ですね。店長」
今まで話していた従業員と別れ、人心地ついていると
部下の一人が声をかけてくる
「そう思うなら代わってくれないか・・・?」
「それは勘弁です。」
言いたい事をまとめるとこうだ。
最近、世間が頑張ってる人に対して、厳しくね?
知っている人は知ってると思うが、
今この国では市民を守るため色々と決まりごとが制定されている。
でも悲しいかな。それを逆手に取って、楽をしようとする不貞の輩が多いんだなあ・・・。
さっきのバイトもそうだ。
俺がお願いしてるのは、ただ仕事を手順通りしてくれというだけの事だ。
それに対しての返答はこうだ。
「だって面倒じゃないですか~」
悪びれもしない。いい笑顔でそれを言い放ってくれました。
やれない、のではなくやらないのだ。
ネットとかでこれを言えば、クビにしてしまえと言う意見も多い。
でも知ってます?最近は出来ないんだよそれ。
ハラスメントがなんたら、企業としての信用問題がなんたらとかでね。
バイトちゃん達もそれがわかっているから強気に出てくるって訳だ。
そしてそれにより、優秀なバイト君たちが
「だってこれだけ頑張ってあの人たちと似たような給料なんて、割に合わないんで・・・。」
と一人、また一人と辞めていってしまうんですね。
晴れて平凡未満な従業員ばかりが残る訳だ。
ねえ?おかしくない?おかしくない?
元は不当に使い捨てで解雇などする企業に対するルールで
従業員を守るための取り決めだったはずなのに・・・。
まあ今のはただの例だが、最近色々とズレている気がする。
なんというのか・・・。権力・・・チカラの在り様が!俺にもっとチカラがあれば・・・。
そう思わない?おまいら
―自分が無能なの棚に上げるなよ
―それがお前の仕事なんだろ?何甘えちゃってんの?w
―お前がイケメンなら違ってたよ。童貞乙
あ、思わないですかーそうですかー。
自宅に戻りSNSで愚痴ってみてもこんな意見がほとんどである。
ひどいよおまいら・・・。
というかどどど童貞ちゃうわ!
「あー・・・こんな世界どうにかなっちまわないかなー。」
自分で言うのも何だが、これでも優秀な成績修めて
20代で店長にまでなって、それなりに楽しくやっていけると思ってたのになあ・・・。
そもそも世界の定義ってなんだろうか。哲学だな。
流行の異世界召喚とか来てくれないかな。
「もしもーし、異世界の女神さーん。ここですよーいつでもOKですよー?」
そんな事を呟きながら俺は目を閉じる。
チカラを一つ授けるとか言われたら、絶対”ああ”するな。
そして頭脳派な無双キャラになって・・・。はいはい妄想乙です。
「なーんて都合よく・・・」
ーーーーーーー!ーーー!
・・・え?何?
ーーー無い!いっけーーー!
ははー幻聴ですかーついに頭おかしくなっちゃったかー。
「もう、今日は寝よう・・・。」
俺は疲れに身を任せ、ベッドに横たわった。
(・・・なんだか外が騒がしいな?まあ何でも良い・・・か。)
明日もきっと何変わりない、一日が、待ってるよな・・・
翌朝―
窓の外に広がるのは
見覚えの無い風景だった。
・・
半分だけ
・・・え?
待て待て待て。
よし、まずは安定の現状整理だ。
向かって右手に見えるのは、普段からよくみる景色だ。
これは問題ない。
そ、そして左手に見えるのは、なにやらRPGでよくみる景色だ。
荒野の中とかにありそうな始まりの町っぽい何かだ。
それが目の前に同時に存在している。
これは・・・あれですか。常識とかそういうの度返しで判断してしまえば・・・そう。
「異世界”が”召喚された・・・?」
・・・。
ちがーーーーーーう。そうじゃなーーーーーーーーい!
いったいどうしてこうなった!
確かに割とマジで異世界召喚されても良いと思っていた。
でも、こうじゃない。
というかネットを見てみれば大騒ぎになってるし、
目の前では一触即発な気配の人だかりもある。
というか本気で騒がしい!
よく寝てましたね俺!
「と、とりあえず様子を見に行くか・・・?」
俺は部屋を出ようとする。
「ごふっ!?」
・・・が、何かにひっかかり扉が開かない。
(・・・ごふ?)
人の声・・・?いやいや俺一人暮らしですし・・・。
また幻聴ですかね。何か倒れこんじまったか・・・?
俺は繰り返し扉を開けようと試みた。
しかし開かない。
「ご!?ちょま、やフ!?」
(・・・。)
あ、やばいこれ幻聴じゃないわ。昨夜に引き続き幻聴じゃないわ。
誰かいますわ。
俺、多分扉を打ちつけまくってましたわ・・・。
「あ、あの・・・すみません大丈夫」
言いかけた時、勢いよく扉が開いた。
目に映るのは・・・うちの廊下じゃない。
なにやら石造りの部屋で、床には魔方陣が見える。
そして・・・
「ひひはにああにするのああはーーーーー!」
俺の目線より少し下に、日本語でおkな美少女がいらっしゃった。
ー祝、初お約束回収ー
どうなる俺・・・!?