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(1)トラップ転生始めました

もしくは「ぶっちゃけプロローグ」

 享年16歳。

 迫りくるトラップから女の子を守ろうとして死んだ。

 そして、いま俺の前に神と名乗る少年が俺の前に立っている。


「まあいわゆるトラップ転生って奴になるんだけど、やってみない?」


 いや、ありえないだろ。


「そう言わずにさ。ボクを助けると思って」


 だが、断る。

 そもそも死因が有り得なさ過ぎる。

 なんだよ。下り坂の先にある交差点で、信号待ちのボタンを押したら坂の上から大岩が転がってくるトラップが発動って。

 俺が住んでたのはファンタジー世界でもギャグ世界でもないだぞ?

 横断中の女の子が驚いて立ち止まってしまったじゃねえか。そのまま渡ってたら全然助かってただろうに。

 俺の発動させた罠のせいってのもあるから思わず助けに入ったけど、マジでファンタジーとかギャグじゃないんだぞ?

 なんで信号待ちのボタンで罠が発動するんだよ。


「設置する世界を間違えちゃった。てへぺろ」


 男にやられても腹立つだけなんだが?


 ちなみに女の子の名誉のために言っておくが、俺が待っていたのは下り坂に対して縦方向の信号で、女の子が渡ってたのは下り坂を横切る横断歩行だ。決して信号無視してたわけじゃない。


「だからさ、代わりにチートあげるから異世界転生でゆるしてよ。君も好きなんでしょ。異世界。トラック転生する人は異世界が好きって当社のアンケートでも出てるよ」


 当社ってどこだよ。それに俺を轢いたのはトラックじゃなく、どっかのバカが間違って設置したトラップだ。


「バカってのはひどいなぁ。それより異世界行ったら何したい?」


 まだ、行くとは言って無いはずだが?


「ダンジョンマスターとかどう? 罠設置して冒険者捕らえたりして楽しいと思うよ」


 聞けよ。

 てか罠で死んだ奴に罠を管理する側に回れってか。俺なら御免被るね。


「別に無理に罠を設置する必要はないよ。モンスターオンリーダンジョン。いいんじゃないかな」


 そもそもダンジョン運営って何すれば終わりなんだ?

 目的もなく掘り進めて、結果エタるとかいやだぞ。


「えと、ポイント貯めたりある階層まで掘り進めたら、元の世界に戻れる様になるとか?」


 今更元の世界に未練ないし、戻って何すんのってなるわな。


「じゃ、じゃあ、冒険者はどうだい。モンスター倒してダンジョン潜って……」


 そして罠にかかって死ぬってか。


「じゃあ罠無効のスキルあげるから」


 もちろんさっき言ってたチートとは別枠だよな。


「う~ん。まあしょうがないね。じゃあそれで異世界行ってくれるってことでいいよね」


 貰えるチートによる。


「鑑定とアイテムボックスは基本として、人気のある強奪系のスキルでどうかな」


 鑑定、アイテムボックスはともかく強奪は却下だ。


「なんでさ。人気なんだよ」


 在り来たりすぎる。ってか、人気ってなんだよ。そんなに異世界転生してるって事だよな。


「ぎぐっ」


 図星なのはわかったが、口で言うなよ。

 という事は、俺のスキルを他の転生者に奪われるって可能性もあるんだなよな?


「だ、大丈夫。君が行く世界は他の人と被らない様にするからそれは安心していいよ」


 まあどっちにしろ強奪は却下だな。さっきも行ったように在り来たりすぎる。

 もっと他に例のないオリジナリティのある奴がいい。


「じゃあ、いっそ自分でスキルを自由に作れるスキルなんてどうだい」


 それもどっかで見たことがある気がするから却下。

 つか、人任せにするんじゃなぇ。スキル作るのはおまえの仕事だろ。


「ぐぬぬ。わかったよ。じゃあ作ってあげるから君も考えてよ。自分で考えた方が好きなの思いつくでしょ」


 と、いうか冒険者になったとして何すりゃ良いんだろ。

 終わりが見えないのってダンマスと一緒じゃねえか。


「そ、そこはほら王道で魔王を倒すとか」


 面倒。ってか、お前んとこのやっかいごとを押しつけてるだけだろ。

 俺はお前のミスのせいで死んだんだぞ? そこんとこ忘れてないか。


「じゃあ、逆に魔王になって憂さ晴らしに僕の世界を滅ぼしてみるとか?」


 お前の世界にも住人はいるんだろ?


「そりゃいるけど」


 じゃあ、却下だ。関係のない奴らに迷惑をかけるつもりはない。


「……君って意外にやさしいんだね」


 意外ってどういう意味だ。


「あぁ、ごめん。そもそも君が死んだ理由って人助けだったね。君が優しくないんじゃなくて僕に厳しいだけか。っていうか僕以外にやさしい?」


 お前のミスがなければ人助けの必要もなかったんだけどな。あと、誰がうまいこと言えと言った。


「うぐ。と、とにかくエタるとかそんなメタ的な事は置いといてさ、僕を、いや、僕の世界の住民を救うと思って転生してくれよ」


 ……どういうことだ。


「えっと、実は今回のミスが決定打となって僕消されそうなんだよね」


 要するにほかにもやらかしてたって事だな。


「うぐ。ま、まあそれは置いといて。でさ、僕が消えちゃうと僕の世界を管理する人間が居なくなるから、迷走の末に消滅が基本パターンなんだよ。たまに変に安定して神の管理から独立する世界があるけど、それはまあ極稀かな」


 俺が転生すれば助かる理由は?


「元の世界じゃなくても生きてさえいれば、今回の件が揉み消せるんだ。現状、まだ君の死は閻魔帳に載ってないからね」


 あのさ、俺が行ってる間にまたチョンボされると目も当てられなくないか?


「だ、大丈夫だよ。いくら僕でもそう何回も……。うん、きっと大丈夫だから」


 おい待て、さっきの沈黙はなんだ。


「ほ、ホントに大丈夫だから」


 信用ならねえな。


「なら、君の転生先はさっき言った、神の手から放れた安定した世界にするから、もし僕に何か起きても影響ナッシング。ほら問題ない」


 んと、それって行った後はおまえからのフォローもないって事か?


「う。ま、まあ確かにそうなるけどダメかい?」


 うんにゃ。

 逆にドジな神さんに変なちょっかい出されないだけ安心できるな。


「ぐふっ。で、転生先の設定なんだけど……」


 任せた。ただし、オリジナリティがある物に限る。


「へっ、いいの?」


 おう。

 どうせ転生しなきゃいけないんだろ。

 なら何もわからないまま行くのもおもしろそうだ。


「なる。じゃあ、ちょっと待ってて被らなさそうなの探すから」


 あっ、一応ステータス閲覧は必須な。


「おっけー」


 こうして俺の異世界転生は始まったのだった。

初日更新という事でノクタでの投稿済み部分の計6話は6時間おきに投稿予定です。

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