プロローグ
作中に出てくる『教会』というワードは、作品内での架空の宗教の教会です。
実際の宗教とは何ら関係はございません。
しかし、不快に感ぜられる場合は瞬時に読書を終了してください。お願いします。
貴方が私を許しても、私は貴方を許しません。
私がいずれ許しても、貴方は私を怒るでしょう。
貴方が私を怒ったとき、私は貴方を許しません。
***
カツカツカツ…。
薄暗い廊下にはいくつもの足音が響いていた。
革靴が磨かれた床を鳴らしながら、法衣を着た大人たちが忙しそうに右へ左へ。
大人達は内緒にしてるから、私にはいつもと何か違うって事しか分からない。
『教会…東ではもう…、馬鹿なこ…ここにも…?』
『出たんだってよ…。これで何件目…。』
ふと耳を傾けると大人達の、ひそひそ声が聞こえてきた。
私は廊下にあるカーテンに潜んでその話を聞いてみることにした。
『ここも危ないのかな…。』
『あぁ、隣の村はもう、やられたらしいぜ。』
『嘘だろ…?でも、ここは聖域の一つだぞ?』
『たしかにここは、僧兵もいるし大丈夫だと思うんだけど…。』
『そうだよな…。いくら何でも武装された所には来ないだろう…。』
『まったく、教会荒らしなんて、神道にも人道に反する行為だぜ…。』
教会荒らし?
なんだろう、聞きなれない言葉だ。教会を荒らす人なのだろうか?
教会を荒らしても何もないのにな?
見つからないように、そっとカーテンから抜け出すと急いで自分の部屋にかけ戻った。
住居部分は、教会の裏手にある別館がそうだ。
『フィアの小屋』と書かれた扉をあけて、ベッドに倒れこむ。
「教会荒らしか…。泥棒か何かかな?」
すっかり聞き込んでしまった。窓の外は真っ暗だ。
「えぇ!?もう日が変わってる!明日は誕生日だわ!」
教会に預けられた子供は、12歳の誕生日から街に行って買い物をしても良い決まりになっていた。
つまり明日になれば、フィアも晴れて街に行く許可が下りるのだ。
「もう遅いから何を買おうか考えながら寝ようっと…。」
まったく眠たくはなかったが、明日への近道は眠ることだからと言い聞かせて目を閉じた。
こんにちは、天地袋です。
今回はプロローグにあたります。
そうなんだ〜。って思ってもらえたら幸いです。
読んでいただきありがとうございました。