アリスゲぃム〜3〜
「……」
目が覚めると目の前に見目麗しい人が居ました。
宝石のサンストーンを思わせる青緑色の床一面を覆い尽くす程長い髪
優しく微笑む翡翠色の目。
現世にこんな可笑しな髪と目をした人は居ないはずです。此処は死後の世界でしょうかね?
「目が覚めましたか……?」
声も美しいですね。
賛美歌を歌う聖歌隊の様に神様に祝福された人なんでしょうか?
「……誰?此処は?」
「僕はラプンツェル。此処はサンストーン。貴女は? 」
ラプンツェル……塔に閉じ込められた哀れなお姫様。長い髪は魔女が塔に昇り降りする為に伸ばされているのだっけ?
サンストーンは宝石?初めての恋とかとち狂った石言葉を持ってたきがする。
「私……菊音愛莉澄……」
つくづく自分の身の丈に合わない名前だと思う。
アリスの様に可憐では無いもの。
「髪を降ろして。降りるから。」
「そう。行ってしまうの……僕と一緒に居て……」
「嫌。囚われの姫と一緒に居るなんて生きた心地がしないもの。」
そう言うと彼は黙って髪を降ろしてくれた。
「またねアリス。今度はお茶会を開こう!」
下に降りて暫くウロウロしていると紫のローブを羽織った妙齢の人に会った。
「貴女は……アリス……そう。」
「名乗ってませんが?」
可笑しいな……名乗って無いはずですが……何処かで名乗ったのかな?
「此処に居る女の子は皆アリスなのよ。」 ふーん。他にも“アリス”って名前の女の子が集められているのか……
「そうですか……貴女はラプンツェルの魔女ですか?」
「貴女でも無いし、魔女でも無いわ。女に見えるかしら?」
見えなくも無い。
長く美しい紫の髪はアメジストの様で……
整った顔立ちは女性的だ。
強いて言うならニューハーフみたいな人だ。
それに現代日本においてニューハーフは非難されもあるがそこら辺の女性より女性らしい人も居る事実。かの人が中おと性だと言われても驚かないだろう。
「見えますよ。そもそも現代日本においてニューハーフを非難する人もいる傍ら女性より女性的な仕草をする人もいますし……乙男とか呼ばれる男のなりをしていても女性より家事や小物作りが上手い男性も居ます。よって貴女が女性だと言われても何ら異論は御座いませんが?」
「ふふ……おかしな子ねぇ……」
「では、失礼します。」
彼女から別れウロウロしていると
亜麻色の髪に紅い目をした男の子に出会った。
「おねぇさんが新しいアリス?」
「そうみたいですね君は誰ですか?」
可愛らしい子だ。
「僕〜?僕は姫〜」
「冗談言うな餓鬼……」
「冗談じゃないよ〜チューリップから生まれたんだよ〜」
「そう。親指姫なのね。わかったから周りをチョロチョロしないでくれる?」
親指姫と言うよりネズミと呼ぶのが相応しいと思うのだけど……
「おねぇさん!今日はクッキーを持ってきたよ〜」
「あぁ……姫ですか……お茶にしましょうか?」
「うん!ミルク多めにしてね!」
何をとち狂ったのか……毎日姫を家に迎え入れます。
そして、2人で日が暮れるまでお茶をして眠りに着きます。
此処は仕事をしなくても生きていけるいいところです。きっと他のアリス達も幸せに暮らしているでしょうね。
今日も可愛らしい姫とたまに会いに行くラプンツェルと共にお茶会をして本を読み私はきっと幸せ者ですね。
親指姫happyend
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「やっとhappyendを向かえてくれましたか……長かったですね……次のアリスはどんな終焉を向かえてくれるでしょうか……」