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秋風が運んだデスティニー  作者: ルイ シノダ
11/12

第五章 決着 (1)

トランザムから重要な情報を得た二人は、翌日からの勤務に十分な注意が必要だと確認しあい、出社する。だが、ナオミは、いつもと変わらないプロジェクトメンバーの対応に気がゆるんでしまった。いつもなら一緒に昼食に行く女性が用事があると言って、一人で食事をとるつもりだったが・・

第五章 決着


(1)

 昼食時間になり、いつも誘ってくれる女性が“今日はちょっと用事が有ってごめん”と言うと先にプロジェクトルームを出た。

ナオミは人が少なくなった部屋から出てそのまま建物の中にあるレストランに行こうと思ったが、少し生理的なものがあり、女性トイレに行った。

ドアを開けてコンパートメントに入ろうとして時だった。いきなり後ろから体を押さえられ口に布らしきものが当てられると意識が遠のいた。

 鼻に“ツン”とした匂いがするとゆっくりと意識が戻り始めた。自分が横にされ、手足が縛られているのが分かった。だがここがどこかわからない。

「気がついたようだな」

声の主の方向に振り向くと弦神が立っていた。後ろの方で男が二人いる。ナオミは、状況を把握すると鋭い目で弦神を見た。

「美しい女だ。今回の件がなければもっと素敵な人生を送れたかもしれないのに。俺の女として」

薄気味悪い笑いをしながらナオミに髪の毛を触ると

「神崎ナオミ。今回の件、全て話してくれないか。話してくれれば、このまま釈放する。話さなければ後ろの輩のおもちゃにされた後、お前は死体もなくこの世から消える。簡単な選択だ」

その言葉に恐怖で目を大きくすると

「弦神リーダー。何を言っているのか分かりません。なぜこんなことするのですか」

「ふんっ。きれいな顔をして大した女だ。神崎。普通はな、こんなことされれば一にも二にも許しを請うものだ」

そう言ってしっかりとナオミの顔を見ると

「トランザムをどうした」

弦神の言葉に睨みつけるように見返すと

「何を言っているのか分かりません」

「さすがだな。仕事もできる。その上美人だ。おしいな。話してくれないか」

その言葉に沈黙をすると

「仕方ないか。残念だよ。君とは一度ゆっくりと食事でもしたかった」

そう言うと後ろに立つ男達の方を向いて何も言わずに部屋を出て行った。


ドアのしまる音がすると

「たまらねえな」

「ああっ」

そう言いながらゆっくりと近づくと右腕でナオミの顎を持ってキスをしようとした。必死に避けようとするが、力が違いすぎて男の唇が否応なしにナオミの柔らかい唇に触れた。

男は、ナオミの素敵な唇を舐める様に十分に吸って満足すると、唇を付けたまま、男は左手でナオミのブラウスのボタンを上からゆっくりとはずし始めた。

抵抗ができないままにきれいな薄いブルーのブラが見え始めると今度は、顎を掴んでいた右手で、思い切り右の胸を掴んだ。

「やめて」

口のふさがりがなくなったナオミは、泣きそうな声で叫ぶと、その声に一度ナオミの顔を見て

「ふん、どんなに大声を出しても誰も来ねえよ」

と言って、ボタンを更にはずして行った。

やがてすっかりブラウスの前がはだけると男はナオミのブラを強引に引き上げた。きれいな胸が丸見えになっている。男は、ナオミの胸のトップに口を付けて好きにし始めた。

「たまらねえ」

「はやくやっちまえ。そしたら次は俺だ」

横で足を押さえながら待っている男が、今度は、スラックスのボタンをはずしジッパーも降ろし始めた。パンティがほとんど見えている。

ナオミは涙を流しながらあきらめかけた。“ジュン、ごめん”そう思って目をつむると男の手が自分の大事なところに触れようとした時だった。

いきなりドアが開いた。サングラスにスーツ姿の男が飛び込んでくるとナオミのジッパーを降ろした男が、その男に殴りかかろうとして思い切り腹をけられると前かがみになったところを右ひじで後頭部を鋭く突かれた。そしてその男はそのまま倒れた。

ナオミの胸をもて遊んでいた男が、起き上がり構えると入ってきた男に殴りかかった。打ち出した右腕を軽く流されて、その右手を体の後ろに持って行かれ、“くるっ”と回るとそのまま“ぐいっ”と腕を押し上げた。やがて“ぼくっ”と鈍い音がすると肩の部分から右腕が“だらっ”と下がった。男は“ぐぇ”という言葉をいうひまもなく後頭部を手刀で一撃されるとそのまま崩れた。

ナオミは何者か分からず、いたずらされたままの恰好で本当に怯えていると、男は

「早く洋服を直せ。時間がない」

そう言って、手と足に巻いていたガムテープとひもを取るとナオミの体を“じっ”と見た。

その視線に恥ずかしくなって、急いでブラの位置を戻し、ブラウスのボタンを留めて、スラックスのジッパーとボタンを元に戻すとその姿を見ていた男は、

「こっちだ」

そう言って顔を振った。


ドアを開け、左に折れ、廊下を走るとドアを開けた。ナオミは、前を走る男が何者か知らないが、自分を助けた以上、今はこの男について行くしかないと思い、必死に後を追った。

大きな機械がいっぱい並んでいた。そこを走り、更にもう一つのドアを抜けて、そこを縫うように行くと次のドアの前で男は

「これから先はロッカー室の手前の通路だ。もう内調ここにはくるな」

そう言ってドアを開けてナオミの体を押した。ナオミがドアの外に出るのを確認すると、何も言わないままに、男は内側からドアを閉めた。

ドアが閉まると周りを見た。“ここに出るの”いつもは、気にならなかったロッカー室のすぐ左に有る、ドアから出たのが分かった。通路の前と後ろを見て誰もいない事を確認すると急いでロッカールームに入り、自分のロッカーの前に行った。

 カードをかざすと“カチッ”というロッカーが開いた。今日の朝持ってきた私物とバッグを取り出すとロッカーのドアの後ろにある鏡を見た。男のせいで、唇の口紅がめちゃくちゃになっている。

バッグからティッシュを取り出し、唇を拭くと何もせず、そのままロッカーのドアを閉めてロッカールームを出た。まだ誰もいない。

少しだけ早足で建物の出口まで行くと何も知らない守衛の男は、嬉しそうな顔をして、ナオミをそのまま見送っている。

 カードをかざしてそのままゲートを抜けると駅に向かった。地下鉄に乗るとさっきのいやな思いが蘇ってきたが、無理して表情には出さずにした。

マンションのある駅に着くと意図的に大周りをしてなるべく、後ろに気を付けたが、誰も居ないと思うとマンションに向かった。やがて、マンションの玄関に入ると急いで部屋に行った。鍵を持つ手が、鍵穴にキーを入れるのを一瞬だけ躊躇したが、思い切ってキーを入れて回した。

両方の鍵穴にキーを入れて回すとゆっくりとドアを開けた。そしてドアを引いて中に入ると“じっ”と部屋を見た。いつもの自分と弟だけが住んでいる匂いがした。安心して玄関を上がると急いで自分の部屋に行った。

ナオミは、着替えの下着をクローゼットから出すとバスルームのある洗面所に駆け込み、ブラウスを急いで脱いで、淡いブルーのブラを急いではずし、パンティも脱ぐと、直ぐに洗濯機の中に放り込んだ。洗剤を入れて、蓋をしてスイッチを押すと自分は急いでバスルーム入った。

お湯のスイッチを付けたが、思い出すとたまらないナオミは、シャワーの栓をひねると体をその下に持って行った。

冷たさに一瞬だけ“びくっ”としたが、思い切り自分の胸をシャワーにさらした。栓を最大まで押すとその形の良い胸を思い切り洗った。涙が止まらなかった。“ジュン、ごめん”そう言ってボディソープを付けて思い切り更に洗った。

洗いながら手をゆっくり降ろし、腰から足までしっかりと洗った。途中一瞬だけ躊躇したが、自分の大切なところも丁寧に洗った。“ここだけは守れた”そう思うと少しだけ心が緩んだ。

どの位、シャワーを浴びていたのか分からない。ゆっくりと心を落ち着いてくると心の中に“あの人は”自分を危機の中から救ってくれた。サングラスをかけ、しっかりとした体つきで一瞬にして男どもを倒した。考えても何も分からないが、ただ心の中に“良かった”という思いが広がった。

 バスルームから出て、タオルを頭に回し、バスローブを着ると自分の部屋に戻った。ドレッサーの前に座ると自分の顔を見た。“心の荒れ”が表情に出ている。バスローブの前を少しだけはだけるといたずらされた胸を見た。

“ジュン以外の男が”そう思うとたまらなかった。両腕を体に巻くようにすると時計を見た。まだ、三時過ぎだ。弟が帰ってくるまで三時間以上ある。“ジュン、早く帰ってきて”そう思いながら前かがみになると涙がこぼれた。


 ジュンは、同じ研究室の仲間と昼食を取っている時だった。一瞬姉の声が聞こえたような気がした。少しだけ、冷静に頭の中考えると

「僕は午後からの作業は、三時までにする。用事を思い出した」

普段、決して私事を言葉に出さない研究主任に

「はい、分かりました」

それだけ言って主任の顔を見た。全面的に信頼しているだけに、何も疑わない研究員たちは、主任の真剣な表情を見て疑問を挟むことはなかった。

ジュンは、ケネパル・フォーミュラ東京研究所を出ると、真っ直ぐに駅に行った。この辺は住宅街も兼ねているため、三時くらいは非常に静かだ。人通りが少ない。研究所を出て左に曲がり小さな丁字路を過ぎようとした時だった。

 T字路の中から、ものすごい速度でジュンの方向に突っ込んで来る。ジュンは咄嗟にT字路を突っ切ると、車は強引に左に折れ、ジュンの前にふさがった。一人の男が運転席から出ると右手を左腰のベルトの一辺りにした時だった。

 いつ背後にいたのか気づかないほど気配をなくしていた男が、ジュンの右を抜けるとそのまま、手に持っている銃で目の前にいる男の右肩を打ち抜いた。一瞬の出来事だった。

 撃った男は構えたままにしている。撃たれた男は、声も出さずに左腕で撃たれたところを押さえると直ぐに運転席のシートに滑り込み車を急発進させた。車が、そのまま走り去ると

「もう研究所ここへは来るな」

そう言って男は銃をスーツの裏の腰のホルスタに仕舞い込むと何もなかったように研究所の方へ歩いて行った。

 あまりの出来事に少しだけ動けないでいたが、冷静になってくると“まさか”昼間の事を思い出した。小走りに駅に向かいながらスマホを手にするとスクリーンをスライドさせ姉の電話番号をタッチした。

 何回かの呼び出し音の後、

「ジュン」

スマホの向こうに大切な姉の泣き声が有った。

「ジュン、早く帰ってきて」

自分は何もはなしていないのに一方的に話す姉に

「お姉さん、今どこ」

「家、早く帰ってきて」

ナオミは、スマホが鳴って、スクリーンを見ると“ジュン”と表示されていた。急いでタップすると

心が我慢できずに言葉を出してしまったのだ。

「分かった、急いで帰る」

自分に起こった事は何も言わずにスマホをオフにするとジュンは、“いよいよか”そう心に刻んだ。


 ジュンは、マンションに着くと少しだけ周りを見た。特に見られている感じを受けないと思うと急いで部屋に向かった。

 二つの鍵穴にディンプルキーを入れドアを開けると急いで玄関を上がり

「お姉さん、どこ」

 自分の声に反応しないリビングの静けさに、ジュンは姉がそこにいないのが分かると姉の部屋に向かった。ドレッサーの前でバスローブのままうずくまっている姉に何が有ったのか一瞬にして察知すると

「お姉さん」

ジュンの言葉に、声の方向にナオミは顔を向けると一度止まっていた涙がとめどもなく出始めた。

「ジュン」

声と同時に体は弟の方に向かうと弟の体に抱きついた。

「ジュン、わたし、わたし・・」

「お姉さん、何も言わなくていいよ」

そう言うと思い切り抱きしめた。


習志野の郊外にあるビルに右肩を押さえたまま車を入れると、地下の駐車場からエレベータに向かった。

“くそっ、いったいあいつは”襲われた男の正体も分からずにジャックこと柴森恭介は、駐車場から更にエレベータで下に降りると医務室に向かった。

強引に医務室のドアを開けると

「先生、やられちまった」

そう言って左腕をはずすと、止血止めが真っ赤に染まっていた。冷静な顔で

「ジャック、珍しいな。派手にやられたじゃないか」

「ああ」

「相手は分かっているのか」

その質問に首だけ横に振ると

「弦神新之助がやられた」

「なにー」

驚きを隠せないままにドクターの顔を見ると

「相手は」

「今、調査中だ。直ぐに分かるだろう。トランザムを片づけ、あの弦神を片づけ、そしてお前をここまでにした組織だ」

冷たいほどに冷静に言いながら

「ちょっと、我慢しろ」

と言うとジャックの右肩にピンセットを強引に突っ込んだ。麻酔が効いているとはいえ、体にかかるショックは並大抵ではない。“ぐっ”という声を出すと、トレイに金属音をとともに半つぶれの弾丸が出てきた。

「おい、直ぐに回せ」

後ろを向いて助手に指示すると真っ赤に血の着いたままの弾丸が乗っているトレイを渡した。


ナオミは、、プロジェクトリーダーの弦神に捕われ、有らぬことか、暴漢に襲われる。そしてジュンも間違えば命を落とす場面に遭遇するが、二人を助けた男たちがいた。

二人は、ついに両親を死に追いやり、自分たちをこんな目に遭わせた組織に対して反撃にでます。

いよいよ次回が最終項です。二人の運命は・・お楽しみに。


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