目を合わせれば
『次は相模駅ー、相模駅です。河内小山へのお客様は次で乗り換えです』
ようやく相模か.......
座席から滑り落ちそうになり、深く座り直す。
はやく家に帰ってゴロゴロしてー
大体、こんなに遅く帰るのもクラスメイトの奴らのせいだ。
何で誰も立候補しねーんだよ。ムカついて学級委員長立候補したじゃん?
けど、誰も保健委員に立候補しないじゃん?決まるまで帰れないじゃん?
俺が立候補した意味は何なんだよ?!
あー、思い出しただけでもムカつく。
こういう時はアレだ、アレ。
隣の人の肘に当たるのも厭わず、ポケットから、スマホを取り出してデータフォルダを開く。
はぁぁぁ~....‥マジ可愛い、ライ君(豆柴3歳♂)、今帰ってるからね。帰ったら散歩いこうね!!
ボールで遊ぼうね!!
『相模駅ー、相模駅です。河内小山へのお客様は此処でお乗り換えです』
可愛い、寝そべっている写真も! お座りした写真も!
あぁあああ、この待てをしてる凛々しい顔、やばい可愛いよー!!
「やばい、あの人やばいよ」
「うん、やばい。やばすぎ」
へ?こ、声に出してたのか?
俺の周りが妙にざわついてる。
頭を上げて周りを見てみると、俺の前に吊り革につかまった超絶イケメンがいた。
な、なんだ、このイケメン。
格好良すぎてなんか輝いて見えるぞ。
気を緩めば、消えてしまいそうなぐらいな格好良さ。
正しく、浮世離れしたイケメン。
周りがざわつくのも頷ける。
「格好良い......」
隣に座っていた女性がおもむろにスマホを持った手を上げ、フラッシュと共に写真をとった。
それをきっかけに周りの女性達がカメラのフラッシュが焚かれる。
どこか困ったような表情ながらも、あからさまにいやな顔をしないイケメンに俺の胸が何か熱いものを感じる。
な、なんだこの感情......
この、人、なら......ほ、掘られても...いいかも...
無意識に俺の視線がイケメンの顔から下半身へと移り変わっていく。
彼の正面に立っていたからこそ気づけたんだと思う。
俺の視線は、彼のベルトの所で釘付けになった。
だって、彼の着ているポロシャツの右の裾に小さなQRコードが印刷されていたからだ。
デザインなのか......?
イケメンのQRコード......
読み込んでみたい......
いや、でもダメだろ...え、でも......
『次は、亀山駅ー、亀山駅です』
悪いと思いながらも、カメラを起動しQR読み込みモードにして、QRコードにピントを合わせる。
無事に読み込みが始まった。
え、読み込めちゃうの?唯のデザインなだけじゃないのか。
でも、読み込み長いなー。
いつまで読み込んでんだ。
お、お、読み込みが完了した。
お?
画面に集中していたせいか、気づかなかった。
フラッシュもざわつきもないのだ。
そして、彼以外の乗客も。
ハハハ、なんだよこれ......
『裏見駅ー、裏見駅です。ここで終点です』
裏見ってどこだよ....
あたりを見回しても、どこひとつ見覚えのある箇所がない。
イケメンの彼も動かない。
何もかもわかんねぇ、わかんねぇよ。
何処からか、ハウリングが聞こえる。
次第に強くなるハウリング。
そして、彼と目が合った。
彼の黒い瞳が奈落のように思えて、地に足がついていないような感覚に囚われ、目の前が暗くなった。
▷◀▷◀▷◀
『次は相模駅ー、相模駅です。河内小山へのお客様は次で乗り換えです』
ようやく相模か.......
深く座り直す。
はやく家に帰ってゴロゴロしてー
大体、こんなに遅く帰るのもクラスメイトの奴らのせいだ。
何で誰も立候補しねーんだよ。ムカついて学級委員長立候補したじゃん?
けど、誰も保健委員に立候補しないじゃん?決まるまで帰れないじゃん?
俺が立候補した意味は何なんだよ?!
あー、思い出しただけでもムカつく。思い出す? ん?
変な感覚。こういう時はアレだ、アレ。
隣の人の肘に当たるのも厭わず、ポッケトから、スマホを取り出してデータフォルダを開く。
はぁぁぁ~....‥マジ可愛い、ライ君(豆柴3歳♂)、今帰ってるからね。帰ったら散歩いこうね!!
ボールで遊ぼうね!!
『相模駅ー、相模駅です。河内小山へのお客様は此処でお乗り換えです』
可愛い、寝そべっている写真も! お座りした写真も!
あぁあああ、この待ての凛々しい顔、やばい可愛いよー!!
この短時間で2週目なのに飽きてこない!
あれ?2週目?
「やばい、あの人やばいよ」
「うん、やばい。やばすぎ」
へ?こ、声に出してたのか?
俺の周りが妙にざわついてる。
頭を上げて周りを見てみると、俺の前に吊り革につかまった超絶イケメンがいた。
彼の姿を目に捉えた瞬間、大きなハウリングが頭に響く。
強く焦りのような感情と共に、声を張り上げた。
「お、お前!?」
彼は、嬉しそうに口角を吊り上げた。
瞬きした次の瞬間、また乗客が消えた。
『また?』
あ、あ、あ、思い出した。
QRコードに知らない駅。そしてハウリング。
「寝ちゃダメだよ。またやり直すの?」
嬉しそうな声で、彼は言った。
やり直す?何を?
どうして、やり直すの?
「や、やり直すって何だよ!?」
唾を飛び散らしながら叫んだ。
叫ばなきゃ、またやり直す事になる。
やり直す事になる?
やり直すって、相模駅の所から。
「わかってるんでしょ?ほら、はやくスマホの画面見てよ、ほらほら」
促されて思い出す。
QRコードの読み込みが終わったことを。
でも、アレは1回目のだろ?
「はやく」
彼はもう、笑っていなかった。
恐怖を感じ、促されるままスマホを取り出し画面を見る。
そこには、白い背景に、青い文字で入り口のリンクのみがあった。
無意識にそのリンクをタッチしていた、
画面が変わり、黒の背景に赤い文字で登録完了の文字だけがあった。
「契約完了、よろしくね。釈迦院和誠君」
彼の笑いは、浮世離れにも程が有るものだった。
俺の瞼が目を覆い隠す。
次に目を開ければ、いつもの日常。
知りもしない人に囲まれ、電車に揺られていた。
何だよ、夢か...‥気味の悪い夢だ。
悪夢を見てたせいだろうか、背中が汗でびしょぬれになっていた。
スマホがバイブで震える。
メールが来ていた。
差出人は知りもしないメールアドレス。
内容には、
ランダム選択ボーナス
SRアビリティ 最適化
今後とも、世界群管理協会をご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
気味が悪く、ゴミ箱に入れた。
変な夢だったんだよ、アレは。
ライ君に癒されて忘れよう




