表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神奇世界のシグムンド  作者: 上川 勲宜
第6章 L:さようなら
90/112

プロローグ 肉親との決裂

 ――――第6章 あらすじ――――

 季節は夏。なずなとも和解でき、平穏な日常に戻ることができた志具たち。

 学園生活の一学期も無事、乗り越えることができた志具は、女性陣たちと羽を伸ばすために遊びに行くことになった。

 より親密な仲になろうと奮起する者と、それを傍らで見て楽しむ者……。騒々しくも平穏と思える日常に、志具は温かさを感じていたのだが…………。

 父親――(まん)条院(じょういん)源武(げんむ)は、自分にも他人にも厳しい性格だった。


 不義を許さず、それを目にし、気がつけば、父親は容赦なくその人間を粛清していった。自分をひたすらに律し、自制し、感情に左右されない彼の言動は、人を惹きつけもしたし、恐れおののかせもした。


 それは何も仕事のときだけでなく、プライベートな時間のときもそうだった。気が休まらぬ日常に、幼い頃からななせは、父親に反感をもっていた。しかしそれでも、母親――万条院沙耶(さや)により、父親に不必要に逆らわないように言いつけられていた。実際、源武のやり方は人の血の通わない冷徹なものが目立ったが、行っていることは筋が通っており、反論の余地がなかったためだ。


 正しいことをしていることはわかってはいた。……が、あまりにも人情の欠片もなければ、それに反感を覚えてしまうものだ。ましてや子供というものは感情で動く生き物。理性が伴わなければ自制を利かすことなどできず、そういった理性が伴うのは、ある程度歳を重ね、経験を積んでいかねばならない。ただ、経験するだけでなく、そこから何かを学び取る姿勢がなければ、はっきりいって無駄なものだが……。


 父親との交流の時間は、とても少なかった。仕事は基本的に、彼ひとりがこなしていたし、仕事から帰っても、食事のときに数度言葉を交わすだけで終わっていた。その数度の会話というのも、雑談というよりは何かの聴取を受けているような気にさせる、堅苦しいものだった。


 そんなことがずっと続けば、さすがに嫌になってくるというもの。ただでさえ少ない会話が、いつしかゼロになっていたのを、ななせは憶えている。食事の場はただ、栄養を摂取するだけの時間となり、それ以外の時間は、基本的に自分の部屋で過ごしていた。


 そんな彼女を危惧したのか、ある日、母親がななせ専属のメイドを雇うことを、食事の場で父親に提案した。どうやら、そういうツテが、母親にはあったらしい。


 父親は特に反論せず、ただ一言「ああ、いいだろう」と答えただけだった。


 それからしばらくし、ななせのもとに自分と同年齢と思われるお手伝いがやってきた。それが、花月(かづき)菜乃(なの)との出会いだった。


 菜乃との出会いで、冷めついていた日常に色と温度が宿るのを、ななせは感じた。正直、父親に感謝の念を感じた瞬間でもあった。なんだかんだ冷徹な態度をとっていても、自分のことを考えてくれているのだなと、そう思った。


 ただ……そんな父親への思いも、ある日を境に、跡形もなく霧散した。






 父親――万条院源武が、沙耶を殺した、あの日から――――。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ