第三話
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「もう、神様にそんなにつれなくしていると御利益なくなるよ?」
「いーよ、そんなもんいらないから。それより神籤引いて来いよ。そのために受け取ったものだからそこで使っておかないと後が怖いぞ」
え、お守りにとか、持って帰っちゃ駄目なのかな? 神様に会う機会なんて早々ないからラッキーと思ってたのにな。
「駄目だ。ちゃんと使え」
「じゃあ、ルゥの分もあるよ。ルゥも引かないと」
「げ」
にこりとそういった私にルゥの頬がひきつった。予想外だったようだ。
ぐいぐいとルゥの腕を引き、お守りとか売っているところで「お神籤お願いしますー」と、貰ったお金を渡して竹筒を手にした。結構重い。
がらがらがらと筒を振って番号の書いてある棒を一本抜き、ルゥに渡す。隣りでがらがらと同じようにしてるのを横目にお神籤の紙と交換して貰った。
「七三番はこちらです」
「俺は二八番」
二人ともお神籤を受け取ったところで、人混みを少し避けて開封。
「ええっと、何々?」
え? こんなのありなの……?
思わず困惑した。悪い結果ではないけれど、予想外だ。
どうしたものかと隣りを見たら、目にも明らかに落胆している。
あれだけやる気なさそうだったんだから何が出ても気にしなさそうなのに。
ひょこりと、ルゥの手元を覗き込んで、私も絶句。
「……あ、あるんだ、こんなの」
明らかなプリントミスなんだけど「大大凶凶」だ。漫画くらいでしか見たことないよ。
因みに私のもプリントミスだったけど、ルゥとは真逆の「大大吉吉」だった。
「願い事叶わず。待ち人来ず。病治らず。失せもの……」
「それ以上読むな」
うわぁ、落ち込んでるなぁ。
高がお神籤! っていいそうだったのに相当気にしているようだ。
気も小さいんだな。
呆れるというかなんというか、落ち込んでいる本人には申し訳ないけどほっこり微笑ましい気分になってしまう。
「お神籤なんて信じてないんでしょう? そんなに落ち込まなくても良いじゃない」
ほら、貸して。とルゥの手の中からお神籤を抜き取って細長く折る。
んーっと、どこに結ぶようになっているのかなっと、きょろきょろしたら直ぐに沢山のお神籤が結びつけられている木を発見。
私が背伸びしてようやっと届く高いところに、きゅっと結んで……よし、大丈夫。
次は私のも折って、よいしょっと、ルゥのお神籤に絡みつけて、きゅっと結んだ。
「何してんの?」
がっくりとうなだれていたルゥが私の隣りに並び、私の手元をじっと見つめる。
「んー? こうしておけば、大吉とまでは行かなくても二人とも吉くらいにはなるんじゃない? 私の福を分けてあげるから拗ねちゃ駄目だよ」
ま。気分の問題だけどね。
いってルゥの腕をぽんぽんと叩いた。
折角心の広い私が分けてあげるっていってるのに、ルゥからはありがとうのひと声もない。どちらかといえば唖然としている風だ。
しょんぼりされているより良いから、問題ないけどね。
あとは、何をするかなー、お守り買って……。
「―― ……なんかりんりんってさ」
「ん、何?」
ふわりと鼻腔に甘い香りが漂ってきた。
「時々、無自覚で滅茶苦茶可愛いことをす、る……」
「ルゥ! 甘酒あっちで配ってるよ。貰いにいこうよ」
匂いの元を発見した私は、ぐいぐいとルゥの腕を引いて足を進めた。なんか背後でルゥがぶちぶちいってるけど、それは今甘酒より大切なことなのだろうか?
「はい、これルゥの分ね」
紙コップから甘い香りがふわりと昇る。
優しくて落ち着く香りだ。大きく深呼吸してその香りを堪能し、僅かばかりの暖をとってから口を付ける。
独特の甘みが口内に広がり、ごくんっと飲み干すとじんわりと身体が暖かくなる。
「はふー……。甘酒うまー」
紙コップにふぅっと息を吹きかけているルゥに哀愁が漂っている気がする。
どうかしたのかと首を傾げれば、ルゥはちらりと私を見て溜息を重ねる。
まだお神籤のことを引っ張っているんだろうか?
それとも、甘酒は好きじゃなかったのかな?
確かに好き嫌い分かれるよね。お神酒にしておけば良かったかな?
「美味しいね?」
「んー……」
いまいち気のない返事だ。
でも、不平不満も大抵あっさり口にするルゥのことだから、いわないってことは気にしなくて良いってことだよね。そういうことにしよう。面倒臭いから。
「ん、美味しいし、暖かい……あ、そうだ。今年も宜しくね」
にこり。
「ったく、ついでかよ……ま、宜しく」
うん。今年も良い一年になりそうだ。
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あけましておめでとうございます。にはちと遅いですが、今年もよろしくお願いします。
トナカイさんとりんりんさんはとても使いやすいので、出来たら季節行事関係は彼らの話で出来たら良いなぁとか思ってみていたりなんかして。
ということは次は節分ですか? いや、バレンタイン? どちらにしても短いお話で、気まぐれに更新できたら良いなと思っています。
良かったら楽しんでいってやってくださいね^^




