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6、無愛想と打開策


 「どうもラティさん、リエラちゃん」

 「……どうも」


 「あら、いらっしゃい」

 「いらっしゃいませ。エドワードさん、ジークさん」



 来店したのは、銀縁眼鏡と顎髭が特徴的な男性エドワードと藍色髪と中性的な顔立ちの青年ジークだ。二人もこの店の常連客だ。

 

 「リエラちゃん、今日も仕事なんだね。畑仕事をあるのち働き者だね」

 「はい。私仕事するのが好きなんで」

 「ははっ、そりゃすごいな。あ、俺いつものミートプレートね」

 「ありがとうございます。ジークさんもいつものナポリタンセットですね?」

 「……あぁ」


 愛想良く注文するエドワードとは対照的に、ジークは相槌程度の会話しかしない。

 注文を受けたリエラが厨房に戻ると、ホールから若い女の子達の黄色い声が聞こえる。


 「ジークさん、今日もクールで格好いいわ」

 「エドワードさんも大人の雰囲気がたまらないわ」

 「どうにかお近づきできないかな…」


 リエラはここで働いて気づいたが、エドワードとジークは常連の中で一番モテる。

 無口で無愛想だがイケメンな顔立ちのジーク、愛想が良く知的で大人なエドワード。どちらもモテる要素を兼ね備えている。

 

 「ジ、ジークさん。これ読んでください」

 「エドワードさん、これ手作りのクッキーです。良かったら食べてください」


 今もこうして女の子達から手紙やお菓子などプレゼントを良く貰ったりしている。


 「ありがとう。あとでいただくよ」

 

 愛想良く女の子から貰ったプレゼントを受け取るエドワードに対し、


 「…悪いが、そういうのは興味ない」


 冷たい態度で受け取りを拒否するジーク。受け取りを拒否された女の子は残念そうな顔をしていたが、「そういう表情も素敵です」とあっさり前向きになる。



 「ジークさんもエドワードさんも人気ですね」

 「今時の子にはああいう男が刺さるんだろうね……ちなみに、リエラはどっちがタイプなんだい?」


 厨房で話していると、ラティが唐突にリエラに質問した。


 「えっ…タイプ?」

  

 リエラは首を傾げて聞き返した。


 「あんたも年頃の女の子なんだから、一人くらい好きな子とか気になる人とかいるんじゃない?」

 「んー……今はそういう人はいないですね。仕事とかの方が楽しいんで」

 「そうかい?…まぁ、あんたみたいな可愛い子ならすぐに恋人とか出来るだろうね。はい、ミートプレートとナポリタンセット出来たよ」

 「あ、はい!」


 そういうとリエラは出来上がった料理を席に運んだ。









 その日の夜。仕事が終わったリエラは夕食や湯浴みを済ませると、趣味の読書に勤しんでいた。今読んでいるのは、継母や継姉達に虐げられていた主人公が魔法の力でお城の舞踏会で王子様と出会うという物語だ。

 区切りのいい所で読み終わると、ふかふかのベッドにダイブする。


 『好きな子とか気になる人とかいるんじゃない?』


 昼間ラティに言われた言葉が頭の中で再生される。

 リエラは生まれてから一度も誰かを好きになったことがない。婚約者だったロイドも、一方的にリエラを好きになったものだから、誰かを好きになるということを知らずに今日に至るという。



 (……まぁ、考えてもしょうがないか。明日も仕事頑張ろう)


 部屋の明かりを消すと、リエラはそのまま眠りについた…。












 

 「一体どうしたらいいんだ…」

 「どうしたらいいのかしら…」


 一方のガイジェスト家では、ローガスとミラが客間のソファーに座って頭を抱えていた。

 現在ガイジェスト家は最大の危機に瀕していた。リエラが家を出てから、リエラを慕っていた使用人達が次々と辞めてしまい、今屋敷に使用人は一人も居ない。元々経済状況も芳しくなかった上、サエストロ家からの援助も打ち切られてしまい、困窮状況だ。


 「このままでは一家離散しかねない…」

 「リエラが…リエラが家を出なければ……」


 その時、ミラはハッと何か閃いた。


 「リエラを連れ戻しましょう…」

 「リエラを…」

 「そうよ、いくらしっかりしていてもあの子はまだ十四よ。一人で生きていけるわけがないわ。説得すればきっと戻ってきてくれるわ。早速リエラの居場所を探さないと」

 

 そういうと、ミラは一人納得してリエラを捜索するため客間を出た。

 一人残されたローガスは深くため息をつく。


 「…そう簡単に上手く説得出来るわけがない。なんせ……リエラはあのノエルの娘だからな…」


 ローガスはノエルと一緒にいたことを思い出す。


 



 『援助なんて要りません。ちゃんと資金は蓄えておりますので』

 『しかし、朝から晩まで毎日働くのは大変だろ。援助があれば少しは生活が楽になるだろう』

 『私仕事が好きなんです。自分で働いて自分でお金を得ると達成感があって楽しいんです』

 『ノエルは本当に変わった子だ…』


 ノエルは明るく前向きな子だが、その反面頑固で自分が思ったことは絶対に曲げない性格だった。これにはローガスも少々驚かされたが、そんな意思の強いところに惹かれたのもまた事実だ。


 「リエラも…ノエルに似て意思が強いもんな…」




 リエラがガイジェスト家に戻ることはほぼないだろうと、ローガスはまたため息をつくしかなかった…。



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