2 上級生
王立騎士専門学校の生徒は卒業と同時にそのほとんどが王都の街の警備に就く。
学生の時から実習で街中を見回る事もある為、外出時は学校が支給した
学年ごとの色分けされた校章を身につける事が身分証代わりとなっている。
その校章を胸につけた先輩たちが数人で少年三人を取り囲んでいる。
「お前ら剣術の腕も大した事ないのに生意気なんだよ。」
「大した事ないって、中等科の時は実技が無かったからそんな事
分からないだろ!」
「それに生意気って、そっちが肩ぶつけて来たくせに文句
付けてきたんじゃないか!」
「わざとぶつかったて言うのか!」
「こんな広い所でわざとじゃなきゃぶつかんないだろ!」
好奇心の旺盛な地方出身の一年生がもめている上級生に声を掛ける。
「先輩方、こんな人通りの多い所で何してるんすか?」
「なんだ、一年坊主には関係ねえよ。さっさと帰んな」
「関係ないって、同じ騎士学校の生徒として街中で市民に突っかかってるなんて
恥ずかしくって放っておけないすっよ」
「なんだと、お前ら後輩のくせに生意気だぞ!」
なんやかんやと言い合っている所に遅れてきたリアンが合流した。
「おーい、何やってんの?早く帰んないと門限過ぎちゃうぞぉ」
「あっ、リアン。先輩たちが一般人に絡んでて注意しても聞いてくれなくてさぁ」
「えー、絡んでるの?なんで?先輩、駄目ですよ騎士志望の人が
一般市民に絡んじゃあ」
「なんだと!たかが一年が三年相手に何言ってんだよ。
それにこいつ等だって学園の騎士科に通ってるんだよ!」
一人の三年生が威勢よく答えたが近くの同級生に袖を引っ張られ
何やらひそひそ話を始めた。
「お、おい 今”リアン”て言わなかったか?やばいよ。
一年の”リアン”って言ったらあのエイドリアンの妹じゃないのか」
「・・・」
少し離れていた仲間も寄って来た。
「何こちょこちょ話してんの?」
「いや、今確か”リアン”て言ってなかったか?」
「ホントだ。ありゃ確かにエイドリアンの・・・」
「おい お前ら、門限に間に合わなくなるから帰るぞ」
「お おう。罰則食らうのは阿保らしいからな。帰ろうぜ」
さっきまで威勢の良かった上級生たちはひそひそ話の後
そう言い残してぞろぞろと引き上げていく。
「大丈夫だった?まさか怪我とかはさせられてないよね?」
リアンが心配そうに絡まれていた少年三人に声を掛けた。
「言いがかり付けられただけだから・・・君たちこそ一年生で
先輩相手に大丈夫なの?」
「平気平気。あっと、いけない門限に間に合わなくなっちゃう。
じゃあ、気をつけて帰ってくださいね」
「リアン、また罰則食らうといけないから走るぞ~」
「了解!」
リアンたちが走り去っていくのを見送り少年たちが歩き出しながら会話する。
「今の子、可愛かったよな?」
「えっ、可愛かったけど男だろ?」
「えっ、女の子だろ?」
「あんな男前な女の子っている?」
「どうだろ、なあシリル?
どうしたんださっきから通りの方を見たまんまで」
「ああ、女の子だとしたら僕たち一年生の女の子に助けられたのかなって・・・」
「そうか。それもちょっとカッコ悪いな」
「そういえばシリルは昔助けてくれた女の子の事、いまだに思ってるんだよな」
「その話はカッコ悪いから内緒だって!」
「なになに?気になる」
「内緒だよ!そのうち気が向いたら教えるよ」
「どうせ気が向かないんだろ?」
「多分ね」




