影を読む遊び
朝、橋の影はすでに細く動いていた。
昨日よりも速い。
イルロはその動きを見ながら、
木片を手に取る。
「……今日は、
少し先を見てみますか」
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見回り役のノルが橋を渡る。
「先?」
「影が来る場所です」
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オルナが畑から戻る。
「まだ来ていない影か」
グラドが川を見ながら言う。
「当てるのか」
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ユルンが笑う。
「それは面白いな」
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イルロは橋の下の地面に、
いくつか印を置く。
「ここ、ここ、ここ」
まだ日が当たっている場所。
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イセラが布を持って近づく。
「影が来る場所?」
「ええ」
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午前中、
それぞれがその印を気にする。
「ここまで来るか」
「いや、もっと奥だ」
「今日は光が強い」
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子どもたちが集まる。
「当てる!」
「ここだ!」
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昼前、
影がゆっくり伸びてくる。
最初の印に触れる。
「来た!」
子どもたちが声を上げる。
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少しずつ、
影が進む。
次の印に近づく。
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ユルンが言う。
「こっちは外れだな」
オルナが笑う。
「今日は違う」
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影が進み、
二つ目の印に触れる。
「当たった!」
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グラドが頷く。
「水と同じだ。
予想できる」
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昼、
影はすべての印を通り過ぎる。
当たったものも、
外れたものもある。
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ノルが言う。
「面白いな」
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午後、
影は長くなり、
もう印を越えている。
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夕方、橋の上。
子どもたちが話している。
「明日はここ!」
「もっと先だ!」
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ユルンが笑う。
「遊びになったな」
オルナが頷く。
「読むようになった」
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イセラが言う。
「見ているだけより、
分かる」
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イルロは橋の影を見ながら呟く。
「……動くものは、
予想すると面白くなりますね」
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セレン村の初夏は、
暑さの中に、
小さな遊びを生み出していた。
影を追うだけではなく、
影を読む。
それだけで、
昼の時間が少し軽くなる。
明日もまた、
誰かが印を置くだろう。
そして、
誰かが当てる。
それで十分だった。




