表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人の日々  作者: 昼の月
405/415

影を読む遊び

朝、橋の影はすでに細く動いていた。


昨日よりも速い。


イルロはその動きを見ながら、

木片を手に取る。


「……今日は、

 少し先を見てみますか」


*****


見回り役のノルが橋を渡る。


「先?」


「影が来る場所です」


*****


オルナが畑から戻る。


「まだ来ていない影か」


グラドが川を見ながら言う。


「当てるのか」


*****


ユルンが笑う。


「それは面白いな」


*****


イルロは橋の下の地面に、

いくつか印を置く。


「ここ、ここ、ここ」


まだ日が当たっている場所。


*****


イセラが布を持って近づく。


「影が来る場所?」


「ええ」


*****


午前中、

それぞれがその印を気にする。


「ここまで来るか」

「いや、もっと奥だ」

「今日は光が強い」


*****


子どもたちが集まる。


「当てる!」

「ここだ!」


*****


昼前、

影がゆっくり伸びてくる。


最初の印に触れる。


「来た!」

子どもたちが声を上げる。


*****


少しずつ、

影が進む。


次の印に近づく。


*****


ユルンが言う。


「こっちは外れだな」


オルナが笑う。


「今日は違う」


*****


影が進み、

二つ目の印に触れる。


「当たった!」


*****


グラドが頷く。


「水と同じだ。

 予想できる」


*****


昼、

影はすべての印を通り過ぎる。


当たったものも、

外れたものもある。


*****


ノルが言う。


「面白いな」


*****


午後、

影は長くなり、

もう印を越えている。


*****


夕方、橋の上。


子どもたちが話している。


「明日はここ!」

「もっと先だ!」


*****


ユルンが笑う。


「遊びになったな」


オルナが頷く。


「読むようになった」


*****


イセラが言う。


「見ているだけより、

 分かる」


*****


イルロは橋の影を見ながら呟く。


「……動くものは、

 予想すると面白くなりますね」


*****


セレン村の初夏は、

暑さの中に、

小さな遊びを生み出していた。


影を追うだけではなく、

影を読む。


それだけで、

昼の時間が少し軽くなる。


明日もまた、

誰かが印を置くだろう。


そして、

誰かが当てる。


それで十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ