落ち葉集め
秋の風がセレン村の小道をさらさらと吹き抜け、色づいた葉を集めては地面に踊らせていた。
広場の隅では子どもたちが競うように落ち葉をかき集め、大人たちは籠を手に笑い合っていた。
「イルロさん、ちょっと手を貸して!」
呼びかけてきたのはパン屋のサラだった。
彼女の籠はすぐに一杯になり、重さに腕が震えている。
「これじゃ運ぶ前に腕が外れそうだわ」
イルロは近くの枝を拾い、さっと紐を渡して即席の担ぎ棒を作った。
「二人で持てば軽くなります」
サラと一緒に担ぐと、落ち葉は広場の端まであっという間に運ばれた。
そこで待っていたのは、粉ひき小屋のユルドと、養鶏のグレンだった。
「助かったぞ。落ち葉は鶏小屋の敷きにもなるし、粉袋の緩衝材にもなるんだ」
ユルドが笑えば、グレンも頷く。
「焼き芋だってできるさ。子どもらの楽しみだろう」
子どもたちは耳ざとく聞きつけて、「焼き芋!」「やるやる!」と声を上げた。
落ち葉の山の前で、手を取り合って跳ね回る。
サラは肩で息をしながら、イルロに囁くように言った。
「こうして集めるのも、祭りみたいね。……一人じゃ重くて嫌になるのに」
イルロは笑みを浮かべた。
「道具も人も、支え合えば軽くなるものです」
夕暮れには広場に大きな落ち葉の山ができ、子どもたちの歓声と、大人たちの笑い声が重なった。
――秋は村に、静かな実りと温かな騒ぎをもたらしていた。