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ツンデレ幼馴染とのラプソディー

「ね、ねえ。あんた、この日曜日、暇?」


声をかけてきたのは、僕の幼馴染、鈴木麻衣。

彼女は赤い色のツインテールを揺らし、顔を真っ赤にして、そう誘ってくる。

僕、小林淳は、少し狼狽する。

だって、いきなりの誘いに、どうしたらいいのかわからないのだ。

だって、いつも、僕に辛辣な言葉をくれる麻衣が、顔を真っ赤にして、僕を誘っているのだ。

きっと、これは予行演習みたいなものなのだろう。


……好きな人とデートするための準備のようなもの。


なので、僕は日程を確認してから、こう答える。


「え、えっと、とくにないけど?」

「そ、そう。じゃあ、さあ。日曜日の午前 10 時に映画見に行かない?」

「映画?」

「そ、そう。最近話題になっている、夏のあなたへ、よ」 麻衣はそう言いながら、チケットを僕に見せる。


それは、映画のペアチケット。普段の値段よりも安価なチケットでもあるのだ。

そして、上映している映画は話題のラブロマンスの映画。

この夏にぴったりな映画なのだ。


「いいけど、麻衣はいいの? 僕と映画を見るなんて」

「そ、それを決めるのは、あたしよ。あ、あんたじゃないわ」


 ……どうも、怒られてしまった。

  まあ、きっと、愛がこもっていない映画鑑賞になるのだけれど、一人で見るよりも、二人で見た方が楽しい理論は理解できる。

  なので、僕はその誘いに乗ったのだ。


「わかった。一緒に見に行こう」

「べ、別に、あんたのためじゃないからね?」


  と、麻衣はそうどこか、怒な口調で杭を刺すのだった。

 ……あんたのためじゃない、ということは、自分のためなのだろう。

 そして、やってきた、日曜日の午前 9 時半。

 僕が映画館の前に立ち、待っていると、彼女はやってくる。


「お、おまたせ」


  そう、彼女は淡色のフリルのワンピースと、綺麗な白い帽子を頭につける。それは、どう見ても気合が入っているような格好でもあった。

でも、これはデートじゃない。

なので、僕は彼女の格好を褒めることにする。「うん、似合っているんじゃないかな。かわいいよ」


「か、かわいい!?」


 と、麻衣はどこか顔を真っ赤になるのだ。 ……しまった、怒らせてしまったのかな。

 ここは、普通だったよ、が正解だったのかもしれない。


「じゃ、じゃあ。ポップコーンを買いに行くわよ」

「あ、うん」


  麻衣は顔を真っ赤にしたまま、ポップコーン売り場へと向かっていく。

それに僕も同行するのだった。


「いらっしゃいませ。なにかご注文でしょうか?」


  店員の愛想がある接客に、僕はメニューを眺める。

 そして、決められると、そのメニューを口にする。


「塩ポップコーン1つ」

「キャラメルポップコーン1つ」


  と、僕と麻衣の声が重なった。

 ……いま、麻衣はなにを注文した? キャラメルポップコーン?


「麻衣、2 つは食べられないよ」

「淳こそ、味気がない塩ポップコーンはいらないわよ」

「ちょっと待って、キャラメルポップコーンが美味しいっていうの?」

「そうよ。塩よりは美味しいわよ。あんな味気のない味が好きなんて、貧弱男子が食べるものよ」

「そんなことないよ! 塩味もちゃんとしているポップコーンだよ」

「キャラメルの方が断然に美味しいわよ」

「なにを!」「なによ!」


チリチリチリと、僕と麻衣は口論になる。


……いつもそうだ。僕と麻衣はこんなことで喧嘩してしまうのだ。些細の違いで、僕達はすぐに喧嘩になる。


なんで、僕は麻衣とデートしているのだっけ?


「あの〜お客様」

「「なんですか?」」


喧嘩中の僕達に仲裁をする店員は顔を引きずらせると、弱々しい提案をする。


「半分することができますが、どうしますか?」

「「あ」」


と、僕達は同時に声を上げるのだった。

まさか、半分ずつという発想はなかったのだ。 俺はなんだか、さっき喧嘩したのが恥ずかしくなり、顔に熱が灯り、店員に注文する。


「じゃ、じゃあ。それでお願いします」

「か、かしこまりました。すぐにご用意いたします」


  店員はすぐにポップコーンを用意した。

 会計を済まして、僕達はさっさと、その場から退場する。

 なぜならば、人の目線が痛いのだ。

 みんな、僕達を観物みたいに、からからと笑っていたのだ。


「なあ、麻衣」

「な、なによ。淳」

「もう、喧嘩をするのはやめよう」

「そ、そうね。なんだか、恥ずかしかったわ」


 そういうと、ブザーが鳴り響く。

 映画館が開いたのだ。

 僕達はさっさと案内された映画館へと入っていくのだ。

 なにせ、僕達は恥ずかしく感じた。

 ポップコーンの味で喧嘩する高校生は、みっともないのだ。


「ほら……」


 映画館の中に入ると、麻衣は手を出す。

 俺というと、その手の意味を知らず、ただキョトンとしていたのだ。


「その手はなに?」

「手を繋いでもいいってことよ。バカ」


 そう、言うと顔を赤くする麻衣であった。

 そうだ。なんで、俺はこんな容易い事を忘れているのだろうか。

 俺達はどんなに喧嘩をしても、最終的には仲良しになるのだ。

 だから、俺達は腐れ縁のように、昔から仲良くできたのだ。


「そうだね。手をつなごう」


 なので、俺は彼女の手を繋いで映画を鑑賞するのだった。

 内容は頭に入ってくるような簡単なラブストーリーだった。

 でも、それより、俺達の絆は増しいていくのを感じたのだ。

 



はじめまして。

ウイング神風です。

始めて小説家になろうに投稿してみました。

作品が気に入ってもらえれば幸いです。

私自身、哲学が大好きな変態紳士なので、異論は認めます。

人々に楽しさを与えるような作品を執筆したいと思っていますので、

ごゆっくり精読していってください。

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