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ヘンリー・ヴィンベリー2

この話に出て来る医療の知識は、あくまで異世界のものです。皆様は、現実の医療の常識に従って行動して下さい。

あと、医師など医療従事者のいう事に従って下さい。

 ある日、ヘンリーとマーガレットはユージンの執務室に呼ばれた。執務室がアダムを入れた四人だけになると、ユージンはいきなり言った。

「アダムの命が狙われている」

「そうか……もしかしたらとは思っていたが……」

 ヘンリーが、唇を噛み締めて言った。


 アダムの命が狙われる理由に心当たりはある。現王は今病に臥せっていて、命は長くないと言われている。現王が亡くなれば、次はユージンが王となるだろう。

 高位貴族の中には、王を傀儡として自分の思うように政治を動かしたいと思う連中もいる。しかし、ユージンは優秀で部下にも恵まれているので、それは無理そうだ。

 ならばその次の世代、ユージンの子が王になったら傀儡にしよう。幸いにも当時五歳のセオドアは元気に育っている。

 しかし、そんな高位貴族の思惑もアダムの魔力の件で外れる可能性が出てきた。アダムの魔力が強ければ、ユージンの次にアダムが王位を継ぐ可能性もある。そうなると、傀儡にしたくても傀儡に出来る役職に就けない可能性が高い。ならばいっそアダムを亡き者にしてしまおうという事だ。


「アダムのミルクに異物が入っていたのも、ボヤ騒ぎも故意だと分かった。犯人は捕まっているが、雇った黒幕が分らない。これからもアダムの命は狙われるだろう。……そこで、お前達に提案がある」

 ユージンの言葉に、ヘンリーとマーガレットは息を飲む。

「……アダムが死んだ事にして、孤児院に預ける」

「なっ……!!」

 ヘンリーが目を見開いた。

「酷な事を言っているのは分かっている。しかし、孤児院に預ければアダムの命が危険に晒される可能性は低くなるんだ」

 ユージンの言葉を聞いて、ヘンリーはしばらく苦しそうな表情をしていたが、やがて顔を上げて言った。

「……わかった。アダムを孤児院に預けよう」

 そんなヘンリーの隣で、マーガレットが静かに涙を流していた。


 それから数日後、ヘンリーとマーガレットは孤児院に行き、事情を話した上でアダムを預けた。当時の園長には、「アーロン・ヒューズ」という名前で育ててくれるよう頼んだ。二人が好きな作家から取った名前だった。


 そしてその一年後、急な病でヘンリーは亡くなった。その三年後、マーガレットも流行り病で亡くなった。

 ユージンは、アダムが生きている事を一生明らかにしないつもりだったので、二人がどこの孤児院にアダムを預けたのかも聞かなかった。しかし、ステイシーも参加したあのお茶会の日、ティナ・オリバーがアーロンと会ってしまった。彼女はアーロンがアダムではないかと考え、ユージンを問い質した。

 

 ユージンは、仕方なくヘンリー達がアダムを孤児院に預けた事を話した。ティナは死んだと思っていたアダムが生きていた事に驚いていたが、アーロンに真実を話すべきだと主張した。

 確かに、今は昔と情勢が違い、アダムが生きていると分かっても命が狙われる事は無いだろう。

 こうして、ユージンはアーロンに真実を話す為、彼が本当にアダムなのか部下に探らせる事にした。


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