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在宅医療2

この話に出て来る医療の知識は、あくまで異世界のものです。皆様は、現実の医療の常識に従って行動して下さい。

あと、医師など医療従事者のいう事に従って下さい。

「お義父さーん、薬局の方が薬を届けにいらっしゃいましたよー」

 アデラはドアの鍵を開けると、大きな声を掛けながら家の中に入っていった。ステイシー達も後に続く。

 家の奥にある部屋のドアをノックしてアデラが入ると、そこには一人の男性がいた。ベッドに横たわっている白髪交じりの茶色い髪の男性。彼がブルーノ・クロークなのだろう。事前に聞いていた話では五十歳との事だったが、病気のせいかもっと年配に見える。


「……ああ、アデラ、よく来てくれたね。薬局の方も、わざわざありがとうございます」

 ブルーノは、何とか上半身を起こして言った。寝たきりに近い状態ではあるが、会話は支障なく出来るらしい。

「こんにちは、ブルーノさん。『薬屋カヴァナー』で薬剤師として働いております、ステイシー・オールストンと申します。こちらは助手のアーロン・ヒューズ。よろしくお願い致します」

 ステイシーがそう言って頭を下げると、アーロンも続けて頭を下げた。


「薬を届けてくれてありがとう。……今回の薬は、いつもと同じ薬だったかな?」

「はい、以前から飲んでいたのと同じ薬ですね」

 前もって処方箋の写しを貰っていたので、それは確認してある。

「何か薬の事で困っている事はありませんか?」

「ああ……そう言えば、最近錠剤が飲み辛くなってね。一つ質問したいんだが、私が飲んでいる薬は、潰して飲んだり噛んで飲んだりしても良いのかな?」

 ステイシーは、少しの間持って来た薬を確認していたが、やがて口を開いた。

「……この薬の中に一種類、潰して飲んだら効果が弱まってしまうものがあります。飲み辛いのでしたら、同じような効果のある別の粉薬に変える必要がありますね……」

「そうかい……今はまだ何とか潰さず飲めるが、次回医師が往診に来たら、相談してみよう」

「その方が良いと思います」


 そこで、アーロンが口を挟んだ。

「あの、お嬢様、何故潰して飲むと効果が弱まってしまうのですか?」

「この薬は、胃で溶けずに腸で溶ける事で効果を発揮するように作られているの。潰してしまったら、薬が胃で溶けて分解されるから、効果が十分に現れないわ」

「そうなんですね……勉強になります」

 アーロンは頷くと、持って来た手帳にメモをした。


 しばらくして薬の説明や体調の確認が終わると、ステイシーは椅子から立ち上がった。

「それでは、私達はそろそろ失礼致します。また気になる事が出て来ましたらご相談ください」

「ありがとう、薬剤師さん達」

 ブルーノは、穏やかな笑顔で礼を言った。


 薬局に帰ると、アーロンは言った。

「今日は……いえ、今日も勉強になりました。……思ったんですが、ブルーノさんの他にも薬を取りに行けなくて困っている方が沢山いるんじゃないでしょうか」

「そうね。うちの薬局はスタッフが三人しかいないから出来る事には限りがあるけど、今後も今回みたいな相談を受けたら、薬を届けてあげたいわね」

 ステイシーは、優しい笑顔で応えた。


 ステイシー達がブルーノの家を訪ねている頃、エイミスはある貴族が開いたパーティーに参加していた。以前から懇意にしている貴族と話が弾む。

「エイミスさんの薬局、経営が順調のようですね」

「いえいえ、患者が他の薬局に流れているので、決してそうとも言えないんですよ

「ほう。どんな薬局に患者が流れているんですか?」

「最近評判の『薬屋カヴァナー』という薬局なんですが……」

「薬屋カヴァナー?」

 貴族は、少し眉根を寄せた。それに気付いたエイミスは、すかさず問い掛ける。

「『薬屋カヴァナー』がどうかなさいましたか?」

「ああ、いや。もしかしたら私の記憶違いかもしれないんですが……」

 その後の貴族の言葉を聞いて、エイミスは一瞬目を見開いた。そして、口角をゆっくりと上げると言った。

「その話、詳しく聞かせて頂けませんか?」


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