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お薬相談会1

この話に出て来る医療の知識は、あくまで異世界のものです。皆様は、現実の医療の常識に従って行動して下さい。

あと、医師など医療従事者のいう事に従って下さい。

「皆様、本日はお忙しい中お集まり頂き、ありがとうございます」

 柔らかな日差しが降り注ぐ王城の庭で、ステイシーは深々と頭を下げた。目の前では、貴族の男女が二十人程ステイシーを見つめている。

 何故こんな事になったかというと、話は数日前に遡る。


「え、薬の相談会ですか?」

 いつものように薬局で仕事をしていたステイシーは、目を見開いた。

「うん、お願いできないかな?」

 薬局を訪れていたセオドアが、笑みを浮かべて聞いた。


 セオドアの話によると、以前ステイシー達が出会ったティナ・オリバーから、セオドア経由でステイシーに依頼があったらしい。

 なんでも、ティナと交流のある貴族の中に、薬の飲み忘れのある方や薬の副作用を心配している方が複数人いるとか。


「それで、ステイシーに薬についてアドバイスしてもらえないかと思って。場所は王城の庭。二十人前後の貴族を招いて相談会を開催したいと思うんだけど」

 薬について人々に知ってもらう事は、人々の健康に繋がる。ステイシーにとって、願っても無い申し出だ。

「あの、先生、相談会に参加させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 最近、ステイシーは薬局を空ける事が多い。外出するのは薬についての相談に応じる為だが、それでも留守番をするマージョリーには負担になる。なにしろ、薬局にはスタッフが三人しかいないのだ。


「行っておいで。あんたは何の為に薬剤師になったんだい?」

 ステイシーは、ハッとした顔になると、しっかりとした声で言った。

「はい、行ってきます!留守をよろしくお願い致します」


 そして現在。ステイシーは王城の庭にいた。ステイシーを含め、貴族達は一つの大きな円卓を囲んでいる。ステイシーの左隣にはセオドアが座っていた。

「それでは、お薬の相談会を始めさせて頂きます。初めは……」

「初めは私ね」

 ステイシーの向かいに座るご婦人が口を開いた。確か、彼女はハントリー侯爵夫人。ステイシーが貴族だった時に夜会で見かけた事がある。

 ハントリー夫人は、ステイシーの側にある空いている椅子に座ると、扇子で口元を隠しながら小さな声で言った。


「私、医師から貧血と言われていて、鉄分の薬を飲んでいるのですが、薬を飲み始めてから、その……排泄物が……黒くなるのです。これは、薬の副作用なのでしょうか?」

 鉄剤を飲むと便が黒くなる事があるのは、前世では薬剤師の常識だったが、この世界では知られていないのかもしれない。

 ステイシーが、副作用では無いので心配いらない旨を伝えると、ハントリー夫人はホッとした顔をした。もちろん、明らかに出血していたり便が異常に細長かったりしたら、病気を疑った方が良いと思うが。


 その後も、貴族の方々から色々な相談があり、ステイシーはその一つ一つに丁寧に答えて言った。

 しばらくすると、ステイシーは参加者達に向かって言った。

「実は、今日は薬の相談に応じるだけではなく、食生活についてアドバイスできないかと思って、小さなパンフレットを作ってきたんです。よろしければ、お屋敷に戻った後お読み下さい」


 ステイシーは、小さな冊子を参加者達に配り始めた。全員に配り終わった後、パラパラと冊子を捲っていたハントリー夫人が口を開いた。

「このパンフレットには、お肉を使用する際、揚げるのではなく焼く調理法にするだけでも脂質の摂取を抑えられるとありますけれど、どうせならお肉を食べるのをやめた方が脂質を抑えられるのではなくて?」


 ステイシーは、にこやかな表情をハントリー夫人に向けて答えた。

「確かに、お肉の摂取をやめればカロリーは抑えられるでしょう。でも、体内に備わっている脂肪を燃やす働きを促すには、お肉も必要なんです。要は、バランスが大事なんです。お肉も野菜もその他の食材も、バランス良く摂りましょう。それに、生活改善の取り組みは毎日続ける事が重要です。健康の為だといっておいしくない料理を食べ続けていたら挫折してしまいます。ご自身が毎日続けられるような取り組みをしましょう」

「成程……」

 ハントリー夫人がうんうんと頷いた。


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