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セオドアの想い3(セオドア視点)

この話に出て来る医療の知識は、あくまで異世界のものです。皆様は、現実の医療の常識に従って行動して下さい。

あと、医師など医療従事者のいう事に従って下さい。

 その数日後、昼休みにセオドアが学園に併設されているカフェテリアにいると、近くから大きな声が聞こえた。

「どういう事ですか、ネイト様!私という婚約者がいながらアニタ様と二人きりで街に出掛けるなど……」

 見ると、先日ステイシーに苦言を呈していたヴィオラが、側にいる男子生徒に詰め寄っている。詰め寄られている栗色の髪の男性生徒に見覚えがあった。確か、ヴィオラの婚約者で、名はネイト・コールリッジといったか。


「ちょっと待ってくれ、ヴィオラ。アニタ嬢には街にある店を案内してもらっただけで、デートしていたわけじゃない!」

「でも、馬車で未婚の男女が二人きりなんて、醜聞が広まってもおかしくありませんわ!ご自分の立場を考えて下さいませ!」

 タジタジになりながら話を聞いていたネイトだが、一瞬黙った後、もう我慢できないといった様子で話し出した。

「もううんざりなんだよ!立場だの婚約者だのギャアギャアと。……息が詰まる。アニタは、ありのままの僕で良いと言ってくれる。無理をしなくて良いと言ってくれる。君もそういう風に言えないのかな。第一、君はどうなんだ?締まりのない身体をして。美しくなる努力や僕を繋ぎ止める努力をしているのか?自分の事を棚に上げて僕を責めるのはやめろ!」


 セオドアは、眉を顰めた。確かにヴィオラはスリムな体型ではないが、いくら何でも失礼過ぎるだろう。ヴィオラは、拳を握り締めてブルブルと震えている。

「もう僕に説教しないでくれ!」

 そう言うと、ネイトはカフェテリアを去って行った。周りにいる生徒達がザワザワと騒いでいる。ふとセオドアが見ると、野次馬の中にステイシーの姿があった。彼女は、ヴィオラの側にあるテーブルをじっと見ている。よく見ると、テーブルの上には、ヴィオラが持って来たらしい薬の瓶が置かれていた。


 それから約三か月が経ち、もうすぐセオドアやヴィオラ達が卒業する時期となった。セオドアが放課後教室を出ると、隣の教室から声が聞こえた。

「どういう事だ、ヴィオラ!卒業パーティーで僕と踊らないって!?」

 少し開いた扉から覗くと、ヴィオラとネイトが向かい合っていた。数人の生徒が遠巻きに二人を見ている。

「どうもこうも、何故私が私の事を尊重して下さらない殿方と踊らなければいけないのですか?ネイト様、アニタ様と二人きりで出かけたばかりか、私の事を締まりのない身体とおっしゃいましたよね?」

 確かに、そう言っていた。しかし、セオドアが見たところ、ヴィオラは三か月前より明らかにスリムになっている。

「で……でも、君が痩せたのは、僕の好みになろうとしてくれたからじゃないのか?」

 ネイトは、焦りながら聞いた。

「違いますわ。私が以前太っていたのは、飲んでいる薬の副作用のせいだったのです」

「薬……?君が病気だなんて聞いていないぞ!」

「一年前にお伝えしましたわ。病気があって一か月に一度は通院しなければいけないから、その日はお会いできないと。……まあ、お伝えした時、ネイト様は遊びの予定を確認する事で頭がいっぱいだったかもしれませんが」

 それを聞いて、ネイトは顔をサッと青くした。心当たりがあったのだろう。


「……な、なあ、ヴィオラ。まさか、婚約まで解消するとか言わないよな……?」

「あら、今まで私を蔑ろにしておいて、今更婚約を続けたいのですか?……実は、ある侯爵家の令息からアプローチを受けているのです。私達公爵家より一つ格下ですが、賢くて誠実で、素敵な方です。両親も、私さえよければ婚約解消に向けて動いて下さると言ってくれています。そういう事なので、あなたとの婚約は解消させて頂きます」

「そんな、僕の家は君の家から援助してもらっているのに、いきなり困るよ!」

「そんな事知りませんわ」

 そう言って、ヴィオラは教室を出て行った。残されたネイトは、がっくりと膝に膝を突いていた。


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