プロローグ
私達は18歳のごく普通の高校生。
のハズだったのに…
私は花音そして双子の妹の詩音
いつも通り学校に行って授業を聞きそして家に帰る。
普通の日常だった
「ただいま…」
誰にも聞こえないようにひっそりとした声で挨拶をして直ぐに部屋に直行しようとした時だった。
リビングから甲高く苦手な声がキーンとひびく
今日もお母さんはご機嫌斜めみたい
どうやら今日も私達が帰ってきた事に怒っているみたい
体の節々が痛い…
疲れた体に鞭を打っていつも談笑する公園へ向かった。ああもうホント嫌になるよ
詩音が心配して声を掛けてくれてるけれど
何を言っているか分からないくらい頭がズキズキとする。
お父さんが居なくなってからどんどんとお母さんの暴力が悪化している気がする。
私達が幼い頃はまだ良かった。
少しヒステリックだけど私たちを愛してくれる母そして何があっても味方だった父
ずっとその幸せが続くと思ってた。
あの時の事は今でも夢に出てくるしずっと忘れられない
ある日の夜
父と母が声を荒らげて深夜まで喧嘩をしていた。
朝になると家中はもので散乱していてその真ん中で座り込んでいる母親
そして私たちを見た瞬間
「あなた達さえいなければ…」
その日はきっと大人になっても忘れられないだろう
そう言って泣き出しこのざまよ
いつでもボロボロの私達はどうせ厄介事を持ってくるだろうと思われ味方になってくれる人なんかいない
だから誰かに助けを求めるなんてきっと迷惑だろう。大人になるまでの我慢だ
あと二年したら2人でどこか遠いところに行き平和に暮らしたい
「もし生まれ変われたらーー」
そんなどうしようも無くくだらない現実逃避をしていつも通り今日もお母さんが落ち着く頃に帰ろう
「ほんとに生まれ変わりたいな」
家に帰っても予想外に母はまだ起きていた
絶対に怒っている…怒っているのになんだか静かで恐ろしい
とにかくこの場から早く逃げたい。
その一心で震えながら声を出す
「ただいま…」
本日2度目の挨拶をして詩音を連れ出そうとした時。
「もうこれ以上苦しめないでよ」
そんな事を叫びながら
虚ろな目をした母が
包丁を持ち玄関に来た
ん?包丁?
「あんたらがいなければ私は今でもあの人と一緒にいられたのに」
急な出来事に対応しきれず後ろで手を繋いでいた妹が刺された。
2度目の衝撃的な出来事に私は何も言えなかった。
どうすればいい?
そんなの自分が1番分かりきってる。
今すぐ家を飛び出して警察なりなんなりに駆け込んでこの事態をなんとかしてくれる大人を頼ることだろう
でも出来なかった。
「おねえちゃん今すぐ逃げて」
そう言われても私はどうしてもその場から動けなかった。
「どうしてお母さん…」
正気じゃない人にそんなことを言ってもどうせ無駄だ。殺されないためにも早く逃げるべきだと心では分かっているのに体が言う事を聞いてくれない。もう終わりなんだ
もう無理だ
どう足掻いてもこの状況から逃げられない
ましてや手負いの妹を連れて逃げるなんて無理だろう。
もし私があの時直ぐに家を飛び出していたら何か変わっていたのだろうか。
タラレバを繰り返した結果
もう無理だ
諦めよう逃げられないという結論に至った
神様今世は頑張ったので次の人生があるとするならとびきり幸せなものにしてください
そう思い目を瞑った