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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第二区画

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85.自動翻訳の本領発揮 ※一部第三者視点

 俺は目の前の出来事に驚いていた。高級そうなスーツに身を包み、みんなの注目を浴びてきたような人物の中身がこんなに糞だとは思わなかった。


「それは俺に言ってますか?」


 俺はつい言葉に出してしまった。目の前にいる男性は一瞬驚いていたが、次第に驚きより興味深そうな顔をしている。


「ははは、君は面白いね」


「そんなことを言われた俺達は全く面白くないですよ」


 それにしても隣にいる部長や桃乃、他の役職が付いているような他部署の面々も驚いている。


 流石にこの口調がいけなかったのだろうか。


「君の名前はなんて言うんだ?」


「奴隷の名前に興味があるんですね」


 社長に対して言ってはいけないと思うが、腹の虫が治らない。急に自分達のことを奴隷と言われたら、誰だって黙ってはいられないはずだ。


「ははは、君は今日から奴隷からの昇格だな」


「いいから名前を教えなさい」


 後ろで黙っていた女性が声をかけてきた。


「服部くん名前を言いなさい」


 隣にいる部長から叩かれると仕方なく名乗った。


「総務課の服部慧です」


「君みたいな子が総務課なんか……日本支部もまだまだだな。名前を覚えておくよ」


 そう言って社長はエレベーターに乗って行った。


 なぜか隣にいた女性は睨んでいたが知ったことではない。もうこの会社で働きたくないと体が思ってしまった。


 二人が去って行くと、俺の周りに人が集まってきた。


「服部くん! 社長が話していた言葉がわかるのか?」


「いや、わかるも何もあれって日本語――」


 俺は日本語だと言おうと思ったが、何かが引っ掛かった。初めは社長が話しかけてきたことに驚いていたと思ったが、あの場合隣にいた糞野郎が反応したはずだ。


「いつもあの通訳の人を返して社長に伝えられるんだが、どうやら英語とか一般的に知られている言語ではないんだよね」


 どうやら社長は何語かわからない言葉を使い、女性は英語で話しかけてきていたらしい。


 消滅危機言語と呼ばれる先住民が話していた言葉を使っているんではないかとも言われている。


 なぜその言葉がわかるのか俺も疑問だが、俺からしたら全て日本語に聞こえていた。むしろ、英語も日本語に聞こえていた。


「ははは、最近勉強した言語に似てたからかもしれないですね! 部長、はやく戻らないと仕事が溜まってますよ」


「ああ」


 俺は急いでその場を離れた。これ以上、根掘り葉掘り聞かれても困る。


 それにしても後ろからついてくる部長の視線が痛い。オーラも以前と同様に黒色に戻っていた。


「そういえば、先輩もあの言語を話してましたよ?」


「えっ!?」


 桃乃が言うには社長と俺は謎の言語を話し、通訳のもう一人が英語で名前を名乗れと言ったことで、部長が反応して名乗るように声をかけたらしい。


「それもスキルの影響なんですかね?」


「普段から日本語しか聞いてないし、話していないから俺としては日本語を話している感覚だったぞ?」


 俺の中では普段通り会話している感覚だった。普通に日本語で返したつもりが、勝手に別の言語になっていたらしい。


 ETFの通信サービスセクターの影響により自動翻訳を手に入れたが、そこまで何か影響があったとは思っていなかったが、その時から変化はあったのだろう。


 もしくは神癒慈悲大天使(ラミエル)を手に入れてから、本領発揮したのかは今となってはわからない。


「それにしてもなんでも翻訳できて話せたら、本当にここで働く意味ないですよね?」


「ああ、俺もそう思うよ」


 桃乃の言うとおりだ。今回の発言も含め、俺の能力は既に便利の域を超えてきている。この能力を使えば、様々な通訳が必要な場面で引っ張りだこになるだろう。


 転職活動する時間も昔より今は改善されているからこそ、ここが転職するタイミングなんだろうか。


 後ろで睨んでくるやつも、俺がいなくなった後に苦労すればいい。


 俺はそんなことを思いながらオフィスに戻った。





 社長達はエレベーター内で話をしていた。昔からの幼馴染だが今は社長と秘書という関係で働いている。


「社長どうされましたか?」


「ああ、あいつ面白かったなーって」


 男は何かを思い出してくすくすと笑っていた。


「先程のミスター服部ですか? 社長に対してあの言葉使いはどうかと思いますが……」


「それでも俺達の会話を理解できる存在が、この日本にいるとはね?」


「確かにそうですが社長も言葉遣いをどうにかしてくださいよ? 奴隷だと思ってもいいですが、それだとこれまで増えてきた社員が減ります」


「ははは、それは気をつけないとな」


「わかってもらえたら大丈夫です。そういえば、探していた異世界ゲートですが、民間の自宅にあったようですがどうしますか?」


「そんなもの敷地内丸ごと買い取れば良いだろう。それ以上能力が増えるから問題ない」


「わかりました。そのように手配しておきます」


「ああ、助かるよ」


 到着を告げるベルの音と共に社長達はエレベーターから降りた。


 この時はまだ異世界ゲートと呼ばれる存在が、何のためにできたのかは誰も知る由もなかった。

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