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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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79.希望の種

 俺が唱えた植物成長(グロウアップ)は回りの景色を一瞬で変えた。湖の周りだけはほぼ元通りになっている。


「これが天使様のお力……」


 ドリアードは僕の力を見てうっとりとしていた。


「おお、木が動いてる」


 近くにいたトレント達も桃乃がトレントの存在がわかるほど喜んでいた。


 どうやら植物型の魔物にも影響があり、トレントからはりんごのような実がいくつか実っていた。


 桃乃がトレントに近づくと、気前良く自身の実を分け与えていた。


 俺達への感謝の気持ちなんだろう。


 それにしても桃乃が一人で食べようと、袋に回収していることはわかっている。


 小さい体で大量にりんごをもらっても、桃乃は食いしん坊だから食べてしまう。魔法を使えるようになってから消費カロリーが増えたと本人は言っていた。


 食べないとどんどん痩せていくらしい。


 俺は桃乃を見ているとこちらに気づいたのか急いで戻ってきた。


 どこか待てをされている犬のように感じる。


「これで俺達の仕事も終わりですか?」


 ドリアードの住処も取り戻し、荒れ果てていた場所も俺の魔法で少しは元に戻った。何をすればクエストが終わるのかわからないが、これで俺達の役割は終わりだろう。


「天使様には感謝しきれません」


「いえいえ、俺達は言われたままのことをやっているだけなので」


 実際はドリアードの依頼に対して特に思うことはなかった。ただ、自分達がお金を稼ぎ、スキルを得るために異世界に来ているのだ。


 そんな自分達に都合よくクエストが一致したため、お礼を言われる筋合いはなかった。


「それでも私達には大事なことなんです。このままキラーアント達に住処を奪われてしまうと私達は破滅するしか選択肢はなかったんです」


 思ったよりも重大なことに俺と桃乃は驚いていた。どこでも住めると思っていたドリアード達だが、やはり湖がないと生きていけない存在らしい。


「だからこそ何もできない私達は天使様頼りだったんです。今回のお礼にこの種を渡します」


 俺はドリアードから謎の種をもらった。もらった瞬間にどこかとてつもなく惹かれるものがあった。


「その種は世界樹の種です」


 世界樹ってよくゲームとかで重要になる樹だったりする。俺が知っているゲームでは、その葉っぱを使うだけで死んだ仲間が生き返るのだ。


 その種をなぜ俺に渡したのかわからなかった。植物の天使がそこまで重要なのだろうか。


「この世界樹の種は人を生き返らせる効果がある種なんです。ただ、その使用方法は天使様にしかわからないと言われています」


 まさかのゲームと同じ効果に俺は驚くしかなかった。本当に死んだ人を生き返らせることができるとは思いもしなかった。


 俺はドリアードに言われてた通りに神光智慧大天使(ウリエル)で記憶を探るが、それでも使い方はわからなかった。


「世界樹の種なら植えたらどうなりますか?」


 桃乃はドリアードに尋ねた。確かに俺のスキルでは発芽させることができるだろう。


「はい。だからこそ植物の天使様にお渡ししたのです」


 どうやらドリアードはこの種を植えて欲しいらしい。


「じゃあ、どこに植えるのがいいのか?」


 俺は開けた場所を探そうとするが、ドリアードは首を振っていた。


「それは天使様達の世界で埋めてください」


 まさかの答えに俺達は驚いた。しかも、違う世界から来ていることもドリアードは知っていた。


「これ以上は私からは何も言えないですが、どうかよろしくお願いします」


 そう言ってドリアードは少しずつ消えていく。


「ドリアードって不思議な存在ですね」


「ああ。まさか俺達がどこから来ているかも知っていたような言い方だったな」


 俺はドリアードがいた足元に何か落ちていることに気づいた。


 近づいて手に取るとそこにも何かの種なのか、虹色に光る丸い種が落ちている。


「高く売れそうですね」


 桃乃はなぜかこちらを見つめていた。いや、拾ったのは俺だから渡さないぞ。


 むしろ何かの種なら売らずに持っておく方が良いだろう。


「いや、別に欲しいわけではないですよ? ただ、――」


「おお、これはすごいな」


 俺は植物詳細で調べるとどうやらドリアード(・・・・・)の種らしい。


 俺が桃乃に伝えようとすると、なぜか彼女は呆れた顔をしていた。


「どうしたんだ?」


「いえ、帰りましょうか」


 桃乃は先に立ち上がり穴に向かって歩いて行った。


 俺は視覚の縁の方に目を向けると、そこには依頼終了を知らせるマークが付いていた。桃乃は先に気づいていたのだろう。


「私は先輩と同じ物が欲しかっただけのなのに……」


「おい、ももちゃん待ってよー」


 俺は桃乃を追いかけるように現実世界に戻る穴へ向かった。それにしても彼女は何に対して呆れているのだろうか。

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